人災としてのコロナ禍がまさかの3年目(!)に突入し、日本人がカンセンボウシに精を出している中、国家存続に関わる危機がぐんと忍び寄ってきている。いつまでもカンセンタイサクをああだこうだ話し合っている場合ではない。今我々が「事の軽重」を確と見定め早急に手当てをしなければ、将来世代に大きな禍根を残すことになる。
厚生労働省の人口動態統計(速報値)によると令和3年の出生数は過去最少の約84万3千人で、前年と比べ約3万人の減少。6年連続で過去最少を更新している。死亡者は約145万2千人で約61万人の自然減となった。60万人超えは初となる。これらは政府の従来の人口推計よりも少子化が進行していることを表している。暗澹たる数字だ。
毎年成人の日になると今年大人の仲間入りをした人物が報道されるが、令和3年生まれの子供たちはそれが84万人余かいない。この数字はもう変えられないのだ。これから次の日本を担わんとする仲間がたったそれしかいない。彼らに大変心細い思いをさせてしまうのではないか。
さらに深刻な問題がある。婚姻件数の減少だ。コロナ禍以前の令和元年は約59万9千組だった婚姻件数が、コロナ禍1年目の令和2年に約52万6千組となり、そして、コロナ禍2年目の令和3年に約51万4千組となった。ちなみに平成31年は約58万6千組だ。コロナ禍によって明らかに、急速に減少している。本年の数字はこれからだが、劇的な改善を期待できる要素は今の日本にはなく、減少傾向は続くと思われる。
粗い計算だが、たとえば、コロナ禍以前に令和2年と3年の婚姻件数が令和元年と同程度の約59万組あったと仮定すると、失われた数字は計約14万組となる。この2年間で出会えているはずだった男女が出会えていないのだ。四六時中マスクなどしていれば一目惚れもできないし、ありとあらゆる他人との交流に「自粛」を求めれば男女は結びつかないだろう。当たり前の話だ。若者たちに青春を返せ。
それでは、婚姻件数の減少は何をもたらすのか。そしてそれがなぜ深刻なのか。
それは出生数をさらに減少させ、さらなる少子化の加速を招くからだ。
日本の出生数に占める非嫡出子の割合は約2%。つまり、この国では9割以上の子供たちが、正式に婚姻した夫婦の間で生まれている。ちなみに欧米諸国と比べるとこの数字は極端に低い。その是非について議論があることは承知しているが、今後も非嫡出子の割合はそれほど大きくならないだろう。婚姻イコール出生ではないが、婚姻を経ない出生はほとんどない。だとするならば、婚姻件数の減少は将来の出生数の大幅な減少、少子化のさらなる加速に直結しているのだ。コロナ禍3年目を謳歌している日本人が、将来必ず直面するこの問題の重大性をはたして認識しているのか甚だ心許ない。
冒頭私は「事の軽重をよく見定めよ」旨述べた。事の軽重を誤らずに見定めること、これは政治の要諦の一つだと思う。また、我々有権者にも事の軽重を見定めようとする態度が求められていると思う。家の土台がどんどん崩れているのに、訳のわからないカンセンボウシをいつまでも話し合っているそんな頓着漢な住人がどこにいる。目の前の危機に目を向けよう。何が大事なのか、今何をしなければならないのか、もういい加減考えようではないか。眼前の危機に対応できるのは将来世代では決してない。今を生きる我々しかいないのだ。事の軽重を見誤るな。
林文寿(岐阜支部)
2024.10.15
御子柴晃生(農家・信州支部)
2024.10.15
吉田真澄(東京支部)
2024.10.15
羽田航(53歳・派遣・埼玉県)
2024.10.15
川北貴明(34才・芸術家・大阪府)
2024.10.15
九鬼うてな(17歳・生徒・京都府)
2024.10.15
近藤久一(62歳・自営業・大阪府)
2024.10.15
前田一樹(信州支部、39歳、公務員)
2024.07.25
奥野健三(大阪府)
2024.07.25
たか(千葉県、41歳、イラストレーター)
2024.07.25