【お天道さまは見ている】この素晴らしい言葉を、取り戻そう。

小川博幸(55歳・自営業・愛知県)

 

 私は、【お天道さまは見ている】という言葉が大好きです。この言葉には、不思議な魅力が秘められていると思うからです。【お天道さまは見ている】には、「誰も見ていなくても、必ず誰かが見ているぞ。」というメッセージが隠れています。この言葉は、戒めの意味と、励ましの意味、そして、自分自身の心への問いかけという意味を持っていると言えます。天道とは、太陽が天空を通過する道を表しており、これは絶対的・普遍的なものであると考えられていました。そのことを転じて、天道とは、絶対的・普遍的な事象として存在する《天地自然の法則》を意味するようになったようです。

 さて、私たちが持つ遺伝子には、スイッチのように、オンとオフになっているものが存在することが立証されています。遺伝子スイッチをオンするためには、心の環境の影響が大きく、《よき心》を持つことが重要であると言われています。私たちのご先祖様は、《よき心》を持って生きていると、自分自身の体の中において何か良い変化が起きるという、この遺伝子スイッチがオンになる現象を、言い伝えや経験により理解していたのではないかというのが、私の推論です。この最も重要な本質を、子や孫にも理解してほしい。しかし、立証できないし、目に見える形で教えることもできない。だから、【お天道さまは見ている】という理解しやすい言葉を作り出し、伝え続けることにしたのだと、私は思うのです。

 この世界には、絶対的な《天地自然の法則》が存在して、遺伝子スイッチをオンにするための《取扱説明書》があります。全ての生きとし生けるモノは、この《取扱説明書》に記された項目に従って、定められた期間を過ごすことしかできません。人間以外の生き物たちは、その《取扱説明書》の項目に忠実に従って、限られた時間と限られた命を大切にして過ごしています。残念なことに、人間は、脳の発達により様々なモノを手に入れましたが、それと引き換えに《取扱説明書》を忘れてしまいました。だから、目に見えない《天地自然の法則》を無視し、目に見える欲望を手に入れることのみが最善であると勘違いしてしまった。残念ながら、《取扱説明書》の内容を目で見ることはできません。だから、自分自身で《天地自然の法則》を探すしかないのです。遺伝子スイッチをオンするために、日々、試行錯誤を繰り返すことにより、その方法が正解であれば、スイッチがオンになる。遺伝子スイッチがオンになったからといって、誰かが認めてくれるわけでもないし、自分自身で、判断をすることもできません。しかし、そうして、日々、努力することが、この世界に存在する意義であり、幸せを感じて生きることの意味なのだと思います。

 《天地自然の法則》に関して、様々な人たちが、宗教や哲学という形で、幸せに生きるヒントを、現代に伝え続けてくれました。この日本では、その《天地自然の法則》が存在することの証として【お天道さまは見ている】という言葉を伝えてくれました。そして、そのヒントとなるように、絶対的に天に存在し続ける太陽を、【お天道さま】のシンボルとするように教えてくれました。さらに、この国の旗に、太陽を描くことにより、そのヒントを決して忘れることがないように目に見える形で残してくれました。私は、日本では、【お天道さまは見ている】という言葉が、心の中に生き続けているということを、広めるべきだと思います。この【お天道さまは見ている】という言葉こそ、私たち人間が幸せに生きるための《道しるべ》となる大切な言葉なのです。残念ながら、いま、この日本から、そして、この地球から、この《道しるぺ》となる大切な言葉が、消え去ろうとしています。この素晴らしい言葉が持つ意味と意義を再認識することにより、今こそ、【日本に生きる心】を取り戻すべきなのです。