こんにちは。京都大学の藤井聡です。
本日、表現者クライテリオンから、『SDGs/AI批判序説~スローガンに群がる愚~』の特集号が発売となりました! https://www.amazon.co.jp/dp/B0BTQ4BVM1/
この特集は、今、世間で盛んにもてはやされているSDGsやAIを徹底批判するものです。
そもそも、SDGsやAIそれ自身は大変結構な話です。それらはどこからどうみても「無い」よりも「あった」ほうがいいと言えるものです。SDGsというのは、Sustainable Developmental Goals、つまり「持続可能な開発目標」という意味で、AIはArtificial Intelligence 、つまり「人工知能」の事を意味しています。
SDGsというのは今、国連でも制定されて、地球温暖化問題をしっかり考えて、あまり地球温暖化ガスを出さないようにしましょうという目標に加えて、貧困を無くしたりするためにもしっかり成長していきましょう、という目標等々についてのスローガンです。
そしてAIの方は、昨今の情報技術の加速度的な進展によって、コンピュータが、さながら人間の様な知性を持って、自分自身で「考え」るようになる、と言う話で、これによって、コンピュータが人間の能力を大きく超えていき、社会が激烈に変わっていくのだ、なんてことが放されています。そんな時によく言われるのが「シンギュラリティ」っていう「人間をコンピュータが上回るポイント」という意味の言葉で、それを超えると、社会の在り方が根底から徹底的に変わるのだ、なんてことがいわれています。
だから、新しいもの好きの知識人達は、さかんにSGDsだAIだと騒ぎ立て、それに対応するための取り組みをみんなでやっていかなきゃならんのだ、なんて事を鼻息荒く言い募っています。
繰り返しますが、SGDsだAIというものは、どこからどうみても「無い」よりも「あった」ほうがいいと言えるもの。
ですが、それらを採用することで何か重要なものが「失われる」とするなら、無い方がいいということ「も」当然あります。あらゆる価値あるものにはトレードオフがあるからです。
というかむしろ現実には、それらが無い方がいいという局面は実に多く、場合によってはそちらの方が圧倒的多数だとすら考えられるのが実情です。
例えば、SDGsを言い過ぎて、我々の限られた能力を環境問題に大量に投入してしまったりすれば、私たちの経済が衰退してしまうばかりでなく、私たちの社会や文化、芸術、そして倫理が熔解していきかねない、という事になります。AIにしても、そんな未来のSFのような事ばかり考えて、その対応を事ばっかり考えていては、今、我々が直面している問題を蔑ろにしてしまうことが往々にして生じてしまいます。
ところが……現代の令和日本には、SDGsやAIは否定しずらい空気が漂っています。
金融関連の会合に行けば、ネコも尺子もSDGsばかり言い募り、これからの時代はSDGsナシでは回りませんよ、なんて話が「耳にタコ」な状況になってきています。が、こういう人達は基本的に、本当に真面目にSDGsを実現したいと思っているというより、今はSDGsが流行ってるから、これに何らかの形でひっかけてカネ儲けをしてやろうと思っているに過ぎないわけです。
AIにしても、言論人達の中には「シンギュラリティを君は考えてないのか!?」なんて言いさえすれば、何となく上にたった感じになる、つまり、マウンティングできるようになるので、AIの事、ある程度言っとかなきゃ、カッコ悪い、なんて思っているのが多く、その結果、やたらと知識人達がAI押しを始めているわけです。
そんな構造の中で、SGDsやAIは、いわば「プチ絶対正義」とでも言うべきものとして位置づけられているわけです。
そしてそうした空気感は、SDGsやAIだけでなく、今や〝デジタル〟や〝DX〟〝GX〟等のあらゆる新手の「スローガン」においても濃密に漂っています。
このことはつまり、今や多くの日本人が、公益、国益を如何にすれば増進できるのかを考える為のクライテリオン(基準)不在のままでスローガンを掲げてしまっていることを意味しています。そうなれば言うまでも無く必然的に、ただただ公益、国益が毀損されてしまうという事態が頻発してしまわざるを得ません。
表現者クライテリオンではこうした事態を憂い、SDGsやAI等のスローガンの不条理をエビデンス(客観的証拠)や社会科学、社会思想、社会批評の視点から徹底批判する特集を企画することとしたわけです。
例えば、生物学者の池田晴彦さんは、SDGs批判の急先鋒。それが如何に欺瞞に満ち満ちたものであるかを懇切丁寧に解説してくださいました。
ジャーナリストの葛城奈海さんには、SDGsという概念なんて全く使わなくても、日本の伝統の中には「常若」(とこわか)という自然と共生する概念が古くからあり、それを思い起こすだけで後何もしなくてもいいのではないか、という事を論じて頂き、SDGsというスローガンが如何に薄っぺらいスローガンなのかを明らかにしてもらいました。
哲学者の仲正昌樹さんには、AIでは、シンギュラリティ以降に凄い世界が来るんだ、なんていう議論が、如何に軽薄でお馬鹿な議論なのかを徹底的に哲学的な視点から論じ上げてもらいました。
編集委員で京都大学准教授の川端裕一郎さんは、AIを巡る様々な代表的な議論を紹介頂きつつ、それが如何に不条理な議論であるのかを指摘されています。その上で「未来予想に意味がないとは思わないが、想像を逞しくし過ぎるのは一種の病理である」と指摘。そして、AIが持つ「意味」を冷静に、正確に理解した上で、活用していく視点が大事なのだと主張されています。
そして、理学者であられる掛谷英紀さんや、評論家の辻田真佐憲さんには、こんなスローガンに軽薄に乗って踊ってしまう日本人のメンタリティは一体どこからくるのかをそれぞれに論じて頂いています。
恐らくは、SGDsやAIについて、詳しく知っている日本人は、とても限られているのではないかと思います。だからこそ、そんな無知につけ込んで、マウントをとりたいだとかビジネスを製鋼させたいとか言うセコイ目的のためにいろんな人が知りもしないクセにSGDsやAIといたスローガンを駆使しているに過ぎないのです。
そんなセコイ、プチ詐欺師達に欺されないためにも、是非、本特集『SDGs/AI批判序説~スローガンに群がる愚~』をご一読ください!!必ず皆さんの日常的な会話のみならず、具体的な仕事でもお役に立てる内容になると、思います。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BTQ4BVM1/
是非、よろしくお願いします!
追伸1:是非この機会に一度、表現者クライテリオンの「定期購読」をご検討になってみてください。
https://the-criterion.jp/subscription/(1割引きでお届けします)
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