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「人の命」より「財政規律」を守るという政治犯罪

今週の一曲
ボヘミアン・ラプソディ by クイーン

1975年リリースのアルバム『オペラ座の夜』に収録された、クイーンの代表曲。
クラシックの「ラプソディ」(狂詩曲)の形式で構成された楽曲で、アカペラからはじまり、バラード、オペラ、そしてハードロックへと展開し、最後に再びバラードで修了する壮大な展開の一曲。英国では、ビートルズやレッド・ツェッペリン、エルトン・ジョンなどを抑えて、「イギリスで最も売れた曲」でありかつ、人気投票で「最高の曲」に選ばれている。人殺しをしてしまった若者が、途方に暮れて「ママ、どうしよう――」と泣きつくところから始まり、様々な葛藤を経て、最終的に「僕は大丈夫さ、何も問題ないさ(nothing really matter)」と哀れにも自分に言い聞かせながら終わる。神からの罰を免れ得ぬ犯罪者の精神を描いたこの一曲は、ヒットした途端に社会現象を巻き起こし、多くの若者の自殺を誘発してしまったという。まさに映画を一本見るかの様な展開が、多くの若者の精神に響いたわけだ。罪を犯したにも関わらずのうのうと生きる輩ども全員に届けたい一曲。

今週のテーマは「 『人の命』より『財政規律』を守るという政治犯罪」です。
6月末から7月初頭にかけて西日本各地が驚異的な豪雨に襲われ、大規模な洪水や土砂災害により200名以上の命が奪われた。見過ごせないのは、これらの被害が単なる天災ではなく「人災」でもあったことだ。
今回氾濫した河川の多くには、じつは堤防の整備計画が存在し、完了していれば殆どの被害を防ぐことができたと考えられる。それらの整備は実現が不可能だったわけでも、やむをえぬ理由で遅れていたわけでもない。「財政規律」を口実に、政治と行政が予算をカットしてきた結果なのだ。
多くの命を奪ったもの、それは緊縮を優先して災害対策を怠ってきた政治家や役人たちによる「不作為殺人」であったと言わざるを得ないのである。

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