2018.07.31
ジョン・デンバーが1971年に発表した有名な一曲を、オランダのHermes House Bandというバンドが2001年にカバーしたものです。原曲の歌詞は、「田舎道よ 私を故郷まで連れて行っておくれ あの私の街へ ウェストバージニアの母なる山々 田舎道よ 私を連れて行っておくれ」といった、アメリカ人の郷愁を歌ったものです。しかしこの曲は世界中で歌われていて、今回ご紹介したHermes House Bandによるカバーは2001年にイギリス、ドイツ、オーストリア、アイルランド、デンマークなどヨーロッパ各国でヒットチャートの上位にランクインしました。日本でも、映画『耳をすませば』の主題歌に使われるなどして有名ですよね。「自分が本当の意味で属している、あの故郷に帰りたい」という気持ちはある種の普遍性を持っていて、この曲のメロディーや詩がその感情を揺さぶるのでしょう。「私はどこでも行きていける」と構えるエリートの人たちが、そういう感情を持ち続けてさえいれば、「どこかの地元に属して生きる」人々との間のわだかまりも深刻化することはないように思うのですが・・・。
今日のテーマは「『素朴な文化』と『気取った文化』の対決が始まった世界」です。グローバル化によってエリートと庶民の所得格差が開いており、それが今欧米世界を動揺させているポピュリズム運動の引き金になっているわけですが、同時にエリートと庶民の間には「職業観」「人生観」などをめぐる深い対立があって、それがややこしい混乱を引き起こしています。この問題を、『表現者クライテリオン』編集委員の川端祐一郎とともに語ります。
ゲスト:川端祐一郎(京都大学大学院助教・表現者クライテリオン編集委員)
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