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日本の大学は今、緊縮と改革で滅びつつある。

今週の一曲
ダイナマイトに火をつけろ by ボガンボス

今週のテーマは『日本の大学は今、緊縮と改革で滅びつつある。』。
最新の『表現者クライテリオン』では、京都大学総長で国立大学協会会長・日本学術会議会長でもある山極寿一教授へのインタビューを行い、この30年ほど文部科学省が進めてきた「大学改革」がいかに日本の研究能力を奪っているかを論じている。
この間行われてきた大学改革は、①予算を削る、②予算獲得のために激しい「競争」をさせる、③「流行りの研究」に大きな予算をつけるというもの。これはまさに「新自由主義」的発想で、これでは長い時間をかけて真実を追求する本物の研究は行えない。
このインタビューの直後、京都大学名誉教授の本庶佑氏がノーベル賞を受賞された。本庶氏が強調していたのもまさに、「予算削減と競争の下では立派な研究は生まれない」ということだった。
本庶氏の研究は医学界の主流から外れていて、長らく見向きもされなかった。それでもノーベル賞級の成果を生むまで研究を継続できたのは、それを許す鷹揚で、寛容で、真に自由な学風、言わば「旧自由主義」だったのだ。
学問の世界に競争は向かない。何が真実であるかは簡単には分からないからだ。短い視野で競争をさせたり、ましてや流行りの研究を追いかけたりする「新自由主義」の下では、画期的な進歩は生まれないのである。

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