『クライテリオン3月号』の特集論考のなかに、佐々木邦明先生が「理念・理想なきインフラ政策が導く未来」を寄稿されています。
この原稿で佐々木先生は、
「現在日本の都市計画とインフラ整備を導くイデオロギーが、希望格差をますます増幅させ、それが生じている地域だけでなく日本全体を衰退の方向性にむかわせているかもしれない」
ことを指摘し、日本の将来像が「分断」と、とめどない「衰退」にあるとの認識を示しながら、
「交通インフラ・エネルギーインフラ等のインフラの利用可能性が人の行動に影響を与え、社会を変えていく大きな力になるのである。そのようなインフラの力は、合意に基づく大きな構想のもとで望ましい国土に向けたインフラ整備とその適切な活用によってさらに増大される。その力が、日本を将来に希望を持てる社会に変え、活力のある国土を形成するであろうことは疑えない。」
として、現在のイデオロギーを逆転させることができれば、将来の日本に希望を持ち、実際に発展に導くこともできることを明確に書かれています。
「将来に希望を持つことができ、分断ではなく一体的な日本社会」を目指すために、最後に指摘されている通り、「コスパではなく将来を見据えたビジョンに導かれたインフラ整備に、すぐさま大きく舵を切らなくてはならない」ことを痛感しました。
同時に、『クライテリオン』にこの原稿が掲載されたことで、この佐々木先生の重要な指摘が多くの読者の方々に共有されたことに将来への一抹の希望を持ちました。
ところで、この原稿を書かれた、佐々木先生と信州支部の関わりは、まず、佐々木先生に2021年に行った信州支部としての最初の企画であった、「表現者クライテリオン信州・松本シンポジウム」に参加していただいたことに始まります。
その後、2023年に須坂市で行った、小幡先生と浜崎先生を招いた「信州学習会」にも足をお運びいただき、その際に信州支部の定例会での講義をご依頼したところご快諾いただき、講義をしていただく運びとなりました。
そのような経緯で、信州支部の集まりにおいて貴重な講義をいただいたことを、「クライテリオン編集部」にお伝えしたところ、「丁度、次号はインフラ特集だから、佐々木先生にも寄稿をお願いできるのではないか」という話が生まれ、藤井編集長から佐々木先生に原稿の依頼があり、今回の佐々木先生の「クライテリオン初登場」となった訳です。
このことは、上記の「コスパ重視から、ビジョンに導かれたインフラ整備への転換」が、政治家、役人、専門家(知識人)のみによって担われるものではないことを示していると考えています。
なぜなら、信州支部のような地方在住の名もなき人間達の動きが、佐々木先生のようなインフラの専門家(知識人)と連携することにより、より広く多くの方への問題への意識喚起を生みだす契機を生み出したと言えるからです。
インフラ整備の問題は、国家・地域レベルの非常に巨大な問題で一庶民にはいかんともしがたいものがあることは否めませんが、政治家、役人、知識人、庶民とそれぞれの立場で問題意識を持った方々が議論し動き出すことでしか望ましい方向へのシフトは起こらないと思われます。
信州支部は今後も微力ながら、そのような流れを作るべく活動を継続していきたいと考えております。
林文寿(岐阜支部)
2024.10.15
御子柴晃生(農家・信州支部)
2024.10.15
吉田真澄(東京支部)
2024.10.15
羽田航(53歳・派遣・埼玉県)
2024.10.15
川北貴明(34才・芸術家・大阪府)
2024.10.15
九鬼うてな(17歳・生徒・京都府)
2024.10.15
近藤久一(62歳・自営業・大阪府)
2024.10.15
前田一樹(信州支部、39歳、公務員)
2024.07.25
奥野健三(大阪府)
2024.07.25
たか(千葉県、41歳、イラストレーター)
2024.07.25