西部邁氏が創刊した『発言者』『表現者』の後継誌として、藤井聡・柴山桂太・浜崎洋介・川端祐一郎の編集体制で2018年2月より隔月刊で発行。
右翼とも反左翼とも異なる「真正保守」の立場で、人間と社会に関わるあらゆる問題を論じます。
・日本において「保守政治」は可能か?/吉田 徹×白井 聡×藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
・自由と民主だけでは「保守政党」にあらず/伊吹文明×藤井 聡
・自民党はなぜ劣化したのか/小沢一郎×堀 茂樹×藤井 聡×柴山桂太
・自民党は何を保守すべきなのか―自民党は何を保守すべきなのか/西田昌司
・保守にとっての「ヘゲモニー」の戦略/仲正昌樹
・食料・農業・農村を犠牲にして我が身を守るのは保守ではない/鈴木宣弘
・現代日本社会における保守政党と自民党/西田亮介
・「質の高い普通の人々」を生み出し続ける国づくりをめざせ!/施 光恒
・風土と共同体 第一回 風土再生の根本問題(一)/山口敬太
・「危機感のない日本」の危機―東京一極集中による国家崩壊の恐怖/大石久和
・與那覇潤連続対談 在野の「知」を歩く 第2回 古典をよむのは「逆張り」ですか?(後編)/ゲスト 綿野恵太
・「農」を語る 第2回 世界に誇るべき日本の小規模農業/山極壽一×藤井 聡
・アジアの新世紀 新連載 不可視のイスラーム帝国 ユーラシアを再編する学僧たち 第1回 修行のイスラーム文化/山本直輝
・映画で語る保守思想 第11回 絶望の淵で見出す「希望」とは?―『ペパーミント・キャンディー』を題材に(中編)/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎
・虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー 第三十二回 マルクスの亡霊たち―日本人の「一神教」理解の問題点④/富岡幸一郎
・徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評 第9回 規制改革の舞台裏/室伏謙一
・ひこばえ 風土に根ざす智慧と美徳 第二回 着物と刀―想いをまとい、美を携える―/首藤小町
・経世済民 虫の目・鳥の目 第8回(最終回) 金融教育が日本を滅ぼさないために/田内 学
・欲望の戦後音楽ディスクガイド 第10回 OKI / No One’s Land/篠崎奏平
・東京ブレンバスター⑫ ミツ荒川とオッペンハイマー/但馬オサム
・徳と鏡―政治改革論に足りないもの/柴山桂太
『ておくれの現代社会論 ○○と□□ロジー』中島啓勝 著/田中孝太郎
『政治哲学とイデオロギー レオ・シュトラウスの政治哲学論』早瀬善彦 著/杉谷和哉
『末裔』絲山秋子 著/橋場麻由
『たまたま、この世界に生まれて ミラン・クンデラと運命』須藤輝彦 著/前田龍之祐
・「戦後レジーム」と「保守本流」 岸田文雄アメリカ演説を考える(鳥兜)
・ラディカルな政治運動と結びつくスピリチュアリズム(鳥兜)
・アイデンティティの「改変」――二十一世紀の「左翼」が目指すもの(保守放談)
・無反省なまま繰り返される観光公害(保守放談)
・塾生のページ
・読者からの手紙(投稿)
今日、自民党は一般に「保守政党」だと見なされている。自民党自身も自らを、常に進歩を目指す「保守政党」だと自己規定してもいる。しかし、自由民主党はそもそもLiberal Democratic Party(=リベラル・デモクラティック党)であり、党名からして保守というよりもむしろ「リベラル」政党だ。しかも民のリベラル(自由主義)的傾向が強ければ、「自由民主」という言葉は「自由自由」を意味するものとなり、ますますリベラル政党だということとなる。そう考えれば、自民党が、今もなお日本国民の内に残されている良質な伝統や文化を「保守」するどころか「破壊」する傾きを持つ新自由主義やグローバリズムや移民政策等の推進といった、保守というよりはむしろリベラルな諸方針を強力に推進し続けているのも、必然だということもできる。
この状況の中で、支持する政党を見失ってしまうこととなったのが、保守的傾向を持つ人々だ。かつて自民党は彼らの受け皿としても機能していた一方、彼らの多くが今、過剰な新自由主義の推進方針やLGBT関連法案等に反発する恰好で自民党から離れ始めている。そしていま、日本保守党や参政党、日本維新の会などの保守を標榜する新しい政党群が生まれ始めている。
ついては「危機と対峙する保守思想誌」たる本誌では、日本の政治の立て直し、そして戦後政治の超克を企図し、今日本で求められるべき「保守」政治とは一体如何なるものなのか、そして今、自民党を中心とした各種政党が標榜する「保守」というものが一体如何ほどにそこから乖離しているのかを改めて問う特集『自民党は「保守政党」なのか?』をここに編纂することとした。
表現者クライテリオン編集長 藤井 聡