西部邁氏が創刊した『発言者』『表現者』の後継誌として、藤井聡・柴山桂太・浜崎洋介・川端祐一郎の編集体制で2018年2月より隔月刊で発行。
右翼とも反左翼とも異なる「真正保守」の立場で、人間と社会に関わるあらゆる問題を論じます。
2022年5月号(通巻102号) 2022年4月15日発売
[座談会]
政治家にとって「真の行動力」とは何か 戦後政治史に学ぶ/森田実×藤井聡×柴山桂太
[インタビュー]
「見ちゃいけないものを見せる」映画の力 倫理を乗り越えて生まれる「倫理」とは?/白石和彌×藤井聡
・「無気力」の手前で/浜崎洋介
・すぐにあきらめる国、日本/和田秀樹
・時代精神としての鬱的気分/土井隆義
・中国の無気力カルチャー「躺平」の背後に横たわるもの/福島香織
・新自由主義はなぜ死なないのか/岩木雅宏
・「ポルノ化」した政治的関心/川端祐一郎
・時流に敏ならざること/小幡 敏
・沖縄から考える「四月二十八日」と「五月十五日」/藤原昌樹
・中国の無気力カルチャー「躺平」の背後に横たわるもの/福島香織
・新自由主義はなぜ死なないのか/岩木雅宏
[文学座談会]
失われた「信仰」を求めて ミシェル・ウエルベック『服従』を読む/本誌編集委員
・第1回 農こそが日本を守る/鈴木宣弘×藤井 聡(「農」を語る)
・「生きる意味」の探究者、ソクラテス Part――『ソクラテスの弁明』、五つの重要点/伊藤貫(欧米保守思想に関するエッセイ)
・マルクスの亡霊たち――霊的な力と弁証法③/富岡幸一郎(虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー)
・新聞社を覆う「閉塞感」の正体/松林薫(逆張りのメディア論)
・第15回 多様性に開かれた社会における「忠誠心」について 「構成的物語」の重要性――愛着と忠誠の政治哲学序説㊃俊介(ナショナリズム再考)
・捨てる民族と捨てない民族――地形が決める道徳/竹村公太郎(地形がつくる日本の歴史)
・愛という不都合な荷物――ジョン・スタインベックの『怒りの葡萄』を読む/仁平千香子(移動の文学)
・メディア出演瓦版/平坂純一
・領土を護る気概を「尖閣海洋調査」が意味するもの/中山義隆×山田吉彦×藤井聡
・石原慎太郎の政治と文学/西村幸祐×富岡幸一郎
・「積極財政」で、政治を取り戻せ!/田原総一朗×水道橋博士×藤井 聡
・帝王学の真髄――『誡太子書』に学ぶ/所 功
・表現者クライテリオン神戸シンポジウム報告――神戸から考える危機と対峙する保守思想/福谷啓太
『反逆の神話 「反体制」はカネになる〔新版〕』ジョセフ・ヒース&アンドルー・ポター 著/田中孝太郎
『防衛省の研究 歴代幹部でたどる戦後日本の国防史』辻田真佐憲 著/篠崎奏平
『いつもの言葉を哲学する』古田徹也 著/前田龍之祐
・「表現者クライテリオン」シンポジウム いま、なぜ小林秀雄なのか/富岡幸一郎×柴山桂太×浜崎洋介
・日本のマスコミ世論と政治の度し難い幼稚さ/ウクライナの今日、日本の明日(鳥兜)
・経済財政諮問会議と財政制度等審議会(「危機感のない日本」の危機)
・あなた任せの日本人―『にっぽん昆虫記』に寄せて/ウクライナの「徹底抗戦」支持は日本人の本音なのか(保守放談)
・読者からの手紙
【特集】日本を蝕む「無気力」と「鬱」
日本は今や、20年間経済成長率のランキングでOECD加盟諸国中最下位を記録したのみならず、世界中がコロナ禍から立ち直り始めている中で唯一のデフレ衰退国家である。しかもかつてから自給することができなかった、エネルギーのみならず、今や、ワクチン、そして半導体ですら、自前調達ができない程の後進国に凋落しつつある。そして何より、先人から引き継いだ伝統、文化、そして国土、さらには、我が国の国体の根幹たる皇室を安定的に護る能力すら失い始めている。
こうした激しい国家的凋落の背後にあるのが、我が国における政界、言論界、学界をはじめとしたあらゆる領域における「無気力」の蔓延であり、それを背景とした、国家的規模の激しい「鬱」状態である。
本特集ではこの認識の下、日本の政治、経済、外交、文化、社会、芸術、といったあらゆる次元の各種問題の根幹にこの「無気力」の問題が厳然と横たわっていることを改めて描写する。そしてそれと同時に、この根本的な「無気力」が何故我が国において蔓延する事になったのか、その原因を探り、そしてそこから脱却する方途を模索する。
表現者クライテリオン編集長 藤井 聡