思想・言論誌表現者クライテリオン

西部邁氏が創刊した『発言者』『表現者』の後継誌として、藤井聡・柴山桂太・浜崎洋介・川端祐一郎の編集体制で2018年2月より隔月刊で発行。
右翼とも反左翼とも異なる「真正保守」の立場で、人間と社会に関わるあらゆる問題を論じます。

2025年3月号(通巻119号) 2025年2月15日発売

特集

トランプは”危機”か”好機”か?

座談会

歴史的「大転換」を好機にするために

  • 辻田真佐憲京都大学客員准教授
  • 藤井 聡京都大学教授
  • 浜崎洋介京都大学特定准教授
目次

【特別鼎談】

・追悼 伊藤隆・福田和也・西尾幹二 保守論壇の回顧と展望(前編)/與那覇 潤×辻田真佐憲×浜崎洋介

【特集論考】

・石破政権である限り「トランプ」は危機となるー今こそ「自主独立」を目指す政権を樹立せよ/藤井 聡
・庶民ファーストの国際秩序を目指せー第二次トランプ政権への期待/施 光恒
・「アメリカ覇権の衰退」にどう立ち向かうかー問われる戦後日本の新たな構想/吉田 徹
・日本の食と農の独立に向けてー「占領政策」から脱却せよ/鈴木宣弘
・米国と共に日本は愚かな脱炭素を止めるべきだ/杉山大志
・日本でも「保守革命」「トランプ革命」を実現せよ!/渡瀬裕哉
・連載 徹底検証! 霞が関の舞台裏 脱藩官僚による官僚批評 第13回 霞が関は対トランプ外交に平衡感覚を持つことが出来るのか?/室伏謙一

生誕100年特別連載 三島由紀夫とは誰だったのか

・第1回 昭和100年の三島由紀夫、日本人の再生に向けて/鈴木ふさ子×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎

【連載】

・「過剰医療」の構造と「適正な医療」のかたち    第4回 医師が自ら信頼関係を築く医療は本当にコストが高いのか?/森田洋之
・アジアの新世紀 不可視のイスラーム帝国 ユーラシアを再編する学僧たち 第4回 漢語で語られるイスラーム/山本直輝
・「危機感のない日本」の危機―空疎そのものの選挙公報/大石久和
・虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー    第三十六回 マルクスの亡霊たちー 日本人の「一神教」理解の問題点⑧/富岡幸一郎
・「農」を語る 第3回 浅はかなビジネスマインドが国土を滅ぼす/内田 樹×藤井 聡
・連続対談 在野の「知」を歩く 第6回 「議論しないフェミニズム」はどこへ向かうのか?(後編)/與那覇潤(ゲスト 柴田英里)
・日本のアンチモダン 第3回 早稲田大学で立ち上がる反近代の狼煙について/平坂純一
・やわらか日本文化論 政治学者が文化に関心を持つ理由/施 光恒
・東京ブレンバスター⑯ アメリカは宗教国家である/但馬オサム
・欲望の戦後音楽ディスクガイド 第14回 Penguin Cafe Orchestra / Music from the Penguin Café / Hellbilly Deluxe/篠崎奏平
・編集長クライテリア日記 令和六年十二月~令和七年一月/藤井 聡

【巻末オピニオン】

・世界経済の破壊か再生かートランプ2・0の分岐点/柴山桂太

【寄稿】

・現代社会における文化の意義について/山口敬太
・日本を愛するために山に登れー知られざる日本人、志賀重昂/小野耕資

【書評】  

・『三島由紀夫 海の詩学 「花ざかりの森」へ』鈴木ふさ子 著/富岡幸一郎
・『小林秀雄、吉本隆明、福田恆存―日本人の「断絶」を乗り越える』浜崎洋介/髙橋直也
・『ルポ 国威発揚 「再プロパガンダ化」する世界を歩く』辻田真佐憲 著/粕谷文昭
・『国体とデモクラシー 密造される共和主義』住友陽文 著/小野耕資

【その他】

・トランプの再来で、「ごっこの世界」は終わるのか?(鳥兜)
・ステレオタイプを疑えーAI時代の黄禍論(鳥兜)
・インバウンドは我慢の限界(保守放談)
・「考えられない事件」の裏にあるもの――〈均衡=道徳〉を甦らせるために(保守放談)
・塾生のページ
・読者からの手紙(投稿)

巻頭言

 ドナルド・トランプ氏が米国大統領に就任した。第一期政権の時にやり通すことが出来なかった Make America Great Againの志を完遂すべく、アメリカ・ファーストを基本理念とした関税引き上げ、同盟国の防衛軍事負担の拡充、パリ協定・WHOからの脱退、LGBT路線の停止等これまでの平均的な政治常識を覆す巨大な政策転換を図ろうとしている。

 これで同盟国を自ら標榜するも、その実、米国の「保護領」「属国」に過ぎない我が国日本は激しいディープ・インパクトを受ける事は必至だ。しかしこのインパクトを我々は如何に受け止めるのかーー単にトランプを「危機」と捉えその「対応」を目指す外交に終始するのか、それともその危機の存在を慎重に吟味しながらもそれでもなお積極的に「好機」と捉えそれを「活用」せんとするのか?この選択は今後の我が国日本の命運を決定付ける極めて重大なものとして今、我が国の眼前に提示されている。表現者クライテリオンではまさにこの問題を、本特集にて包括的かつ徹底的に考えたい。

表現者クライテリオン編集長 藤井 聡

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