思想・言論誌表現者クライテリオン

西部邁氏が創刊した『発言者』『表現者』の後継誌として、藤井聡・柴山桂太・浜崎洋介・川端祐一郎の編集体制で2018年2月より隔月刊で発行。
右翼とも反左翼とも異なる「真正保守」の立場で、人間と社会に関わるあらゆる問題を論じます。

2026年1月号(通巻124号) 2025年12月16日発売

特集

「高市現象」の正体

ここから始まる大転換

座談会

「真のポピュリズム」へ昇華せよ

  • 藤井 聡京都大学教授
  • 柴山桂太京都大学准教授
  • 浜崎洋介京都大学特定准教授
  • 川端祐一郎京都大学准教授
目次

【特集座談会】

・「真のポピュリズム」へ昇華せよ/藤井 聡×柴山桂太×浜崎洋介×川端祐一郎

【特集インタビュー】

・高市政権は日本をどう変えるか 経済、外交、インテリジェンスの構想/小林鷹之(聞き手 藤井 聡)
・予算編成の「大転換」に挑む 「責任ある積極財政」への道のり/中村裕之(聞き手 藤井 聡)

【特集論考】

・戦略的介入主義の時代 高市現象が示す日本政治の転換/柴山桂太
・高市政権に期待する大転換 「国壊し」思想との決別/施 光恒
・高市経済政策成功の条件 PB黒字化目標は無用だ/田村秀男
・高市新政権の経済政策 成長こそ「サナエノミクス」の本質/本田悦朗
・高市政権に期待する外交上の大転換 「岸破外交」の愚からどう脱却するか/山上信吾
・新政権を待ち受ける大転換期の世界/橋本由美
・「民意」と「諫言」 高市総理が「戦後」をひっくり返すために/大場一央

【特別対談】

・モデリスト柴山登光氏に聞く(前編) 既製服に息づく職人の技術/柴山登光×柴山桂太

【連載】

・「危機感のない日本」の危機 肝心なことほど先送りして貧困化した唯一のG7国/大石久和
・アジアの新世紀 不可視のイスラーム帝国 ユーラシアを再編する学僧たち 第5回 アメリカ政治を揺さぶるポストコロニアル思想 新NY市長ゾーランの父マフムード・マムダニ/山本直輝
・アジアの新世紀 虚像の果ての中国 第4回(最終回) なぜ中国は「大国」たりえないのか? 一帯一路の真実/高口康太
・虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー 第四十一回 マルクスの亡霊たち 日本人の「一神教」理解の問題点⑫/富岡幸一郎
・満洲こぼれ話 第3回 民族としての歩き方/小幡 敏
・「過剰医療」の構造と「適正な医療」のかたち 第9回 「社会的共通資本」としての医療/森田洋之
・「農」を語る 第2回 農業の公的役割に目を向けよ/久保田治己×藤井 聡
・英国便り 日本の皆様へ 少子化と移民の因果関係 第1回 移民が少なく、ゆったりして平和な英国が好きだった/高尾慶子
・日本のアンチモダン 第8回 反革命③ パリ・コミューンと自由民権運動 ルナンと諭吉の憂鬱/平坂純一
・編集長クライテリア日記 /藤井 聡
・リレー連載 映画とわたし 第5回 ムルデカ17805 “分からぬもの”に触れる経験/小幡 敏
・東京ブレンバスター21 ハリマオからASEAN28へ/但馬オサム

【寄稿】

・失われた「強さ」と「健全さ」を求めて 陸上自衛隊体験入隊記/田中孝太郎
・大量移民受け入れによる社会・文化的リスクについての考察 ドイツの事例から考える/ライスフェルド真実

【巻末オピニオン】

・高市早苗と「大転換」 「公平で公正な日本」を導くために/浜崎洋介

【書評】

・『未完の名宰相 松平定信』大場一央 著/小野耕資
・『最後の異端者 評伝 美輪明宏』平坂純一 著/山田陣之祐
・『移民/難民の法哲学 ナショナリズムに向き合う』横濱竜也 著/粕谷文昭
・『戦中派 死の淵に立たされた青春とその後』前田啓介 著/髙橋直也

【その他】

・中国の「ポストトゥルース」に毅然と対抗せよ/「解散選挙」なくして、真の「大転換」無し(鳥兜)
・移民問題に見る自民党リベラルの「悪あがき」/高市台湾有事発言「問題」はオールドメディアの偏向報道の帰結である/「核シェルター」の整備を急げ(保守放談)
・塾生のページ
・読者からの手紙(投稿)

巻頭言

 「責任ある積極財政」を掲げる自民・維新連立による「高市政権」が誕生した。この政権誕生を予期できた者はほんの数年前までは「皆無」であり、国会の権力構造を考えれば高市政権は「絶対無理」と言い得る幻の如きものだった。にも関わらず高市政権が現実に誕生したのは偏に国民がそれを希求したからだ。

 結果、高市政権は極めて高い支持率で滑り出したのだが、この「高市現象」とでも言うべき社会現象は、財務省解体デモやオールドメディア批判の全国的広がり、近年の国政選挙における参政党や国民民主党の躍進の流れにあると共に、世界的に広がる「反移民運動」の潮流とも軌を一にしている。しかも21世紀に入ってからのブレグジットやトランプ大統領の誕生、欧州各国の保守政党の躍進とも通底する。

 かくしてこの「高市現象」は日本、そして世界の「大転換」を暗示する重大な意味を持ち得るのではないかとの思想的予感の下、本誌では日本と世界の未来を占うべく、政治家「高市早苗」と日本国民の集合的無意識の双方を見据えつつ「高市現象の正体」を多面的に論ずることとした。

表現者クライテリオン編集長 藤井 聡

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