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思想・言論誌表現者クライテリオン

西部邁氏が創刊した『発言者』『表現者』の後継誌として、藤井聡・柴山桂太・浜崎洋介・川端祐一郎の編集体制で2018年2月より隔月刊で発行。
右翼とも反左翼とも異なる「真正保守」の立場で、人間と社会に関わるあらゆる問題を論じます。

2021年9月号(通巻98号) 2021年8月16日発売

特集

日本人の死生観を問う

【特集2】保守からの近代日本批判―大東亜戦争への道

座談会

死を考えることは大衆社会への問い

国語と共同体の崩壊が導く悪夢

  • 呉智英評論家
  • 藤井聡京都大学大学院教授、クライテリオン編集長
目次

【特集1】日本人の死生観を問う

 

[対談]
死を考えることは大衆社会への問い――国語と共同体の崩壊が導く悪夢/呉智英×藤井聡
生命至上主義という名の権威主義――人を物と見なす現代医学/和田秀樹×藤井聡
死生観を歪めた医療ビジネス主義――国民が知らない医療界の「常識」/森田洋之×藤井聡

・草葉の陰のちゝろ虫――ニヒリズムとアニミズム/井口時男
・「死」を信じるということ――森鴎外に倣って/浜崎洋介
・死と生をめぐる判断と意思決定――コロナ禍を一例として/竹村和久
・祖霊を感じる心――死者と生者の交流の民俗/中尾聡史

 

【特集2】保守からの近代日本批判―大東亜戦争への道

 

[座談会]
日本を取り戻す、その鍵は「武士道」にあり/前田日明×藤井聡×浜崎洋介
近代日本人の「弱さ」を問う――保守からの「大東亜戦争」再考/富岡幸一郎×中島岳志×浜崎洋介

・日本、敗れたり/小幡敏

 

 

【特別インタビュー】

続 養老孟司、「常識」を語る――「自足」することと、「自立」すること/聞き手 浜崎洋介
江田憲司・立憲民主党代表代行に聞く――分配なくして成長なし! 一億総中流社会の復活を!/聞き手 及川健二

 

 

【連載】

・「危機感のない日本」の危機――「ワクチン敗戦」などではない/大石久和
・欧米保守思想に関するエッセイ 第4回 孤高の哲人、アーヴィング・バビット Part①/伊藤貫
・郷愁(ノスタルジア)について――近代のもう一つの側面/柴山桂太(「常識【コモンセンス】」を考える)
・マルクスの亡霊たち――マルクス主義とキリスト教①/富岡幸一郎(虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー)
・小さきモノへの愛 その㊁――地形が生んだ将棋地形が生んだ将棋/竹村公太郎(地形がつくる日本の歴史)
・反出生主義 死者と生者の間に/平坂純一(保守のためのポストモダン講座)
・啓蒙と野蛮の間――死刑制度をいかに語るか/川端祐一郎(思想と科学の間で)
・コロナ自粛論争の「敗因」を考える/松林 薫(逆張りのメディア論)
・「コスモポリタン=コミュニタリアン論争」再考――コスモポリタニズム批判㊇/白川俊介(ナショナリズム再考)
・カタカナ語乱用と英語化現象 自己満足よりも正確な伝達を――言葉から考える⑨/施光恒(やわらか日本文化論)
・辿りつけない故郷と日本への憎悪/仁平千香子(移動の文学)
・編集長クライテリア日記/藤井聡
・メディア出演瓦版/平坂純一

 

 

【書評】

『死生論』西部邁 著/前田龍之祐
『「がんになって良かった」と言いたい』山口雄也・木内岳志 著/高平伸暁
『「ポスト・アメリカニズム」の世紀 転換期のキリスト教文明』藤本龍児 著/田中孝太郎
『第三の精神医学 人間学が癒やす身体・魂・霊』濱田秀伯 著/篠崎奏平

 

 

【その他】

・読者からの手紙
・五輪開会式に見る日本の田舎者根性/SNS時代の「人民裁判」(鳥兜)

 

 

 

【特集1】日本人の死生観を問う
 多くの国民に感染死をイメージさせたこの度のコロナ禍は、日本人に「死」の問題を改めて向き
合う機会を半ば強制的に与えた。結果、多くの人々は慌てふためき、過剰とも言える反応に終始
した。これはつまり、日本人において「死」の問題に向き合う機会が年々失われつつある事を、
すなわち「死」の裏側にある「生」とは何かを真剣に問う機会および精神そのものが蒸発しつつ
ある事を改めて明らかにするものであった。
 日本人の今日の目を覆うばかりの精神的頽廃の背後には、まさにこうした死生観の急速かつ
著しい劣化が潜んでいることは間違いない。本特集ではこうした認識の下、我が国の再生の縁を見
い出す事を企図し、日本の伝統的な死生観を見つめ直しつつ、今日の我が国の死生観の有り様を
改めて問い直さんとするものである。

 

【特集2】保守からの近代日本批判 大東亜戦争への道
 8月15日、終戦記念日と呼ばれるこの日が近づくとメディア各社は「太平洋戦争」を振り返
り、戦前を断罪する東京裁判史観に立った戦後レジームの維持・強化に大いに貢献してき
た。一方で我が国には、そうした風潮に異を唱え、大東亜戦争にも日本の大義があったと主張
する「保守」勢力が存在し、平成後期にはそれが世論において一気に拡大する情勢となった。
 しかし、こうした「保守」の立場に立ってもなお、戦中戦前の近代日本のあり様を批判する
ことは可能である、というよりもむしろ必要である。そもそも保守であるからこそサヨクよりもよ
り適切でしかも建設的な徹底批判が可能であるに違いないからだ。
 本特集では、ホシュによる日本全肯定はサヨクによる全否定と同様に愚かな思考停止
に過ぎぬとの前提の下、大東亜戦争への道そのものに内在する欺瞞や虚無に焦点を合わ
せ、保守の立場からあえて戦前戦中の近代日本批判を多面的に論ずるものである。

 

                              表現者クライテリオン編集長 藤井 聡

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