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2021年6月発売

”地形と気象”で解く!日本の都市誕生の謎――歴史地形学への招待――

  • 竹村公太郎 著

著者紹介

日本水フォーラム代表理事。博士(工学)。

1945年生まれ、神奈川県出身。1970年東北大学工学部土木工学科修士修了。
同年建設省入省、近畿地方建設局長を経て国土交通省河川局長。2001年退職。一貫して河川、水資源、環境問題に従事。人事院研修所客員教授。
共著に『日本史の謎「地形」で解ける』(PHP文庫3部作)、『土地の文明』『幸運な文明』(以上、PHP研究所)
『日本文明の謎を解く』(清流出版)、『水力発電が日本を救う』(東洋経済新報社)などがある。

内容紹介

『表現者クライテリオン』人気連載記事「地形が作る日本の歴史」の2018年3月号~2021年5月号までを単行本化!

 東京(江戸)、京都、大阪、鎌倉、甲府…街はどのように造られ、賑わったか。日本文明を支えてきた「下部構造」と、その下にある「地形」と「気象」から日本史の出来事を解き明かす――。

 天皇、平清盛、源頼朝、武田信玄、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康――。土地を変化させ、快適な空間を造り、経済力の土台を築いた先人の叡智が満載! 登場する都市は東京(江戸)、京都、大阪、神戸、福岡、仙台、静岡、奈良、鎌倉、甲府など。土木工学のプロである技術者の視線が解き明かす、新しい日本通史。そして日本人のアイデンティティーの深層に迫る、斬新な竹村史観の書。

 なぜ、関ヶ原で天下分け目の合戦が行われたか、家康はなぜ駿府に隠居したのか、江戸は世界最大の都市になれたか、なぜ「利根川」は東に曲げられたか、信玄堤は隅田川にどう応用されたか……。 戦国時代から江戸時代、さらには明治以降も、河川のコントロールを中心に、日本各地で国土の強靭化が図られた。これによって暮らしの安心がもたらされ、活用できる土地が増え経済の繁栄がもたらされたのである。

地形によって歴史は変わる。地形を変えることで歴史はつくられる。

目次

【はじめに】

【1】奈良盆地での文明誕生

緑に囲まれた盆地/中央の湖を自由に行きかう舟/膨張する富への欲望/異常なほど直線型をした川/「分かち合い」の誕生/なぜ、恵みの奈良盆地を離れたのか?

【2】桓武天皇の京都への脱出

恵みの土地はの呪いの地へ/伐採された山々/奈良盆地から淀川流域への脱出/長岡京の落とし穴、巨椋池

【3】日本列島の地理的な中心・京都

京都の誕生/日本列島と淀川流域/街道と海路の集まるところ/世界史の例外、日本文明/1千年の都、京都

【4】平清盛と神戸への遷都

権威と権力/熊野古道の建設の執念/平安京は地獄の様相/神戸の地形/一瞬の権力者の都

【5】なぜ、頼朝は辺境の地・鎌倉に?

鉄壁の防御、鎌倉/湘南ボーイ、頼朝/荒廃の京/東日本に行く要の地/関東の大湿地帯/東日本を抑えた三浦半島

【6】モンゴル軍を破った福岡の地形

車の空白/牛馬を家族にした日本人/大陸の暴力/進軍できないモンゴル軍/福岡の泥地と丘や山/13世紀のベトナムとモンゴル戦/日本とベトナムとの統一戦線

【7】「信玄堤」という画期的な治水事業

戦国時代の奇跡/危険な甲府盆地/三社神社のお祭り/三分の一堰/21世紀への遺産

【8】信長が戦った比叡山と大阪の地形

上町台地の本願寺/比叡山延暦寺焼き討ちの理由/桓武天皇の鬼門/上町台地と湿地帯

【9】なぜ秀吉は大阪城をつくったか

家康を関東に追いやる/孤立した土地・江戸/上町台地の地下水脈/今も現役の「太閤下水」

【10】日本最初の運河・小名木川の謎

1590年代になされた工事/家康の自前資金で築造/関東制圧の地形の急所・国府台/干潟のアウトバーン/佃島の謎

【11】禿山の中の関ケ原の戦い

関ケ原での金網デスマッチ/島津の中央突破/見通せない風景/戦国時代は禿山だった

【12】家康が関東で発見した宝

不毛の地、江戸への帰還/フィールドワーカー家康/日本一の大穀倉地帯/地形との過酷な闘い

【13】利根川東遷事業の謎

関東の鬼門、関宿/利根川を銚子へ/400年後も継続されている

【14】都市を支える命の水

広重が描く虎ノ門のダム/塩分化していた地下水/玉川上水の完成/ダムは都心から消え山の中に/都市文明を支えるダム

【15】伊達政宗がつくった仙台

3.11で機能した仙台市の地下処理場/都市計画上の見事な条件/秀吉に学んだ街づくり/持続可能な水インフラ

【16】家康はなぜ静岡に隠居したか

駿河の国の府中=駿府/日本列島の東西の要/極めて特異な地形/安倍川がつくった鉄壁の軍事都市

【17】200年の平和が生んだ堤防と文化

江戸時代の国土誕生/平和な時代の新しい戦い/堤防の祭りと共同体意識

【18】日本堤と墨田堤の仕掛け

最初の洪水対策・日本堤/日本最初の治水ダム/吉原遊郭の移転/墨田堤でのお花見

【19】明暦火災後の復興事業

壁がない日本の都市/土と木と紙の都市、江戸/阪神淡路大震災での証明/火災の延焼と街路幅との関係/災害と生きる都市

【20】日本列島の旅とは歩くこと

中国、韓国との比較/縮めることが好きな日本人/荷物を背負って歩く日本人/いかに荷物を小さく、軽くするか/エネルギーを最小にする社会へ

【21】断崖絶壁の江戸文明

幕末に広重が描いた風景/東海道の山々の荒廃/燃料としての材木の需要増/全国の森林が消失する危機/化石エネルギーとの邂逅

【番外編】地形が生んだ「日本将棋」

世界に存在する盤上ゲーム/孤立している日本将棋/なぜ立像が駒形へ?/ある日本人の細工と詰め込み/持駒使用の刺激と興奮

以下のリンク先で購入できます