著者紹介
1937年、神奈川県鎌倉市生まれ。
東京大学名誉教授。医学博士。解剖学者。東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。
95年、東京大学医学部教授を退官後は、北里大学教授、大正大学客員教授を歴任。京都国際マンガミュージアム名誉館長。
89年、『からだの見方』(筑摩書房)でサントリー学芸賞を受賞。著書に、毎日出版文化賞特別賞を受賞したベストセラー『バカの壁』(新潮新書)のほか、『唯脳論』(青土社・ちくま学芸文庫)、『超バカの壁』『「自分」の壁』『遺言。』(以上、新潮新書)など多数。
内容
仮想現実、グローバリズム、同一化の圧力・・・・・・
「令和の常識」は、おかしなことだらけ。
流行に背を向け、地に足をつけて生きる自足のススメ!
システム化の進んだ現代社会では、「脳」ばかりを肥大化させようとしてきました。
するとどうなるか?
ヒトとしての調子が狂ってきます。
ジレンマを抱えたヒトは最悪の場合、自らモノを考え、動くことを放棄して、死んだも同然の状況になってしまいます。
(本文より要約抜粋)
目次
【まえがき】
【第1章】肥大化するシステムと、崩れ行く世間
- 表現者クライテリオンとの「縁」
- 保守思想と西部邁について
- 「重層的決定」を生きる脳
- 暗黙の了解で成り立っている「社会的現実」
- 脳は「違う回線」を使って「同じこと」をする
- 「カオス」のなかから「社会的現実」を作り出すこと
- ベルグソンと「専門家の壁」
- 「データ」が「現実」になってしまった時代
- カフカが描いた不条理―肥大化するシステムと日常生活
- グローバル化と崩れ行く世間
【第二章】システムを超える「もの」「自然」「身体」「国語」の手触りについて
- AI化する教育と「知の技法」
- 中村哲さんの死―「内発性」を抹殺するシステム
- 「国」のために死ねるか
- 国語と自然―養老孟司と福田恆存
- 「概念」ではなく「もの」に従うこと
- 「理解」と「解釈」の差異について
- 「身体」に耳を傾けること
- 「病は気から」―心身平衡論
- 「構造理解」が苦手な日本人
- 日本人と日本語
【第三章】「手入れという思想」~「バカの壁を超えるために」
- 分裂気質の日本人
- 温暖化論の虚実
- 「東京一極集中」について
- 「バカの壁」と「成長の限界」
- 「大学改革」と余裕の喪失
- 東京大学と京都大学の違い
- 「手入れという思想」と、西部邁との思い出
【第4章】「不気味なもの」との付き合い方
- 一年半ぶりの再会―コロナと不要不急
- ワクチンと安全保障
- 医療業界について
- 「ああすれば、こうなる」の接触八割削減
- 「戦前」を反復する「戦後」―国民を飢えさせる政府
- 「本気」を失った日本人
- 「意見」が先で、「事実」が後になってしまった時代
- 自足について―坂口恭平と自己本位
- 瞑想と身体―「意識」の突き放し方
- 虫と「不気味なもの」
- 解剖学と保守思想
- 「かたち」を読むこと
- 解剖学と被差別
【第5章】「自足」することと、「自立」すること
- 「修身」を忘れた現代人
- 「団塊の世代」について
- 「ダブルスタンダード」の拒絶―学問と人生
- 「アート」の居場所
- 七〇年代という分岐点
- 子どもと教育
- 「実感信仰」の射程―「生き方」としての学問へ
- カフカとゲーテ
- 犬も歩けば棒に当たる―「先が見えないほう」を選ぶこと
【第6章】「一元化」し得ない世界のなかで
- 「会話」することの楽しさ―虫と文学
- 複雑系とカオス
- グローバリズムのウソについて―「鎖国」のすすめ
- 「ノイズ」を切り落とすことの退屈
- 虫のコミュニケーション
- 虫好きな日本人
- 「地方再生」は地方の「自足」から
- 水が合う土地、合わない土地―鎌倉について
- 虫のいない世界について
- 「手入れの思想」再び―自然と伝統
〈番外編〉
グローバリズムについて コロナ禍を考えるために
【あとがき】