京都大学の藤井聡です。
新年、あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします。
この元日は、年明け早々の午前1時45分より、文字通り朝の5時50分まで『朝まで生テレビ・元日スペシャル』に登壇しました。生でご試聴頂いた皆様、録画でおってご覧いただいた皆様、長時間おつきあいいただき、本当にありがとうございました!
この「朝生元日SP」には、緊縮財政派の小林慶一郎氏や財務省出身の小幡積氏、反成長主義を唱えられる小川淳也氏等、必ずしも当方と意見が同じというわけではない……というより、時に正反対の意見をお持ちの論者がたくさんのご登壇になり、文字通り様々な「激論」となりました。
この討論は、今、デフレ脱却のために必要な「適切な財政論」がどこまで世間に浸透しているのか、そしてそれを通して日本の不況を終わらせ、成長、賃上げ、消費・投資拡大といった近未来を作り上げるために一体どの様な「課題」があり、如何なる「戦略」が得策なのかを占う上で大変に貴重な機会となりました。
ついては本日は、当方のメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記』に(https://foomii.com/00178)て配信しました下記の討論総括記事の第一弾(前半)、
https://foomii.com/publisher/delivery/00178/toarticle/id/103907
を(一部調整の上、ほぼ)そのまま下記にご紹介差し上げたいと思います。
この新年、2023年に真の不況脱却を果たすためにも、是非最後までご一読下さい!
―――――――――――――――――――――
『『朝まで生テレビ・元日SP』 機能的財政論者から見た討論〝総括〟と、日本再興に向けた現状と課題(前半)』
https://foomii.com/publisher/delivery/00178/toarticle/id/103907
【総論】
まず、総括的に申し上げると、かの朝生の約4時間の討論は、直前に配信していた本メルマガに記載しました想定シミュレーションと、概ね一致するかたちで展開したものと感じました。
https://foomii.com/publisher/delivery/00178/toarticle/id/103878
(『朝まで生テレビ・2023元旦スペシャル』に今から登壇!今回の登壇者を踏まえたシミュレーションを考えて見ました。是非ご一読の上ご視聴ください!!)
そして、当初想定していた最悪の展開よりは随分とマシな展開だったのではないかというのが、当方の率直な感想です。
ただし、想像以上に良いご反応をされた方もおられた一方で、想像以上に酷い輩(というかクズ)もいたりして、反省点も多々ございました。
以下、それぞれの点について総括して参りたいと思います。
【反成長論者/斉藤幸平的〝人新世派〟を撃破!】
まず、結構、良い展開となったなと感じている点から申し上げると、第一に、『成長なんて要らないんだ!』という主張を、案の定、小川氏は繰り返しましたが、これについては、事前に用意していた下記のグラフを使って、
「成長しなければ、中国に飲み込まれてしまうじゃないか!」
https://foimg.com/00178/MLkay7
と主張すると同時に、
「しかも成長できないと、格差が広がって、若者の生活を改善するための投資や補助金が少なくなって、若者の未来が暗くなるじゃないか!」
と主張しました。この後者の主張に、20代んぼたかまつななさんや、子育て支援を強く主張する40代の駒崎 弘樹さんも賛同される展開となりました。特にたかまつさんは、成長しなくて言いという小川さんに対して、
「そんな主張をする政党を支持するわけにはいかない!」
とご発言。これは、1年前の朝生の元旦SPで、当方が小川氏に言った台詞とほぼそのまま同じ台詞でした。この発言に、当方は大きな喝采を送りました。
そもそもこういう討論番組は、「どの意見が何分流れたか」も大事ですが「どの意見を、何人が言っていたか」という点も極めて大切。視聴者は、一人だけが言っていれば「あぁ、こいつはこういう考えなんだな」という「レッテル張り」をする事になりますが、複数名が同じ事を言っていると、「なるほど、そういう考え方もあるんだな」となるからです(例えば、社会心理学のアッシュの同調圧力の実験でこの点は実証されています)。
したがって今回の朝生元日SPでは、昨年と違って小川氏が主張する妙ちくりんな反成長論(学術名で言えば斉藤幸平の”人新世論”)をほぼ完全に鎮圧することが可能となったものと感じました。
1年前の朝生では、小川氏のこの反成長論が唐突にでてきて面くらい、十分に対処することができませんでした。この件について前回は大いに反省し、『「朝まで生テレビ 元旦スペシャル」で浮き上がった緊縮・改革派に次ぐ新しい反日勢力「人新世」派と「反積極」派』(https://foomii.com/00178/2022010221065989292)等の記事を配信していたくらいです。
で、今回はそうした前回の反省を踏まえ、こうした勢力の存在を十分に想定して準備してきたことが功を奏し、成長しなきゃヤバイだろ、という空気が支配的となったのは、今回の大きな「前進」「進歩」となったのではないかと感じています。
【消費減税ニッポン復活論の議論展開に成功。ただし課題あり。】
また、第二の点は、『増税反対論なぞナンセンスだ』という主張を何人かの論者が繰り返されましたが、それに対して用意した以下の三つのグラフをそれぞれ紹介することができた、という点です。これによって、一定数の消費税は、やっぱヤバいんじゃね?と感ずるに至ったのではないかと想像しています。
https://foimg.com/00178/w6TulP
https://foimg.com/00178/t6ICKd
https://foomii.com/thumbnail/https://foimg.com/00178/UN837u
この三つのグラフを見りゃ、おおよその方が「増税ヤバいんじゃね?」と気づくはずですから、これらのグラフを手元で見せながら比較的じっくりと解説することができたのは大きな成果だったと言えると思います。
で、最後には、
「だから、消費税を減税すれば、日本経済は復活できるんです。『消費減税ニッポン復活論』です!!!」
と(最近、税理士の森井さんと主張した近著https://www.amazon.co.jp/dp/459117509Xで主張していた内容を改めて)主張することもできたことは幸いでした。
ただし、消費税がこういう帰結をもたらす理由、つまり理論的背景について話す時間までは取れず仕舞いに終わってしまい、かつ、この「消費税ヤバイ論」に賛同する議論が続かず、当方の発言だけが単発に終わり、この「破壊的なデータ」の効力が十分に発揮させられることができなかったと感じています。ついては事前に多くの論者の耳にも届く形でこの主旨をさらに浸透させておくことが必要であった……という反省点を感じています。
【財政破綻論について、互角以上の闘争に成功】
第三に、『財政破綻するぞ~!だから国債なんてこれ以上無理ダ~!』という主張を、これもまたまた案の定、小幡氏、小林氏らが(まるで伝統芸能の様に)繰り返しましたので、これに対して、事前に準備していたこちらのグラフをお見せしつつ、
https://foimg.com/00178/AZymvN
「そもそも、借金が増え続けているのは、日本だけじゃない。アメリカもイギリスも増え続けているんです!借金が増えるからそれで破綻するなんてあり得ない。借金が増え続けるのは、至極当たり前のことなんです!」
と申し上げると同時に、
「国債は、政府の負債となり、これが後世に残りますが、国民の資産、つまりおカネを同時に後世に残すものなのです。政府が払った1万円は、それを受け取った人のところできえて無くなるのではない。その1万円はまた国民の間をぐるぐる回る形でずっと残り続けるのです。しかも、投資をすれば、モノものこる。人の能力もあがる。つまり、国債を出せば、負債も増えるけど、おカネも残るしモノも残るんです!それをみなきゃ行けないんです!」
とも解説しました。で、この「財政破綻論がオカシイ」という話は、森永さんも田内さんもそれぞれのお立場で追撃くださいました。森永さんは「政府には負債もあるが、資産も大量にあるわけで、それを差し引きすれば、事実上借金なんて無い!」という話、田内さんも「私はゴールドマンサックスで日本国債の担当をしていたが、重要なのは借金があるかないかという話ではなく、日本に生産能力があるかどうかだ、ということで、合意がとれたんです」という話はいずれも説得力のあるものとして、多くの視聴者に届いたのではないかと思います。
一点、予想外だったのが、若手のたかまつななさんが、「国債で借金を後世に残すのは問題だ!」と何度も発言されたこと。財務省側はにんまりしていたと思いますが、政治経済を最近聞きかじった格好で勉強しはじめたタイプによくアリがちな反応だったのですが、これに対しては、同じく若手の駒崎さんが
「政府には通貨発行権があるんだから、あんまり借金が大変ダ大変ダというのはよくないですよ」
とたかまつさんを嗜められたのが印象的でした。これまでは、経済が専門でない方の口から、こういう、我々が主張していた「破綻は噓だ論」が出てくることは全く無かったのですが、遂に、こういう一般の論者の方々の間にも「破綻は噓だ論」が浸透してきたことは素晴らしい状況だなと感じた次第です。
……ということで、本日は、「成長しなきゃいかんし、そのために増税はダメだし、国債は問題無い、と言う話」が一定伝えることができた、という総括でありましたが、これ以上の総括については……また明日、お話したいと思います。
ではまた、明日!
―――――――――――――――――――――
……以上、いかがでしょうか……?
是非、今年2023年・令和5年の「積極財政」の展開に向けた「傾向と対策」を考えるためにも、上記総括、御参照いただければ幸いです。
それでは、皆様、本年もよろしくお願い致します!!
藤井 聡
追伸:本日ご紹介したメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記』(https://foomii.com/00178) では、会員の方限定で、上記を配信した1月2日の翌日の3日に、上記総括の続きとなる「後半」;
『朝まで生テレビ・元日SP』 機能的財政論者から見た討論〝総括〟と、日本再興に向けた現状と課題(後半)
https://foomii.com/publisher/delivery/00178/toarticle/id/103927
そして、本日4日には「番外編」;
『朝まで生テレビ・元日SP』討論総括(番外編)〝機能的財政論〟が合意形成の鍵となる!?…ただしザイム真理教のメンターには何やっても無駄です…というお話。
https://foomii.com/publisher/delivery/00178/toarticle/id/103964
をそれぞれ配信しています。さらに詳しく、2023年・令和5年の積極財政の「傾向と対策」にご関心の方は是非、ご一読下さい。
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