【藤原昌樹】「不都合な真実」に沈黙を続ける平和主義者たち―「安和事故」証拠映像を巡って―

藤原昌樹

藤原昌樹

証拠映像の確認を拒絶する玉城デニー知事と「オール沖縄」

 

 2024年10月31日の定例記者会見において沖縄県の玉城デニー知事は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に抗議する女性を制止した警備員がダンプカーに巻き込まれて死亡した事故(2024年6月28日)を巡って、事故当時の状況を記録したカメラ映像を伝えた『産経新聞』の報道に対して「捜査中の証拠となり得るものは、報道を差し控えるべきではないか」と批判し、「映像が(報道機関に)提供されたことは由々しき問題だ」との認識を示し、事故当時の映像について「(玉城知事自身は)視ていない」と強調しました。

 記者から映像を確認しない理由を尋ねられた玉城知事は「事故の詳細については現在、警察で捜査中であり、事故映像の報道に係る内容について見解を述べることは今の段階では差し控える」と述べています(注1)

 

 当該事故については、以前の記事(注2)で「たとえ県知事に抗議活動を禁止する権限がなく、取り締まるために必要な法的根拠が未だ整備されていないのだとしても、非常識で危険な抗議活動をする輩に対して、遠慮がちに『地域住民の安全安心への配慮』を求めるだけではなく、強く非難することで彼らを諫めて危険な抗議活動を止めさせるように努めるのではなければ、『県民の安全』への責任を果たしていると言うことはできない」として、事故に対する玉城知事の姿勢を強く非難しました。

 また、同記事では、「牛歩」戦術による抗議活動をする人々について、彼らから「警備員による無理な誘導」や「運転手の安全確認不足」「強硬に工事が推し進められていること」に事故原因を求めて政府の責任を追及する声は上がるものの、危険なやり方による抗議活動で人命が失われる事態を招いてしまったことを悔いたり、自らの行動を省みたりする様子は見られず、自己弁護に終始しているように見受けられることや、さらにはこの度の悲劇をも自分達の政治的主張を訴えるための道具として利用しようとする平和主義者たちの姿は醜悪そのものであると批判的に論じています。

 

 事故の記録映像を巡っては、10月9日の県議会の土木環境委員会で「県の安全対策が適切であったのか、事故当時の映像を閲覧して確認すべきだ」との動議が出されて、周辺の安全対策について協議するために「沖縄防衛局から防犯カメラ映像の提供を受けて10月11日に非公開で映像を確認すること」が可決されました(注3)

 

辺野古抗議事故 動かぬ「証拠」露見懸念か 与党会派、異例の委員長不信任案動議 – 産経ニュース

 

 しかしながら、玉城知事を支持する県政与党会派(いわゆる「オール沖縄」)の議員らが「映像の出所や内容も曖昧だ」などと猛反発し、事故で重傷を負った女性の代理人が「プライバシーの侵害」や「刑事事件の記録(証拠)となり得る映像の開示は認められない」などとして閲覧中止を求める申入書を(10月11日の午前中に)県議会に提出したことなどを理由に「閲覧すべきかどうか改めて協議が必要だ」と主張して閲覧の中止を求めました。

 その結果、映像の閲覧を拒否した県政与党会派の委員5人を除く県政野党会派の委員7人のみが防犯カメラ映像を確認することになり、協議することなく一部の委員だけで映像が閲覧されたことを受けて、県政与党会派は委員長への不信任案動議を提出しました。県議会の常任委員会で委員長への不信任案が提出されたのは初めてのことであり、この不信任案は否決されています。不信任案の否決後に与党会派の議員は審議を拒否して退席し、委員会終了後に開いた記者会見で「悲惨な事故であり、警察による原因究明がはっきりしない中、委員会で議論や原因究明をできる状況ではない」「今後にも禍根を残しかねない乱暴な委員会運営と言わざるを得ない」と批判しています。

 

 玉城知事が事故の証拠映像を確認しようとしないのは、県政与党会派の議員たちと行動を共にしているということでしかなく、それ以外に何ら合理的な理由が示されている訳ではありません。

 当該映像を広く一般に公開することについては、亡くなられた警備員のご遺族やダンプカーの運転手、誘導していた警備員など、はからずも事故の当事者となってしまった人々への誹謗中傷など二次被害が発生する可能性を否定することができず、事故の当事者及び関係者への配慮が必要となり、慎重に対処しなければならないのは当然のことです。

 しかしながら、事故の状況を記録した映像は、事故の真相を究明して再発防止策や安全対策を講じる上での重要な資料であり、それを広く一般に公開するのではなく、関係者が非公開の形で閲覧・確認することは何ら問題がないどころか、必要なことであるのは論ずるまでもない当たり前のことです。「警察による原因究明がはっきりしない中、委員会で議論や原因究明をできる状況ではない」として拒否するのは全く説得力がない詭弁でしかなく、安全対策や再発防止策を検討する立場の委員や県政の最高責任者である県知事が閲覧や確認を拒否することは、自らの責任を放棄する無責任な振る舞いであると断ぜざるを得ません。

 

理不尽な主張を展開し、醜悪な振る舞いを続ける平和主義者たち

 

 事故発生直後から、普天間飛行場の「辺野古移設」に反対する市民団体による抗議集会が幾度となく開かれており、彼らは危険な方法で抗議活動をする自分たちの非や責任を認めて反省することはなく、あくまでも事故原因は安全確認を怠った警備員とダンプカーの運転手にあるとして、強引に工事を推し進める政府の責任を訴え続けてきました(注2)

 

 玉城デニー知事の支持母体である「オール沖縄会議」は、8月2日に防衛省沖縄防衛局に対して、事故原因の究明と安全対策が整うまで全工事の中止を求める要請書を提出しました。その際、防衛局の伊藤晋哉局長が「安全を確保する観点から(抗議者が)工事車両の前に飛び出さないよう必要な警告を行うなどの対応を取りつつ工事車両の誘導を行ってきた」と述べた上で「引き続き安全に留意しながら工事を進めていく」との考えを示したことに対して、「オール沖縄会議」の幹部から「抗議者が飛び出したかのような言い分は問題だ」「あなたは沖縄県民を1人殺してしまった責任者だ」などといった声が相次ぎ、要請は1時間近くに及んだと報じられています(注4)

 

 「オール沖縄会議」による「安和桟橋出口での辺野古土砂搬送ダンプトラックによる死傷事故について」と題する要請書(注5)では、「事故の背景」として「警備会社・事業者・抗議者の間で『暗黙のルール』ができていた」「抗議行動は安全に配慮して行われてきたので、これまで大きな事故も起こらなかった」にもかかわらず、「防衛局が辺野古新基地建設事業の工事を急ぐために、安全管理を怠り、埋立土砂を搬送するダンプの回転を速めようとしたことが今回の事故の背景にあるのではないだろうか」と記しています。

 また、「事故の経過」について「ダンプは…抗議を受けて車両乗入部の中間地点で一度停止しており、(最初に警備員に制止された)Bさん、(今回の事故で負傷した)Aさん、(今回の事故で亡くなられた)警備員のUさんらが抗議・移動するのが常に『死角』で見えなかったとは考えられない」「たとえ衝突時は『死角』であったとしても、その前に、サイドミラー、アンダーミラー、助手席下の巻き込み防止の小窓等で確認できたはずである」としてダンプカーの運転手の安全確認が不十分であったとの認識を示し、「車両乗入部とは、敷地の所有者が車両の出入りのために道路管理者の許可を受けて歩道に設置したもので…あくまでも歩行者の通行が優先される場所である」「警備員らはまずダンプを止めるべきだったのであり、市民らの歩行を制止したことは法的にも許されない」として警備員が不適切な誘導をしていたと指摘することで、あくまでも事故の直接的な原因は(抗議活動をする市民の側ではなく)安全確認を怠った警備員とダンプカーの運転手にあると主張しています。

 その上で、沖縄防衛局に対して「全ての工事を中断し工事の在り方を全面的に見直すこと」「事故原因が究明され、安全対策がされるまでの間は、土砂搬出作業を中止すること」「一方的に搬出作業の再開を決めるのではなく、『事故原因』『安全対策』について知事に説明すること」などを要請し、最後に「私たちの抗議運動は、辺野古新基地建設反対という県民の民意に基づく行動である」「憲法第21条により保障された基本的人権としての市民の表現の自由の行使であり、憲法の実践でもある」「今回、負傷した市民を含め、現場で抗議運動に参加している市民には、非難されるべき事情は全くない」「私たちはこれからも、県民の民意と憲法に従い、安全に配慮しながら、現場での抗議運動を継続する」と宣言して要請書を締めくくっています。

 

 『琉球新報』や『沖縄タイムス』では、「オール沖縄会議」の要請書と同様に「沖縄防衛局や警備会社などの安全管理に不備があった」「これまでは運転手、警備員、抗議者の間に事故回避のための『暗黙のルール』があったが、国(政府)が現場を締め付けることによって、その『暗黙のルール』が破られることになり、事故発生に繋がった」など、事故原因は「警備員による無理な誘導」「運転手の不十分な安全確認」や「政府が強硬に辺野古移設の工事を推し進めていること」であると主張するキャンペーンが繰り広げられています(注6)

 

 10月18日付の『産経新聞』の記事(注7)でも言及されているように、『琉球新報』では、今回の事故原因を「強引に辺野古移設を進める国策」に求める一連のキャンペーン記事(注8)において、当該事故で重傷を負った女性について「フェニックス(不死鳥)さん」と呼ばれていると紹介しています。同記事では「女性が手術前に残した『骨は折れても心は折れない』の言葉に奮い立った市民が目立つ」として「あなたの言葉が報告された時、涙を止めることができなかった。大変な時にあなたが必死に私たちにかけたエールをしっかりと受け止めました。あなたと共に歩きます」「あなたの元気な歌声に現場で励まされてきた。またあの歌声を聞きたい。待ってます」「新基地断念まで小さな力を結集したい。再び戦場にさせない」など彼女宛の寄せ書きをいくつも書き連ねて「女性の言葉に勇気づけられた市民の新基地建設阻止の誓いがつづられている」というように、抗議活動の現場において彼女が英雄視され始めている(とも読み取れる)様子を伝えています。

 

 以前の記事(注2)、私は「もし抗議活動をしていた女性が亡くなってしまっていたとしたら、裁判でも敗訴が続いて低迷し始めている『辺野古移設に反対する運動』の殉教者の如くに祀り上げられてシンボルとなり、『沖縄における基地反対運動』を再び盛り上げることに寄与することになっていたに違いありません」と論じましたが、事故で負傷した女性は、幸いなことに亡くなることはなく、殉教者とはならなかったものの、「沖縄における基地反対運動」の女性ヒーロー、シンボルとして祀り上げられるようになっている、少なくとも、そのように仕向ける動きがあると言えるように思えます。

 

 同じ記事で、私は「抗議活動を行っている市民団体や組織によって行なわれた追悼の集いや緊急抗議集会などでは、亡くなられた警備員の方の冥福を祈る言葉が語られ、黙祷が捧げられていましたが、自らの非と責任から目を背けて自己保身に奔走する輩によって捧げられる祈りの言葉は空疎に響くばかりです」と書きました。

 「オール沖縄会議」の要請書では、その冒頭で「亡くなられた警備員さんのご冥福をお祈りし、ご遺族の方に心よりお悔やみを申し上げます」と追悼の言葉が掲げられてはいるものの、その要請書に記されているのは、危険な方法で抗議活動をする市民について「非難されるべき事情は全くない」として免責し、亡くなられた警備員の方に事故の責任を押し付ける内容であり、そこから警備員の死を悼む思いを汲み取ることはできません。

 また、前述の『産経新聞』の記事が指摘しているように、負傷した女性を「フェニックス(不死鳥)さん」として紹介する『琉球新報』の記事(注8)では、亡くなられた警備員を悼む言葉が一言もないどころか、当該事故で警備員が亡くなられた事実について言及することさえしていません。

 

 沖縄県議会(10月4日)の一般質問において、島袋大議員(沖縄自民党・無所属の会)が今回の事故で亡くなられた警備員のご遺族からのメッセージを読み上げました(注9)

 

 「報道やSNSでは、妨害者に非はなく、非があるのは、強引な警備なのではないかとの誹謗中傷がほとんどであり、妨害活動が問題ないことにされ、家族の死がなかったことのように扱われることに対して精神的に辛く、心を痛めていたところ、最近では妨害者を褒め称える声さえあり、さらに憤りを強く感じ、辛く許せない思いである。そして、車椅子でも抗議活動を再開するなどともあり、不死鳥フェニックスなどと褒め称えているようであります。今までで一番憤りを感じる記事(注8)でした。本当に本当に許せないですし、とても辛いです」

 

 「オール沖縄会議」の要請書や『琉球新報』『沖縄タイムス』両紙で展開しているキャンペーンなどにおいて、「牛歩」戦術といった無謀な方法で抗議活動を行ってきた人たちや彼らを支持・支援する「オール沖縄会議」をはじめとする平和主義者たちが、自分達の非と責任を認めることなく、「今回、負傷した市民を含め、現場で抗議運動に参加している市民には、非難されるべき事情は全くない」と開き直って自己正当化し、あくまでも事故原因は安全確認を怠った警備員とダンプカーの運転手にある―亡くなられた警備員にも何らかの過失があったということを暗に含んでいる―と主張し続けることは、不幸にして事故の当事者となってしまった運転手と警備員の苦悩に追い打ちをかけ、被害者である亡くなられた警備員、そして大切な家族を失い、深い悲しみに苛まれているご遺族の方々をさらに鞭打つかのような極めて酷薄な行為であるように思えてなりません。

 

 「命どぅ宝(ぬちどぅたから)=命こそ宝」という言葉を信条に掲げる沖縄の「平和主義者」たちが、自分達の無謀で危険な抗議活動によって引き起こされた事故で警備員の方が亡くなられたという事実、そして、大切な家族を失った遺族の憤りと悲しみといった悲痛な思いに対して何を思うのか、問い質してみたいところです。

 

白日の下に晒された「不都合な真実」

 

 『産経新聞』は、独自に関係者から事故のカメラ映像―県議会土木環境委員会で閲覧されたものと同じ映像―を入手し、プライバシー保護のために一部加工した上で公開しており、現在もネット上で閲覧できる状態となっています(注10)。前述したように、当該映像を一般公開することについては、事故の当事者や関係者への誹謗中傷など二次被害の防止など一定の配慮が必要であり、玉城知事による『産経新聞』の報道に対する批判も一概に否定することはできません。しかしながら、当該映像が公開されたことによって、私たちが事故当時の状況を知ることができるようになったことは間違いありません。

 

 公開された映像や関係者の証言によると、死亡した警備員は当初、重傷を負った女性とは別の抗議者に対応しており、この抗議者を歩道に誘導しましたが、歩道後方から足早に近づいてきた女性が警備員と抗議者の間をすり抜けて、徐行しながら国道へと向かうダンプカーの前に飛び出し、警備員が女性をかばうように制止しようとしてダンプカーと女性との間に割って入る形となり、そのままダンプカーの左前面に衝突することになったことを確認することができます。その間、わずか10秒ほどの出来事です。

 

 現時点では事故に関する検証が終わっておらず(注11)、事故を起こしてしまったダンプカーの運転手と誘導していた警備員、そして「牛歩」を止めようとして亡くなられてしまった警備員に何らかの過失があったかどうかについて予断や軽率な発言は差し控えなければなりません。しかしながら、映像を見る限りでは、「牛歩」戦術という無謀で危険な抗議活動が行われていること―負傷した女性が警備員の制止を無視してダンプカーの前に飛び出したこと―が一義的な事故原因であることは火を見るよりも明らかです。

 

 映像という動かぬ「証拠」によって、「オール沖縄」や平和主義者たちの主張―「警備員による無理な誘導」「運転手の不十分な安全確認」が事故の原因である―が揺るぎかねない「不都合な真実」が白日の下に晒されたと言って過言ではありません。

 

沖縄の平和主義者たちへ-「不都合な真実」に真摯に向き合うことを期待する

 

 コラムニストの乾正人氏は、前述の『産経新聞』の記事(注7)を「沖縄2紙やNHKはそろって映像の中身を詳しく報じていない。これでは、なぜ県議会が大騒ぎしているのか読者にはさっぱりわからない。やはり映像は、基地反対派にとって『不都合な真実』だったのか。沖縄2紙もNHKも知る権利や人権擁護には熱心なはずだが、はて。警備員には人権はないのだろうか」と締めくくっています。

 

 私自身が見逃してしまっている可能性を否定することはできませんが、『産経新聞』が「事故の映像」を公開して以降、定例記者会見における玉城知事のように「『産経新聞』が映像を公開したこと」について非難するコメントは散見されるものの、映像に記録されている「事故の状況」そのものについて、「オール沖縄会議」をはじめとする「辺野古移設」に反対して抗議活動をしている市民団体など「事故の当事者」であると言っても過言ではない平和主義者の組織や団体、そして『琉球新報』や『沖縄タイムス』をはじめとする沖縄のメディアが「どのように認識し、評価しているのか」といった見解を(本記事を執筆している時点において)確認することができておりません。

 

 事故発生直後から抗議集会を繰り返し、『琉球新報』『沖縄タイムス』でキャンペーンを展開するなどして「事故原因は安全確認を怠った警備員とダンプカーの運転手にある」「強引に工事を推し進める政府の責任である」と積極的にアピールしていたのと対比して、事故の「証拠映像」を「どのように認識し、評価しているのか」については沈黙するという消極的な姿勢を貫くということであるのならば、あまりにも対照的であり、沖縄の平和主義者たちにとって事故の「証拠映像」が「不都合な真実」であったとの疑念を持たれても仕方がないことであるように思えます。

 

 「今週の雑談」で柴山桂太氏と対談した際に、『琉球新報』や『沖縄タイムス』など沖縄のマスメディアについて、次のような趣旨でお話ししたことがあります(注12)

 

 「彼らの主義・主張は非現実的な『平和主義』に基づくものであり、憲法9条を堅持することを主張し、我が国の防衛・安全保障を強化することについて否定的な立場を貫いており、その報道姿勢が中立公正ではなく偏向しているとして批判されることが少なくありません」「私自身も自らの主義・主張とは異なる彼らの主義・主張については賛同できないことが多く、機会ある毎に繰り返し批判的に論じてきました」「しかしながら、私は『沖縄の基地問題』や『沖縄戦の歴史』など全国紙が取り上げないようなテーマについて、彼らが地域に密着している地元紙ならではの情報網と取材力を駆使して報道し続けていることについては非常に高く評価しているのであり、『琉球新報』と『沖縄タイムス』が提供してくれる情報がなければ『沖縄』に関する記事を書くことはできません」

 

 事故の「証拠映像」に記録されている事実は、沖縄の平和主義者たちのみならず、『琉球新報』や『沖縄タイムス』をはじめとする沖縄のマスメディアにとっても「不都合な真実」であると言えるのかもしれません。しかしながら、いわゆる「沖縄問題」が解決するためには、たとえ「不都合な真実」であったとしても真摯に対峙しなければならないということは、改めて論ずるまでもない自明のことです。

 

 「不都合な真実」から逃げ続けるのは卑怯で醜悪な振る舞いであり、沖縄の平和主義者たちが、そのことに無自覚のままでいるのであれば、たとえ彼らが美辞麗句を並べ立てて「平和主義」の理想を語ったところで、その言葉は誰にも届かないに違いありません。彼らが、臆することなく「不都合な真実」に真摯に向き合う日が来ることを期待しつつ、筆を置きたいと思います。

 

————————————–

(注1) 沖縄・玉城知事「報道差し控えるべきだ」辺野古抗議活動で警備員死亡事故の映像報道を批判 – 産経ニュース

令和6年度(2024年4月~)の定例記者会見|沖縄県公式ホームページ

(注2) 【藤原昌樹】醜悪な姿を晒し続ける平和主義者たち ―安和桟橋におけるダンプカー死傷事故を巡って―(前半) | 表現者クライテリオン

(注3) 安和事故の映像確認へ 11日、県土木環境委 沖縄県議会 – 琉球新報デジタル

(注4) 辺野古ダンプ事故「あなたは県民を殺した責任者」 オール沖縄が防衛局に工事中止要請 – 産経ニュース

(注5) 安和桟橋出口での辺野古土砂搬送ダンプトラックによる死傷事故について | オール沖縄会議 公式ウェブサイト | 沖縄の基地問題について知ってほしい。 私たちは「オール沖縄会議」です。

(注6) 国策と闘う の記事一覧 – 琉球新報デジタル

(注7) 「安和事故」映像は不都合な真実か 元朝日記者が沖縄で書いた記事を読んでみた 大手町の片隅から 乾正人 – 産経ニュース

(注8) 「骨は折れても心は折れない」女性の言葉から勇気 辺野古抗議の市民ら、安和事故で被害の女性へ寄せ書き<国策と闘う> – 琉球新報デジタル

(注9) [一般質問] 島袋大 令和6年第3回沖縄県議会9月定例会

(注10) <独自>辺野古抗議活動制止警備員死亡 事故映像を入手 11日に県議会で映像確認へ – 産経ニュース

(注11) <独自>辺野古抗議活動制止の警備員死亡 沖縄県警、事故現場で実況見分 – 産経ニュース

(注12) 今週の雑談06(柴山桂太 ✕ 藤原昌樹) | 表現者クライテリオン

 

(藤原昌樹)

 


 

<編集部よりお知らせ>

最新号『表現者クライテリオン2024年11月号』が好評発売中!是非ご一読ください。

本書の購入はこちらから!

よりお得な年間購読(クライテリオン・サポーターズ)のお申し込みはこちらから!サポーターズに入ると毎号発売日までにお届けし、お得な特典も付いてきます!。

サポーターズPremiumにお入りいただくと毎週、「今週の雑談」をお届け。
居酒屋で隣の席に居合わせたかのように、ゆったりとした雰囲気ながら、本質的で高度な会話をお聞きいただけます。

 

執筆者 : 

CATEGORY : 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

メールマガジンに登録する(無料)