2021年9月24日発売

AI支配で人は死ぬ。――システムから外れ、自分の身体で考える――

  • 養老孟司 著

著者紹介

1937年、神奈川県鎌倉市生まれ。

東京大学名誉教授。医学博士。解剖学者。東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。

95年、東京大学医学部教授を退官後は、北里大学教授、大正大学客員教授を歴任。京都国際マンガミュージアム名誉館長。

89年、『からだの見方』(筑摩書房)でサントリー学芸賞を受賞。著書に、毎日出版文化賞特別賞を受賞したベストセラー『バカの壁』(新潮新書)のほか、『唯脳論』(青土社・ちくま学芸文庫)、『超バカの壁』『「自分」の壁』『遺言。』(以上、新潮新書)など多数。

内容

仮想現実、グローバリズム、同一化の圧力・・・・・・
「令和の常識」は、おかしなことだらけ

流行に背を向け、地に足をつけて生きる自足のススメ!

 

システム化の進んだ現代社会では、「脳」ばかりを肥大化させようとしてきました。

するとどうなるか?

ヒトとしての調子が狂ってきます。
ジレンマを抱えたヒトは最悪の場合、自らモノを考え、動くことを放棄して、死んだも同然の状況になってしまいます。

(本文より要約抜粋)

目次

【まえがき】

【第1章】肥大化するシステムと、崩れ行く世間

  • 表現者クライテリオンとの「縁」
  • 保守思想と西部邁について
  • 「重層的決定」を生きる脳
  • 暗黙の了解で成り立っている「社会的現実」
  • 脳は「違う回線」を使って「同じこと」をする
  • 「カオス」のなかから「社会的現実」を作り出すこと
  • ベルグソンと「専門家の壁」
  • 「データ」が「現実」になってしまった時代
  • カフカが描いた不条理―肥大化するシステムと日常生活
  • グローバル化と崩れ行く世間

【第二章】システムを超える「もの」「自然」「身体」「国語」の手触りについて

  • AI化する教育と「知の技法」
  • 中村哲さんの死―「内発性」を抹殺するシステム
  • 「国」のために死ねるか
  • 国語と自然―養老孟司と福田恆存
  • 「概念」ではなく「もの」に従うこと
  • 「理解」と「解釈」の差異について
  • 「身体」に耳を傾けること
  • 「病は気から」―心身平衡論
  • 「構造理解」が苦手な日本人
  • 日本人と日本語

【第三章】「手入れという思想」~「バカの壁を超えるために」

  • 分裂気質の日本人
  • 温暖化論の虚実
  • 「東京一極集中」について
  • 「バカの壁」と「成長の限界」
  • 「大学改革」と余裕の喪失
  • 東京大学と京都大学の違い
  • 「手入れという思想」と、西部邁との思い出

【第4章】「不気味なもの」との付き合い方

  • 一年半ぶりの再会―コロナと不要不急
  • ワクチンと安全保障
  • 医療業界について
  • 「ああすれば、こうなる」の接触八割削減
  • 「戦前」を反復する「戦後」―国民を飢えさせる政府
  • 「本気」を失った日本人
  • 「意見」が先で、「事実」が後になってしまった時代
  • 自足について―坂口恭平と自己本位
  • 瞑想と身体―「意識」の突き放し方
  • 虫と「不気味なもの」
  • 解剖学と保守思想
  • 「かたち」を読むこと
  • 解剖学と被差別

【第5章】「自足」することと、「自立」すること

  • 「修身」を忘れた現代人
  • 「団塊の世代」について
  • 「ダブルスタンダード」の拒絶―学問と人生
  • 「アート」の居場所
  • 七〇年代という分岐点
  • 子どもと教育
  • 「実感信仰」の射程―「生き方」としての学問へ
  • カフカとゲーテ
  • 犬も歩けば棒に当たる―「先が見えないほう」を選ぶこと

【第6章】「一元化」し得ない世界のなかで

  • 「会話」することの楽しさ―虫と文学
  • 複雑系とカオス
  • グローバリズムのウソについて―「鎖国」のすすめ
  • 「ノイズ」を切り落とすことの退屈
  • 虫のコミュニケーション
  • 虫好きな日本人
  • 「地方再生」は地方の「自足」から
  • 水が合う土地、合わない土地―鎌倉について
  • 虫のいない世界について
  • 「手入れの思想」再び―自然と伝統

〈番外編〉

グローバリズムについて コロナ禍を考えるために

【あとがき】

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