西部邁氏が創刊した『発言者』『表現者』の後継誌として、藤井聡・柴山桂太・浜崎洋介・川端祐一郎の編集体制で2018年2月より隔月刊で発行。
右翼とも反左翼とも異なる「真正保守」の立場で、人間と社会に関わるあらゆる問題を論じます。
◆特集対談
・「GAFAM支配」を打ち破る国家の構想/ 斎藤幸平×施 光恒
・「AIと生きる」と語る社長たちの盲点 これからの時代に生き残るリーダーの条件/ 波頭 亮×岩尾俊兵
【巻頭オピニオン・コラム】
・グローバリズムを非難する帝国主義者/ 柴山桂太
・非国民のすゝめ 命を粗末にすべし/ 小幡 敏
【特集論考】
・人工知能が知能ではないこと/ 前田英樹
・AIはどのような知性か 哲学からの考察/ 納富信留
・自己消去としてのAI AI as self-erasure/ マシュー・B・クロフォード
・AIは、世界の意味を空疎にする/ 木村史人
・ビッグテックの経営者はAIをいかに語るのか メタCEOの、哲学の両義性/ 井上弘貴
・アルゴリズム的統治性における近代的主体としての「人間」の行方/ 木澤佐登志
・「技術礼賛」に抗するSF思考 未来という「断絶」へ向かって/ 前田龍之祐
・AIは国家の夢を見るか 「技術」に未来を語らせるものは何か/ 小幡 敏
【連載】
・伊藤貫のワシントン・ラプソディ 第一回 哲学的な思考力の必要性について 視野狭窄の国粋主義・天皇崇拝主義を批判する/ 伊藤 貫
・虚構と言語 戦後日本文学のアルケオロジー 第四十六回 世界潮流の中の日本 沖縄という鏡/ 富岡幸一郎
・満洲こぼれ話 第8回 平民列伝②/ 小幡 敏
・「農」を語る 第2回 稲作に込められた先祖の知恵/ 荒谷 卓×小野耕資
・儒学者たちの実存と実像② 孟子 「王道政治」の純粋と挫折/ 大場一央
・私の戦後史論 第一回 歴史に空いた「穴」戦後日本人の「ふるさと」をめぐって/ 浜崎洋介
・考える機械を考える 第2回 古きよき人工知能/ 川端祐一郎
【書評】
・『「学問」の本筋 柳田國男と双極の民俗学』大塚英志 著 挫折し孤立するも、社会を変えんとした男/ 小野耕資
・『リベラリズムからの体制転換 ポストリベラルと共通善保守主義』パトリック・J・デニーン 著/ 粕谷文昭
・『まったく新しいテクスト分析の教科書』阿部幸大 著/ 山田陣之祐
・『日本人の精神 「おのずから」の歴史意識』佐伯啓思 著/ 髙橋直也
【その他】
・東大女性教授の不敬発言騒動/非人間的な、あまりに非人間的な「超知能」を語る専門家(保守放談)
・読者の皆様へ
・塾生のページ
・読者からの手紙(投稿)
AIへの過剰な期待と恐怖は、知識人から庶民にまで深く浸透しつつある。
「テック右派」は、この新技術によって社会を根本から書き換えようとする野望を隠さない。同様の傾向は、「デジタル・レーニン主義」と評される中国の国家ビジョンにも見られる。彼らは人間の泥臭い政治的葛藤や社会の複雑さを、無限の能力を持つ計算機(AI)のアルゴリズムによって解決(無化)できるはずだ、という傲慢な近代合理主義の前提を共有している。庶民の次元においても、重要な判断や意思決定すらAIに委ねる事態が進行している。
その背後には、自らの決断とその責任から逃避したいという大衆的願望が透けて見える。この新たな「合理性」への夢想と依存は、絶対的な価値基準を見失った現代人が無意識のうちにすがりつく「神なき時代のAI教」とでも呼ぶべき病理である。
私たちはこの「合理性」にどう抗うべきか。狂騒から抜け出す第一歩は、この技術を未曾有の魔法として崇めるのではなく、我々が歴史の中で扱ってきた「道具」の一つとして冷徹に位置づけ直すことである。
本特集は、虛心坦懐にAIという技術の本質を見極めるとともに、哲学や歴史、思想の観点からこの「AI教」の正体を解剖する。問うべきは技術の行方ではなく人間の知的営為そのものである。そのことによってのみ、AIが我々から奪うものを明らかにし、我々が正気を取り戻すための確かな視座を得ることができるはずだ。
表現者クライテリオン編集部