西部邁氏が創刊した『発言者』『表現者』の後継誌として、藤井聡・柴山桂太・浜崎洋介・川端祐一郎の編集体制で2018年2月より隔月刊で発行。
右翼とも反左翼とも異なる「真正保守」の立場で、人間と社会に関わるあらゆる問題を論じます。
2020年5月号(通巻90号) 4月16日(木)発売
【緊急インタビュー】
我々は「新型コロナウイルス」とどう「付き合って」いくべきか?――ウイルス学の専門家に聞く/宮沢孝幸 聞き手:藤井聡
【特別インタビュー】
養老孟司、常識を語る(第2回)システムを超える「もの」――「自然」「身体」「国語」の手触りについて/聞き手:浜崎洋介
【特集】
中国化する世界――加速主義の誤謬と保守主義の必然/与那覇潤×本誌編集部
「機械化」のネクロフィリア――「未来主義」とその周辺/浜崎洋介
中央アジアに見る中華「現在」主義/宇山智彦
没落する西洋と躍進する中国――中華未来主義とは何か/木澤佐登志
共産党支配をめぐる思想闘争――現代中国における「新権威主義」体制から「新全体主義」体制への移行/石井知章
未来主義というノスタルジア/佐藤健志(一言一会)
「中華未来主義」文学座談会 現代中国の「想像力」を読む――劉慈欣『三体』をめぐって/富岡幸一郎+本誌編集部
【新連載】
国際政治学のパラダイム(第1回) 経済相互依存と制度主義/伊藤貫
【連載】
認識力欠損の危機/大石久和(「危機感のない日本」の危機 )
農は生の本なり――農から社会を組み立て直す/池上甲一(農は国の本なり)
フランス国民の共同体を取り戻せ(フランス保守論客インタビュー ジャン=ラサール「抵抗せよ」党首・下院議員 前半)/聞き手:及川健二
追悼 古井由吉――現代文学の最高峰/富岡幸一郎(虚構と言語 戦後と日本文学のアルケオロジー)
伝統論再考――「創られた伝統」論の意義と限界/柴山圭太(「常識」を考える)
平和から生まれた国土と共同体――二百六十年間の江戸時代/竹村公太郎(地形がつくる日本の歴史)
青年よ、荒野をめざせ/磯邉精僊(問ひ質したきことども)
陰謀論の衝突と、米中文明の相似性/川端祐一郎(思想と科学の間で)
ヘブライ語復興運動と政治共同体の絆――言葉から考える(3)/施光恒(やわらか日本文化論)
理念にも動作環境がある/佐藤健志(だからこの世は宇宙のジョーク)
過度のバッシングが招く「霞が関崩壊」/松林薫(逆張りのメディア論)
メディア出演瓦版/平坂純一
編集長クライテリア日記/藤井聡
【書評】
『歴史に残る外交三賢人 ビスマルク、タレーラン、ドゴール』伊藤貫 著/磯邉精僊
『評伝 西部邁』高澤秀次 著/田中孝太郎
『魂と無常』竹内整一 著/薄井大澄
『ハイデガーの超-政治――ナチズムとの対決/存在・技術・国家への問い』轟孝夫 著/篠崎奏平
『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか――アメリカから世界に拡散する格差と分断の構図』渡瀬裕哉著/岡﨑祐貴
【その他】
防疫と経済は両立させなければならない(鳥兜)
コロナが脅威であればこそ、狼狽えてはならない(鳥兜)
外国企業の参入に無警戒な日本政府(保守放談)
没落する西洋と引き籠もるアメリカ、そして失われた日本とは裏腹に、中国は凄まじい大躍進を遂げた。
今般のコロナ大恐慌においても、日米欧における経済被害が日々拡大している一方、いち早く収束を見た中国の「一人勝ち」の様相が濃密になりつつある。
こうして爆発的に成長し続ける中国に対して、停滞する欧米諸国において「憧憬」を億面なく表明する風潮が近年急速に拡大している。
こうした動きは今「中華未来主義」(サイノフューチャリズム)と呼ばれ、グローバリズムを礼賛する新自由主義や技術至上主義等の思想的潮流の中でさらに加速している。
しかしこの中華未来主義は、人間の生の豊穣性を否定し、伝統、文化、社会を根底から解体させる破壊力を明確に秘めており、したがって我々は決然と「対決」する姿勢が今、強烈に求められている。
本特集は、この中華未来主義とは一体如何なるものなのか、そして、如何に対決していくべきなのかを、徹底的に論じようとするものである。
こうした考察は必ずや、コロナショックへの強靭な対応、ならびにコロナショック後の「世界」の有り様を考える上で決定的に重大な意味を持つ。
表現者クライテリオン編集長 藤井 聡