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今回は、特集座談会の一部をお送りいたします。
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藤井▼ 今回の特集では「権力を動かす権力」というワードを使っていますが、前者の「権力」とはホワイトハウスや首相官邸のような「政府」を指しています。後者の「政府を動かす権力」とは、民主主義の国であれば建前上は「民意」や「選挙結果」のことですが、実際には国民の民意以外の「権力」もたくさんあります。日本でよく言われるのは財務省であり、それから財界の民間人が入り込んだ規制改革会議や経済財政諮問会議などもあります。
さらに自民党のパーティーに行くと、パーティー券を買って政治に影響を与えている人たちがたくさんおり、その中には中国共産党の人も含まれています。政治家の中にも、若い頃にアメリカに留学したりしてジャパンハンドラーと言われる人たちやCIAの影響を受けている人がたくさんいますし、先日の自民党総裁選では中国やアメリカから「高市を絶対に総裁にさせるな」という圧力もあったとも言われています。このようにアメリカや中国共産党、財界、財務省などの「権力」が日本の政治に大きな影響を与えているということは、永田町や霞が関の事情をよく知っている人は皆分かっている、単なる「事実」です。
アメリカでも同じようなことが当然あり、トランプはアメリカにおける「権力を動かす権力」のことを「ディープステート」(DS)と呼んだわけです。トランプ陣営は「権力を動かす権力」としてディープステートが存在するという一つの「寓話」を作って選挙活動を展開し、それにより一般の庶民の支持を獲得して大統領になったと僕らは解釈しています。したがって、現在のアメリカの政治を考える際には「権力を動かす『権力』の構造」を理解することが極めて重要です。
もう一つ申し上げておくと、「ディープステート」という言葉を使うと、単なる陰謀論に過ぎない、という激しい反発が起こることがしばしばあります。しかし、胡散臭いからというだけの理由で彼らの議論を全て無視してしまえば、我々はアメリカ政治の重大な核心的構造をまるまる見過ごしてしまうことになります。そもそもトランプらが言う「ディープステート」というものを、アメリカ政府の裏側に存在する字義通りの「闇の政府」と捉えるのではなく、本特集が取り扱おうとする「権力を動かす権力」を示す単なる記号だと捉えるのなら、アメリカの現実がリアルに過不足なく理解できるようになるはずです。そこで、一般に議論されているような「DS論」を超え、より政治的、政治哲学的に深く理解していこうというのが今回の特集に「DS論を超えて」というサブタイトルを付与した趣旨です。
このイントロダクションを踏まえて、まずは柴山さんから発言をお願いできますか。
柴山▼ この座談会は、アメリカ大統領選が終わって一週間ほどで収録しています。「アメリカはこれからどうなるのか」という話題で盛り上がっているので、そこから議論を始めたいと思います。
我々の間では、以前からトランプが勝つんじゃないかという議論をしていたので、この結果に驚きはありません。トランプが初めて大統領選で勝利し、イギリスがEU離脱(ブレグジット)を選択した二〇一六年頃から各国の政治は方向転換を始めていて、この流れは簡単には変わらない、ということでトランプ返り咲きを予想したわけですが、メディアの論評は違いますね。「なぜトランプが勝ったのか?」という話ではなく「どうして民主党は負けたのか?」という敗因分析ばかりやっている。そういう分析が続出するということは、トランプの勝利は本来あり得ないことだ、という前提があるのだと思います。
では、トランプを押し上げた力は何なのか
…(後編に続く)
<編集部よりお知らせ>
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