何となくお聞きおよびの方もおられるかと思いますが今、
大阪の政治が、メディアを騒がせています。
どうやら、
1)大阪維新の会の大阪府の松井知事と、
同じく大阪維新の会の大阪市の吉村市長が共に同時に辞任して、
2)松井氏が(知事選でなく)大阪市長選に出馬し、
吉村氏が(市長選でなく)大阪府知事選挙に出馬する、
という格好でスワップ(=交換)し
3)市議選、府議選とあわせて全て同時に選挙を行う、
という話となっているようです。
https://www.asahi.com/articles/ASM3375DCM33PTIL005.html
各メディアは、この選挙を、「ダブル選挙」だとか、
「出直しクロス選」だとか、あるいは、
「入れ替え出直し選挙」
等と呼称しています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZnrDHOEdFvI
しかし、より正確に言うなら、
市長や知事は同じ役職に「出直す」わけでなく、
市長は大阪市政を、府知事は大阪府政を、
それぞれ「投げ出し」、その上で、お互いの立場を、
スワップ=交換するわけですから、
「投げ出しスワップ選」
と呼称することの方が、
より正確な表現なのではないかと思います。
・・・・
いずれにせよ「投げ出しスワップ選」の噂は
昨年後半からありました。
ですが当時は、
「まさか、いくら何でも、
そこまで露骨な『党利党略』剥き出しの
メチャクチャな事はしないんじゃないか・・・
でも、これまでも何でもアリだったから、
今回もやりかねないかも・・・」
という声をよく耳にしていたのですが、
そんな予想(というか嫌な予感)が的中する格好で、
出直し入れ替え選が「確定的」となったようです。
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190302/k00/00m/040/136000c
多くの方にとって、
なぜ大阪では、
こんなヤヤコシイ、訳の分からない事を、
やってるのかについて、
チンプンカンプンなのでは、と思います。
ついては、各々の政治勢力の思惑が
どういうものになっているのかを
あくまでも筆者個人の実践政治学の視点から、
本件を「解釈」致したいと思います。
(1)経緯1 ~「都構想」否決まで~
まず、松井氏、吉村氏は今、
大阪の地域政党である「大阪維新の会」
(以下、『維新』と呼称します)の政治家です。
『維新』は、かねてから、
通称、「大阪都構想」を
やるべきだと主張してきました。
というよりそもそも『維新』は、
この都構想を実現するために
結党されたようなものですから、
その実現は、自らの生き残りのためにも、
是が非でも必要なわけです。
さて、この構想は、
今の大阪の行政の仕組みを、
今の東京の行政の仕組みに「改革」する、
という構想。
法律的には
「市を廃止し、特別区を設置する」
というものと定義されています。
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=424AC1000000080
具体的に言うと、
1)大阪市を「廃止」し、
2)その財源と権限の一定割合を、大阪府に吸収させると同時に、
3)現大阪市を複数の特別区に「分割」する、
というものです。
ただし「都構想」は、
「大阪市」を「廃止・分割」するものであり、
したがって大阪市民は
「自らの自治権を捨てる」わけですから、
大阪市民が大きな不利益を被ることは決定的です。
だからそれは常識で考えれば
ほぼ市民からは賛同など得られないような政策なのです。
https://www.amazon.co.jp/dp/4166610201
だから、万が一にも
「都構想」を実現するなら、
本当に自分の自治体を廃止・分割し、
自らの自治権を捨て去ってのいいのかどうかを、
投票で決めてもらう必要がある―――というのが、
法律で定められた「都構想」の実現プロセスです。
そして、このプロセスにそって、
2015年の5月11日に
「大阪都構想の住民投票」が実施されたのですが―――
結果は、否決。
つまり、大阪市民は、直接住民投票を通して、
大阪市の廃止・分割、
つまり、自らの自治権を捨て去ることを拒否したわけです。
(2)経緯 ~維新と公明党の“因縁”~
しかし、『維新』は、この結果を受けてもなお、
この都構想の実現を諦めません。
そもそも『維新』にとって都構想の実現は、
自らの「生き残り」のために必要なのですから、
簡単に諦めるわけにはいきません。
こうした経緯の下、
彼らは「公明党」と交渉を始めます。
なぜなら、議会における議席数の関係で、
『維新』が都構想を進めるには、
公明の協力が必須だったからです。
一方で、「公明党」には
『維新』の協力が欲しいという事情がありました。
大阪で根強い人気を誇る『維新』が、
公明党の有力な国会議員候補がいる選挙区で、
政治家を立候補させれば、
公明党は議席を失うから・・・です。
公明党にとって大阪は、超重要選挙区。
自らの政治勢力を保持するために、
絶対失いたくありません。
だから、『維新』は公明党に、
「都構想の実現に協力してくれるなら、
公明党の選挙区には、立候補させません、
でも、協力してくれないなら、
対立候補を送り込みますよ!」
という「脅し」とでも解釈せざるを得ないような
圧力をかけたわけです。
(このあたりの関連情報は、下記を参照ください。
https://www.asahi.com/articles/ASLDV4GK6LDVPTIL00R.html)
公明党は、この「脅し」に屈する形で、
これまでしぶしぶ「都構想」に協力し続けてきました。
(2015年の住民投票の実現も、
こうした公明の協力があったからです)
いわば『維新』と大阪公明党との間には、
ドロドロした関係がずっとあったわけです。
そして『維新』は今回もまた、
「住民投票を実現させろ、
さもなければ、選挙で対立候補を立てるぞ!」
というさらなる圧力をかけた、
と考えられるわけです。
が、今回は公明も首を縦に振りません。
そもそも、民主主義において最も重い判断である
「直接住民投票」で否決された「都構想」に、
そう易々と協力するわけにはいかない―――
という「まっとうな倫理観」が
大阪公明党にも残されていたわけです。
言い換えるなら、
もう「維新からの攻撃」を受けても構わない、
とにかくもう、都構想なんかには協力できない・・・
と公明党は「腹をくくった」わけです。
(※ 大阪公明党の関係者各位に、
『リアルポリティクス』下でのご英断、
心より感謝申し上げます。)
こうなれば『維新』は、
公明に頼らずに、
「都構想」を実現せざるを得なくなります。
そして、公明無しで都構想を実現するためには、
市長と知事双方を維新が獲得するのみならず、
市議会、府議会で共に維新だけで
「単独過半数」を確保することが必要です。
こうした状況の中、『維新』が思い立ったのが、
今回の投げ出しスワップ選挙だったのではないか―――
これが、筆者の見立てです。
つまり、
・府議会議員選挙
・市議会議員選挙
・大阪市長選挙
・大阪府知事選挙
の四者を(万博決定などで盛り上がっている)、
今、同時に行えば、選挙が大いに盛り上がり、
大阪で根強い人気を誇る『維新』が有利となり、
うまくいけば、『都構想』実現への
道が開けるのではないか―――
と、『維新』が考えたのではないか、
と、筆者は見ているわけです。
(ちなみに、ここで「スワップ」が必要なのは、
松井氏、吉村氏がそのまま「出直し」選挙をすれば、
その任期は、今年の11月までとなってしまう一方、
「入れ替え」れば、任期が四年となるからです。)
(3)党利党略でなく、理性的議論こそが必要である
もしも以上の筆者の見立てが正当だとするなら、
今回の「投げ出しスワップ選挙」は、
こうした維新側の「都合」によって
決定されようとしているわけです。
一方でもしも本当にそうだとするなら、
そこに「大義」などは何もない、
と言わざるを得ないでしょう。
一方でもしも、本当に都構想が必要なら、
あらゆる場面でしっかりとした
「説明」と「議論」を積み重ね、
慎重派や反対派を一人一人説得していき、
「なるほどそれなら、大阪のためには都構想は必要だ!」
という結論を導いていくのが、
基本的な「筋」ではないでしょうか。
もし、協議会や議会で理性的議論ができないのなら、
マスメディアやネットを使って、
理性的な議論を積み重ね、
世論にしっかりと訴えていけば良いのです。
そもそも、『維新』は、
市長、知事であり、府議会、市議会で
最大与党なのですから、
しっかりと議論さえ積み重ねれば、
自らの主張に「義」さえあるなら、
容易く実現できる筈です。
大阪にまっとうな議論と民主主義が
再生されますことを、
心から祈念申し上げます。
追伸1:
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コメント
>あらゆる場面でしっかりとした
>「説明」と「議論」を積み重ね、
>慎重派や反対派を一人一人説得していき
これはこれで、非現実的も甚だしい
こういう(不可能なのはわかっていて・・・なので余計にたちが悪い)お花畑の物言いをする人も私は信用できない
維新は名前だけで中身は新自由主義派の自民党やし。
新自由主義大好きな財界が後ろに付いてるかぎりこの混乱は続くんやろな。中央と構造は一緒よ。
あんまり都構想を批判したらポンコツが目むいて鼻むいてツイッターでヒステリー起こすから1兆歩譲って維新側の論理で解釈しその上で批判するとすれば大阪経済では規模が小さい。ゆえに必然的にグローバル経済が必要不可欠となる。それはこれまで維新が推進してきた中国経済との繋がりを意味する。しかしながらこの経済発展モデルはリスクが大きい事は今の世界情勢を見れば明らか。この経済モデルを維新が推進してきたゆえ関西の財界は中国投資を加速させたことになった。これは財界が維新を動かしたと言うよりも財界が維新を作った訳であり自業自得ではあるがこのままで行けば大阪経済は大打撃をこうむるのは明らか。また最近この事態を隠すようにポンコツがいつもの得意技「論理のすり替え」を図ってきた訳w この論理のすり替えが笑ってしまう。それは大阪都構想は公共事業拡大を目指したものであると言う戯言w しかしながら維新が推し進める公共事業の大半がバブル末期に行われた意味のない公共事業。国土強靭化の様な理念がないので後付けでバラバラw て言うか都構想とまったく関係が御座いません。
もし都構想と公共事業との関係性があるとするならば「財務省の言う事聞くからお駄賃ちょうだい構想」
どこまでも奴隷根性。
私は維新がバカだとは思いません。(ポンコツはバカですけど)
バカは中央政府です。中央政府が財界の言いなりになれば必然的に地方も同じ道を歩む事になる。そして大阪にポンコツを送り込んだのも中央政府です ! 絶対に許さん ! でも許したのが国民…
この負の歯車、いつになれば止まるんやろな。