『表現者criterion』メールマガジン

【藤井聡】即位の礼の来賓リストから見る、日本の国力の激しき凋落。

From 藤井 聡(表現者クライテリオン編集長・京都大学教授) 

こんにちは、
表現者クライテリオン編集長、
京都大学教授の、藤井聡です。

先週は、大変おめでたい事に、
「即位の礼」が盛大に執り行われ、
改めて、今上陛下がこの令和の時代の
天皇(emperor)であられることが、
全ての日本国民に、
そして、世界の皆様に改めて、
高らかに示されました。

一人の日本国民として、
陛下を、そして皇室を精一杯お守りし
日本国家の繁栄に、
力の限り貢献すべく、
日々精進を積み重ねたい、
との意を新たに致した次第です。

ただ・・・・

今回の「即位の礼」の報道に触れるにつけ、
30年前の平成期に行われた即位の礼と比して、
ご参列戴いた諸外国の賓客の皆様方の
  「格」
が、随分と下がっているのではないかと―――
感じました。

そう思ってネットなどを見ておりますと、
https://critic20.exblog.jp/30523091/?fbclid=IwAR1bIXtOLzEjEtowqsOq8JalMM-IjKj5bfoSiWLpRFic3zqIAI4nJXEOXKg
等の記事も見られましたので、
改めて、自身でも「確認」致してみました。

「確認」にあたっては、
上記記事と同様のソースを使いまして、
平成と令和の双方に参列戴いた諸外国の賓客の
役職を比較する、という方法を採用いたしました。

にわかに「格上げ」か「格下げ」か
判断がつきかねるケースもありましたが、
「格下げ」と判断できるケース、
「格上げ」と判断できるケースをリストすると、
以下のようになりました。

「格下げ」と思われる国(35か国)
──────────────────────
        平成    令和
──────────────────────
レバノン    大統領  駐日大使
ザンビア    大統領  外務大臣
セネガル    大統領  経済・計画・協力大臣
ガンビア    大統領  国民議会議長
カメルーン   大統領  首相
ジブチ     大統領  首相
モンゴル    大統領  首相
アイルランド  大統領  上院議長
ポルトガル   大統領  前大統領・元首相
リバス    大統領  インフラ・持続可能エネルギー大臣
ガイアナ    大統領  大統領府付大臣
イスラエル   大統領  駐日大使
ボツワナ    大統領  駐日大使
ボリビア    大統領  駐日大使
ホンジュラス  大統領  駐日大使
メキシコ    大統領  内務大臣
アルゼンチン  大統領  副大統領
インドネシア  大統領  副大統領
パラグアイ   大統領  副大統領
トルコ     大統領  文化・観光大臣
デンマーク   女王   王太子
アメリカ合衆国 副大統領 運輸長官
コロンビア   副大統領 外務大臣
ドミニカ共和国 副大統領 外務大臣夫人
ギリシャ    首相   副首相
ジャマイカ   首相   上院議長
カナダ     総督   最高裁判所長官
セントクリスト
ファー・ネイビス 総督  外務・航空大臣
バハマ     副首相  駐日大使
ナミビア    外相   駐日大使
スーダン    革命評議会議長 駐日大使
アルジェリア  憲法評議会議長 駐日大使
ベネズエラ   国会議長  駐日大使
ロシア     最高会議議長 上院副議長
国際連合    事務総長  事務総長官房長
──────────────────────

「格上げ」と思われる国(6か国)
──────────────────────
        平成    令和
──────────────────────
グアテマラ   外相    大統領
シンガポール  首相    大統領
スリランカ   首相    大統領
ニジェール   国民会議議長 大統領
中華人民共和国 国務院副総理 国家副主席
オランダ    皇太子    国王
──────────────────────

(いずれが格下/格上かの判断は、藤井個人が行っていますので、
もし、間違いではないかというご指摘があれば、
是非、お知らせ頂けますと幸いです)

格上げが6カ国あるものの・・・・

実に35カ国において、
「格下げ」となっていた訳です。

・・・誠に無念・・・

折角の陛下の即位の礼に際して、
一国民として、
このような事態となってしまい、
陛下に大変に申し訳なく思います・・・。

・・・ですが・・・
昭和から平成に変わった頃の日本の国力と、
今日の国力を比較すれば、
各国からの

「扱い」

がこうなってしまうのも、
残念ながら致し方無きことと、
言わねばなりません。

何と言っても、
平成期と令和期で
日本の国際的経済力が、

「三分の一」

にまで凋落してしまったのですから・・・

具体的に申し上げますと、
「平成黎明期」の我が国の経済力は、
全世界の約15%~18%程度を占めていました。

ところが、今日の我が国の経済力は、
全世界の約6%にまで凋落してしまったのです。

もともと、憲法の制約もあり、
我が国日本の
軍事力が「二流」「三流」であり、
外交的には、
「経済力だけが頼みの綱」
だったわけですが、
1997年の消費増税によって、
我が国日本はデフレ-ションという重篤な病を患い、
その結果、衰弱の一途を辿るようになったわけです。

その結果、先に指摘したように
日本経済は、かつての「三分の一」程度にまで、
凋落したのです。

・・・・

そこまで経済力が低下すれば、
かつて「大統領」を派遣していた国が

「まぁ、日本はもう勢いがないし、
 外交で仲良くしておいてもたいしてメリットもないし、
 駐日大使でも列席させておけば良いじゃないか」

と判断したとしても、
致し方ありません。

その凋落ぶりが最も現れているのが、
アメリカからの来賓の格下げ、です。

この三十年間、日本は、「けなげ」にも、
国民から何を言われようが、
諸外国からどう侮蔑されようが、
ただひたすらにアメリカに付き従う外交を
展開し続けました。

日本外交は、アメリカ以外を多少蔑ろにしてでも、
対米関係を重視する、という姿勢で、
アメリカ外交を展開してきた筈、です。

・・・・にも関わらず、
平成期には「副大統領」が来日した一方で、
今回の参列者は「運輸長官」だったのです(!)。

つまり、日本にとってアメリカは、
「超大切な国」なわけで、
中国が大国化しつつある今日、
その重要性はさらに拡大し続けているわけですが、
アメリカにとって日本など、
「さして重要ではない国」に
成り下がってしまった
わけです。

・・・

この「格下げ」問題は、日本国家にとって、
極めて深刻な問題です。

なぜなら、この顛末は、
日本の国際的地位、ひいては、外交力が
大幅に凋落していることを意味している
からです。

そもそも「外交」といえど、
日常の「社交」とその本質は何ら変わりません。

「ある組織・人物のお祝い会」に行くかないかは、
「その組織・人物との関係がどれだけ大事か」
に直接的に依存しています。

その組織・人物が、
自分のビジネスや自身の出世にとって重要であったり、
あるいは、その組織・人物から戴いた「恩義」に
何とか報いたいという気持ちが強ければ、
万難を排して出席しようと考えます。

一方で、そういう気持ちがほとんど無ければ、
適当に代理でもたてておけば良い、と考えるものです。

こう考えれば、
今回、30以上もの国から、
「格下げ」の扱いを受けることになったという事態は、
誰も日本のために、何かをしてやろうとは考えないし、
誰も日本の主張に、耳を傾けてやろうとは考えない、
という状況になりつつあることを示しているのです!

これこそ、「平成の日本政治」「平成の日本外交」に対する、
国際社会からの「客観的評価」であり
「採点結果」なのです。

繰り返しますが、なぜこうなったのかと言えば、
消費増税 → デフレ → 国際的経済力が三分の一に下落
という顛末を迎えたからです。

我が国の政治家各位には、
こうした認識を是非とも持って戴きたいと思います。

そして、経済成長を蔑ろにし、
消費増税だ、緊縮財政だとやっていたことが原因で、
デフレになり、国力が衰退し、
それを通して、
「日本を軽んじる」
国際状況が現出してしまったのです。

ついては、民主党であろうが自民党であろうが、
日本経済を成長させることに失敗した、
全ての政治家に、

「徹底的なる猛省を促したい」

と思います。

なぜなら、政府が現実を直視しなければ、
国家が衰弱していくことは避けられないからですーーー。

そして、
目先の小銭稼ぎのような緊縮財政・消費増税が、
如何に日本の国力を下落させ、
国際的地位を凋落させたのかを、
あらゆる政治家に
是非とも、ご理解戴きたい
と思います。

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コメント

  1. たなか より:

    日本が行ってきた教育っていったいなんだったのでしょうか。
    大多数の人がそれなりに教育を受けてきたと思うのですが、
    ベクトルが間違っていたのでしょうか。
    ただ人生は続くものなので、早すぎる事はあっても遅すぎる事はありません。
    皆で日本を守り育てるために健全な議論の場を作り、大いに大声で喧々諤々と議論していきましょう。
    もう仮面を被った匿名の言い合いは辟易です。

  2. 地球市民の会代表 より:

    前略 初めまして地球市民の会代表です。
     最近先生のコメントとか、よく目にしております。
     私は会社経営者ですが、アメリカの労働運動で成功してる『最低賃金15ドル運動』(トランプやオバマでは無く、ニューヨークのマクドナルドの学生のアルバイトが初めた)に参加し、数年前から弊社でも最低賃金を15ドルにしております。
     ご存知の通りアメリカ合衆国の最低賃金は7.5ドルか?その辺りですが、今や聞いた事がある州(四十数州&地域)では最低賃金15ドルが州議会で全会一致等で決まり、この成功例を先生や学生さん達で詳しく調査頂けますと、世界で唯一好景気に沸いてるアメリカの実態が判る(トランプは世界景気の足を引っ張るだけで、実際は草の根の学生アルバイト初の労働運動が端を発して成功してる事)と思います。
     是非 藤井先生みたいな先生に日本のマスコミや日本の劣化した経団連や、そのポチの安倍創価政権etc.や旧民主党の幹部(毒饅頭貰い組) 達がひた隠しに隠してるアメリカの草の根の労働運動の成功例を調査研究して頂けましたら、この上なくありがたいです。
     私共も何か出来るお手伝いがありましたら出来る限りの事をさせて下さいませ。       草々

  3. 小笠原健三郎 より:

    まぁ、あれだけ仲良しアピールしたアメリカが、大統領が陛下の御即位に対して、国賓で来ない時点で、完全に舐められ切ってますね

    そこへ、中国は格上げして来た訳ですから、親中派は『それ見た事か!アメリカ等こんなものだ!!』てな具合ですかね?

    現実に日本は『アメリカ様々の属国』だと言う現実を、ありありと見せつけられた様な物

    ドナルド・トランプが、安倍晋三をどう扱っているか?これが何よりの証拠なのでは?

    まぁ、日本はオワタ\(^o^)/
    って事ですね

  4. 福井きよし より:

    金の切れ目が縁の切れ目。厳しい現実ですね。
    しかし、経済力の低下以外にも、日本の尊厳を平然と害するような外交姿勢も、このような結果に影響を与えなかったのか?精査検討する必要があるように思います。

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