『表現者クライテリオン』最新号
2026年11月号(通巻129号)
2026年8月16日発売
【特集】
なぜ我々は「超知能」にすがるのか
【座談会】
AI開発はまだ「原始時代」にすぎない
過大評価の正体と「人間の堕落」
三宅陽一郎 × 浜崎洋介 × 川端祐一郎
AIへの過剰な期待と恐怖は、知識人から庶民にまで深く浸透しつつある。
「テック右派」は、この新技術によって社会を根本から書き換えようとする野望を隠さない。同様の傾向は、「デジタル・レーニン主義」と評される中国の国家ビジョンにも見られる。彼らは人間の泥臭い政治的葛藤や社会の複雑さを、無限の能力を持つ計算機(AI)のアルゴリズムによって解決(無化)できるはずだ、という傲慢な近代合理主義の前提を共有している。庶民の次元においても、重要な判断や意思決定すらAIに委ねる事態が進行している。
その背後には、自らの決断とその責任から逃避したいという大衆的願望が透けて見える。この新たな「合理性」への夢想と依存は、絶対的な価値基準を見失った現代人が無意識のうちにすがりつく「神なき時代のAI教」とでも呼ぶべき病理である。
私たちはこの「合理性」にどう抗うべきか。狂騒から抜け出す第一歩は、この技術を未曾有の魔法として崇めるのではなく、我々が歴史の中で扱ってきた「道具」の一つとして冷徹に位置づけ直すことである。
本特集は、虛心坦懐にAIという技術の本質を見極めるとともに、哲学や歴史、思想の観点からこの「AI教」の正体を解剖する。問うべきは技術の行方ではなく人間の知的営為そのものである。そのことによってのみ、AIが我々から奪うものを明らかにし、我々が正気を取り戻すための確かな視座を得ることができるはずだ。
表現者クライテリオン編集部
執筆者 :
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