前回のメルマガを配信しましてから、
MMTの名づけ親でもある
オーストラリアのミッチェル教授が来日し、
MMTについてのシンポジウムとセミナーを開催いたしました。
このシンポジウムにおきます
ミッチェル教授の講演の様子は、例えば、
https://www.youtube.com/watch?v=2Xn3FAOqRPE&fbclid=IwAR3Z2GND1TeRqhxgcmES52bchXdKOtHik6kbUqdAcyhF3kwK8gVAGLwRRbg
等でも紹介していますが、
その中でミッチェル教授が最も強調していたポイントの一つが、
「政府支出の制約の種類」
が、MMTと主流派経済学とで異なる、と言う点でした。
・・・
主流派経済学は、政府支出は、
– 税収
– 実物経済の供給能力
の両者に制約されるべきだと主張します。
つまり、税収をあまり大きく上回る支出を続けるのは、
「財政赤字が拡大するからよくない」し、
「実物経済の供給能力」を超える程の政府支出があると、
物価が急激に上がって、経済に混乱が生ずる、だから、
供給能力を政府支出の制約の一つだと考えるわけです。
一方、MMT(現代貨幣理論)では、
日本の様な自国通貨を発行する国では、
政府支出に制約を加えるのは、
– 市場の供給能力
の一点だけだと考えます。
つまり、主流派経済もMMTも、
「実物経済の供給能力」が政府支出の制約だと
考える点は一緒なのですが、
「税収」に制限されるべきか否か、
と言う点が異なる、という次第です。
ちなみに、MMTにおいても、
自国通貨を持たない国(例えば、ユーロ圏の国々)
においては、主流派経済学と同様に、
「税収」を制約条件に加えざるを得ない、と考えます。
つまり、MMTと主流派経済学の違いは、
「貨幣を発行する国家主権があるか否か」
と言う点を考慮しているか否かの違いだけだ、
と言うことができるわけです。
そして、
「“国家主権”の存在を考慮すれば、
通貨を発行する政府が、
税収に配慮して支出を抑制する必要など何もない」
という自明の理を、改めて主張しているのが、
MMTだという次第です。
・・・
以上がミッチェル教授の
「財政規律」についての解説だったのですが、
実は、当方が用意していたプレゼンもまた、
この点を強調するものでした。
と言いますのも、
そもそも当方、このシンポジウムの直前に、
『MMTによる令和「新」経済論』
https://www.amazon.co.jp/dp/4794971583
という書籍を出版したのですが、
その冒頭で、MMTを次の様に定義していたのです。
―――「財政政策論」としてのMMTの定義―――
「国債発行に基づく政府支出がインフレ率に影響するという事実を踏まえつつ、『税収』ではなく『インフレ率』に基づいて財政支出を調整すべきだという新たな財政規律を主張する経済理論」
この筆者のMMTの実践的定義は
(インフレは、供給力を超えた時に生ずるものですから)、
結局はミッチェルの解説と同じことを
違う言葉で表現したものです。
ちなみにこのMMTの定義は、
当方個人の理論的な解釈に基づくものなので
必ずしも広くMMTを論ずる研究者の間で
共有されているものではありません。
が、ミッチェル教授もまた、この点を強調しつつ
MMTを解説されたのを耳にしたことで、
当方も強く「我が意を得たり」と感じた次第です。
ついては、このミッチェル教授のご発表の直後に
当方から講演差し上げた時、
筆者もまた、拙著の中で、
たった今ミッチェル教授が主張されたことと、
全く同じ事を解説しているのです、
ということを紹介差し上げました。
そして、なぜ、ミッチェル教授や当方が、この点を、
MMTの解説のいの一番に取りあげているのかと言えば、
それは、この点こそ、
「主流派経済学の不道徳」
を理論的に告発する最大のポイントだからなのだ、
と解説差し上げました。
そもそも、政府というのは、
国民や国家公共のために「道徳的」に振る舞い、
「正義」を実現するために存在するもの。
ところが、「税収が限られているから」という
言い訳になど到底ならないウソを嘯きながら、
本来やるべき事柄を全てサボタージュし続けるなど
不道徳の極みと言わねばなりません。
そして、そんな不道徳極まりない
「財政規律を守るべし」との主張を、
主流派経済学はさも「道徳的」なものなのだと
理論的に正当化し続けているわけです。
これこそ、あからさまな偽善。
事実、我が国日本では、
「税収が限られているから、オカネが使えない」
というウソのせいで、
・デフレが放置され続け、
・災害復興も遅々として進まず、
・巨大災害に対する防災を怠り、
・防衛力も科学技術力も弱体化させ、
・地方を切り捨て、
・弱者を切り捨てる、
という極悪非道の限りを尽くす我が国政府が
「正当化」され続けているのです。
MMTが今、米国や日本において
貧困や格差を放置し続ける政府批判する
民主党のオカシオコルテスや、
れいわ新選組の山本太郎氏によって、
大きく取り上げられているのは、
政府の不道徳を糾弾し、
その偽善を理性的に暴き立てる力が、
MMTに備わっているからに他なりません。
最近の進化心理学という学問は、
人類は、単なる悪人よりも、
「偽善者」をより強く憎む心的傾向を
その進化のプロセスで獲得してきたということを、
明らかにしています。
MMTはそういう人間の精神に根深く存在する
「本能的な正義感」に訴えかける力を持っているのです。
是非、皆さんもまた、
そのうちにある「本能」に従い、
あらゆる政府の極悪非道を正当化し続ける
身の回りの「財政偽善者たち」に、
屈しないように、対峙し続けていただきたいと思います。
筆者は、そうした地道な取り組みこそ、
腐りかけた日本の復活を期する
今、最も重要、かつ効果的な方略の一つなのではないかと
真剣に考えています。
追伸1:
MMTをさらに知りたい方は是非、『MMTによる令和「新」経済論: 現代貨幣理論の真実』、をご一読下さい。
https://www.amazon.co.jp/dp/4794971583
追伸2:
日本が「偽善者」を放置し続けるとその先には日本滅亡しかありません。そんな偽善者を放置しないために必要なのはもちろん「クライテリオン」です・・・『国母和宏逮捕から考える「エラソーなバカ」問題、クライテリオン喪失、そして日本滅亡』を是非、ご一読ください。
https://foomii.com/00178/2019110111000059949
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コメント
「MMTを社会主義」と言うお人達がいるけど、これって「お金は社会主義」と思っているのかな ?
私はそろそろ民主主義を社会主義と言い出すオツムがこじれたお人が出てくると思っていたけど同類が早くも出てきましたね。自由を突き詰めると収集つかんのよね。まさに泥沼。国家を否定したいだけでお花畑の能書き垂れて歴史の本質を理解出来ない浅知恵のボンクラが増えてます。そう言えば昔どっかのITの起業家が将来民間のポイントで生きていけると言ってたけどこれってただの先祖帰りなのにね。こんなバカ発想で世間からは先見の明があると支持されるんやからどうしたものか…
もしこの先、新たなお金が出来ると言う事は、この先新たに大量の血が流れると言う事なのに…
国家=お金、つまり今あるお金は国家国民の歴史が作り上げた紋章よ。システムだけでお金は出来ません。だから国家がお金を作る(使う)時は国民の生命、財産を守るために使えばいいの。それが国家と国民の信頼になり強いお金が出来るの。強いお金はインフレになりにくい。だからドンドン使えるの !
私のちんちん論(TTT)ならもっと具体的に説明出来るけどいかんせん生々しく卑猥になるので涙を飲んで涙を飲んで控えさせて頂きますが…今の日本はDV & 幼児虐待 それを見ながらオナニーする変態国家です!