2022.04.16
言論誌・表現者クライテリオンより
『日本を蝕む「無気力」と「鬱」』
定期購読という特集号が発売となりました!
これは日本が抱える、デフレや不条理なコロナ対策、そして、国防が全くできない状況の継続等、あらゆる本質的な問題の根底にあるのは、
「日本人の無気力」
の問題である、という問題意識の下、この無気力は一体どこから来るのか、そして、この無気力を乗り越えるには一体どの様にすればいいのか、を様々に論ずるべく企画されたものです。
まず、「無気力」というのは、ある種の「精神の病」であるという点から、精神医学の和田秀樹氏に「学習性無力感」という心理現象が、今、日本中に蔓延している様子を描写いただきました。これは、何らかのダメージ(例えば、心理実験では「電撃」)が、何をやっても回避できない状況が創出されると、人間も動物も、その被害の回避行動を一切取らなくなる、といういわゆる「無気力状態」に陥るという現象です。
国民の為に仕事をしない政府がこれだけ長い期間続くと、国民は政治に対する無力感を「学習」してしまい、何でもかんでも「しょうがないじゃん……」と思ってしまい、過剰自粛にしても増税にしても全て受け入れる状態になっているわけです。あるいは、デフレというある種の「ブラック経済」に20年以上も浸っていると、低い賃金でブラックな労働をさせられる事に対して反発することがなくなってしまい、上司や顧客や政府の言いなりになっているわけです(このあたりの構図は、社会学者の土井隆義氏に描写いただいています)。
いわば、日本は今や、財務省の徹底的な緊縮が導く、「政府の無作為」と「デフレ」の双方によって「一億総DV被害者国家」になっているわけです。
ただし、日本人の無気力は、より本質的な時限で言うなら、人間関係の希薄化、あるいは、社会の溶解によって、より本格的に導かれているでもあります。
例えば編集委員の浜崎洋介氏は、「与えられた他者との関係を生きること」において始めて活力が喚起される一方、現代日本におけるそうした関係の喪失こそが、無気力をもたらしていることを指摘しています。
そして、そうした社会学的、経済学的な観点からもたらされる「無気力」のさらに根底には、日本人の宗教意識の喪失が、決定的な要因となっていることも、評論家の小幡敏氏によって指摘されています。
人は早晩、自分は死ぬのだと当たり前に認識し、自らの人生を「限られたもの」と考え、その限られた人生を、如何なるものにす「べき」なのかという超越的な視点(これこそ、宗教的な視点と言いうるものです)から自らの人生を眺めた時においてはじめて、それぞれの刹那刹那において「気力」が生ずることになるからです。
……
さて、本特集ではこうした分析論を踏まえた上で、「かつての政治家」と「今日の政治家」の双方を知悉し、両者の活力の違いはどこから生まれてくるのかについて評論家・森田実氏のお話しを伺っています。
戦後の各時代の首相との面談、交流を今日まで続けてこられた森田氏の目から見たとき、吉田茂首相をはじめとした、1890年代生まれ以前の首相には本格的活力があった一方で、20世紀に入って以降の岸信介ら以下の世代の首相は、大きくその活力は低減していると指摘します。そして、その原因にあるものは、20世紀生まれ以降の首相は、政治家として第二次大戦をしか経験していない一方、1890年以前生まれの首相は、第一次大戦を含めて世界大戦を2度、政治家として経験しているからだと指摘します。
だとすれば、「戦争を知らない」今の政治家どもが、比べものにならないくらいに小物化しているのも当たり前だとも言うことができるでしょう。
そんな中で、如何にして活力を現代人が持ちうるのかを探ることを企図して行った異色の対談として、『孤狼の血LEVEL2』、あるいはかつての『凶悪』のヒットで有名な映画監督の白石和彌氏との対談等を掲載しています。
この対談の中で明らかとなったのは、「見ちゃいけないような“エグイ”ものを見せる」ことができるところに、こそ映画の力の本質がある、という点。人間は、犯罪や暴力といった倫理の「外側の世界」を、何らかの形で「体験」することで始めて倫理の輪郭、すなわち限界を体でもって認識することができるのです。その結果、どの倫理のギリギリまでの範囲で活動する「自由」を獲得することができ、人々の活力は取り戻されることになるのです。
現代人はポリコレに支配され、それこそ、コロナのせいで夜に友人達と飲みに行く自由さえ、マスク無しで自由に会話する自由さえ奪われている中、倫理の輪郭を明確に理解した者ならば、そんな空気の中でも、より自由に生きていくことができるのです。
そんな自由を獲得するためにも、白石監督が描写する「見せちゃいけないもの」をしっかりと観賞する映画体験は、大きな力を持つのです。
そしてさらに本特集では、活力漲る事例として、中央政府のサポート「させる」形での尖閣諸島調査を敢行した中川石垣市長と東京海洋大の山田教授のインタビューや、デフレ脱却のためには活力ある積極財政以外にあり得ないことを論じた水道橋博士と田原総一朗氏との鼎談を掲載しています。
……
これまで当方は、雑誌クライテリオンでもこのメルマガでも、デフレやコロナ禍からの脱却、さらには、新自由主義やグローバリズムとの決別の必要性やその政策論を論じて参りましたが、そうした「脱却」や「転換」を本気で実現するためには、今、日本中に蔓延っている「無気力」を乗り越える必要がある……ということを今回改めて認識し、それを乗り越えるための方途を様々に論じた次第です。
ついては活力ある日常と未来の重要性をご認識の本メルマガの読者各位も是非、本日発売の表現者クライテリオンの最新号
『日本を蝕む「無気力」と「鬱」』
定期購読をご一読下さい。
どうぞ、よろしくお願い致します!
追伸:「無気力」をどう乗り越えるかという問題について、本特集で論じきれなかった議論を、下記メルマガで論じています。こちらも是非、ご一読下さい。
『今の日本は政治も経済も社会も最悪な状況にあります。その原因は全て、日本人の「無気力さ」にあり……これをどう乗り越えるか考えました。』
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