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今回は、論考の一部をご紹介します。
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「国民民主党の玉木雄一郎代表を巡る不倫スキャンダルですが、これはやっぱり財務省が刺したんですかねぇ」
十一月十一日朝、筆者が電話口に出るや否や、旧知の全国紙記者がいきなりこう尋ねてきた。あまりに短絡的な物の見方にいささかうんざりしながら、筆者はこう答えた。
「それはないと思うよ。財務省はそこまで有能ではないからね」
すると彼は、
「しかしそれにしても測ったようなタイミングでスキャンダルが出てきたじゃないですか。あまりにも出来過ぎた話ですよ」
と納得できない様子がありありなのだ。
このやり取りの中に、ある種の陰謀論めいた匂いを感じ取るのは何も筆者ばかりではないだろう。
改めて説明するまでもないと思うが、先の総選挙を受けた特別国会が、十一月十一日に召集された。この総選挙で国民民主党は大躍進を遂げるのと同時に自公政権が少数与党に転落したことと相まって、同党は今後の政局でキャスティングボートを握ることとなった。
その国民民主党が、出鼻からつまずいたのだ。同党代表を務める玉木氏を巡る不倫スキャンダルが、まさにこの日の朝、報道されたのだ。それこそ全国紙記者が指摘してみせたように、「測ったようなタイミング」で玉木潰しを狙ったかのようなスキャンダルが飛び出してきたのである。
とは言え玉木代表、そして国民民主党の見事なダメージコントロールが功を奏したためか、現時点ではその影響は最小限に食い止められたと言って良いだろう。
本稿が読者の目に留まる頃には、恐らく大部分の有権者にとってみれば、このスキャンダルはほとんど忘れられてしまっている可能性が高い。
ここで筆者が目を留めたのは、ここで筆者が目を留めたのは、スキャンダルの具体的中身についてではない。こうしたスキャンダルが出てきた背景を、陰謀論的な文脈で解説してしまうケースがいかに多いか、という点に注目したのだ。
もっとも政局のキャスティングボートを握った国民民主党が自ら掲げる政策を実現しようとした場合には、財政健全化至上主義を取る財務省とは全面的に衝突していくことになろう。その点はまず間違いないはずだ。
それというのも国民民主党が実現を目指す政策が、ことごとく「減税政策」であるからに他ならない。
先の総選挙で国民民主党は、「国民の手取りを増やす」と訴えることで、その議席を大幅に増やしてきた経緯がある。そしてその目玉政策というのが、いわゆる「一○三万円」の壁の上限引き上げだ。具体的には、所得税の非課税枠を現行の一○三万円から一七八万円に引き上げることを選挙公約とした。仮に国民民主党の要求通りに、非課税枠の上限が引き上げられた場合、政府試算では国と地方の税収が合算で約七兆六〇〇〇億円減少するとしている。
財務省としては、とてもではないが呑める政策ではないだろう。
とは言っても自公が少数与党に転落してしまったために、国民民主党の協力無しには総合経済対策の予算的な裏付けとなる今年度補正予算も、さらには次年度の当初予算についても何一つ国会で成立しないという状況となっている。
しかもだ、衆議院の予算委員会の委員長ポストはあろうことか立憲民主党に奪われ、そればかりか同ポストには超ウルサ型で知られる安住淳前国対委員長が就任する運びとなってしまったのだ。財務省にとってみると、まさに悪夢のような展開と言えよう。
こうした状況をすべて踏まえたならば、玉木国民民主党代表一人が個人的スキャンダルで失脚してみたところで、全体状況にはほとんど影響を及ぼさないということが判るはずだ。にもかかわらず、…続きは本誌にて
<編集部よりお知らせ1>
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