4月16日発売の最新刊、
『表現者クライテリオン2025年5月号 [特集]石破茂という恥辱ー日本的”小児病”の研究』から特集論考をお送りします。
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トランプ、プーチン、習近平……。
「悪人」たちが支配する世界で
日本の「子ども政治家」の出る幕はない。
産経新聞「正論」メンバーでもある編集長から二月末、突然メールがきた。
「石破茂という恥辱――日本的“小児病”の研究」というテーマで特集を組むので、何か書いてほしい、という注文だった。
どうやら拙著『政治家は悪人くらいでちょうどいい!』(ワニブックス)をお読みになって下さったうえでのご依頼のようで、感謝に堪えない。この本は尾崎行雄記念財団が毎年発表している「咢堂ブックオブザイヤー2024」大賞をいただいた。手前味噌だが、『大予測2025年 高市早苗が日本を取り戻す!』(ビジネス社)ともどもぜひお読みいただきたい。
「大人の政治家」の条件
宣伝が終わったところで本題に入ろう。
石破茂という政治家が、ホイジンガいうところの「文化的小児病」に侵されていることは間違いないが、彼の欠点をあげつらうのは他の論者にお任せし、拙稿では「悪人のいない」、つまり「大人のいない」日本政界、いや日本の根本的危機について論じ、解決策を探ることにしたい。
私の問題意識は、石破茂という政治家の問題点よりも彼を総裁に選んだ自民党議員の「子ども化」ぶりの方にある。
昨年秋の自民党総裁選を思い起こしてほしい。党員票が総得票の半数に換算される第一回投票で、トップに立ったのは、石破ではなく高市早苗だった。
二回目の決選投票は、地方票のウエイトは格段に小さくなり、衆参両院の自民党議員票が大勢を決する。このとき勝敗のカギを握ったのが、前首相・岸田文雄だった。宏池会の会長だった彼は、メンバーに決選投票では「高市以外の候補」に投票するよう指示した。その結果、石破は逆転勝利を収めたわけだが、その理由は「石破より高市が気に入らなかったから」だというから典型的な「文化的小児病」患者である。
そのほかにも「高市が靖国神社を参拝すれば日中関係がこじれる」と本気で心配した議員も少なくなかった。これまた自民党議員が、歴史認識も複眼的思考も何もない「子ども」化している何よりの証拠である。
案の定、石破率いる自民党は、衆院選に大敗し、外交でも米大統領に軽くあしらわれるなど「日本パッシング(無視)」が顕著になっている。
前首相や媚中議員に限らず、いまや日本の政界では、「大人の政治家」が絶滅危惧種となっている。
「大人の政治家」とは、いったいどのような政治家か。思い浮かべる人物像は人それぞれだろうが、私なりに定義すれば次の四条件を満たす人物ということになる。
①清濁併せ呑むことができる
②足して二で割ることを基本としつつ、非常時には、果断な決断ができる
③GNN(義理と人情と浪花節)を重んじる
④「大人の遊び」ができる
企業・団体献金を集めよ
「大人の政治家」になれるかどうかの最初の関門は、「清濁併せ呑む」ことができるかどうかである。
「政治にカネがかかるとは何事ぞ!」と獅子吼するような政治家は、与野党問わず重度の小児病患者か詐欺師であり、間違っても投票してはならない。
資本主義国家にあって、「政治にカネがかからない」なんてあり得ない。
イーロン・マスクが、米大統領選が行われた二〇二四年に少なくとも二億七四〇〇万ドル(約四一一億円)を主にトランプ陣営に注ぎ込んだのはやり過ぎとしても、アメリカでも日本でも選挙にカネがかかるのは同じ。
選挙区内の一等地に事務所を設けて私設秘書を雇い、自らの政策や人柄をアピールするための動画やパンフレットをつくり、一軒一軒に投票を呼び掛ける電話をかけるだけでもかなりのカネがかかる。
一面識もないアカの他人に、投票所まで足を運んでもらって自分の名前を書いてもらうことがいかに大変かは、選挙戦を戦った者しかわからない。しかも衆院選挙区に立候補するだけで、供託金三〇〇万円を用意せねばならない。比例代表と重複立候補しようとすれば、六〇〇万円もかかる。
並のサラリーマンでは、供託金さえ簡単には用意できないだろう。
当然、候補者は有権者から献金を募ることになるが、読者の皆さんの中で、どれだけの人が政治団体や政党に年間一万円以上献金しているだろうか。
企業・団体献金を廃止すれば、創価学会員が母体となっている公明党や共産党員が事実上手弁当で選挙運動をやっている共産党以外、大打撃を受けるのは必至だ。
政党は、「国から政党助成金が出ているから大丈夫」という論者もいるが、政党の経費をすべて国費で賄うことになれば、政党は国家管理の下に置かれ、疑似社会主義国家となる。共産党が政党助成金の受け取りを拒否し続けていることは、一つの見識ではある。
政治団体や政治家に多額の支援をしている「タニマチ」は、イーロン・マスクのような癖アリの金持ちが多い。中には塀の上を千鳥足で歩いているような事業家も少なくない。
児玉誉士夫というタニマチがいなかったら、中曽根康弘は派閥の領袖にもなれなかったろう。つい最近まで現役だった二階俊博も清濁併せ呑んだ政治家だった。
そうした面々から法に触れない範囲で(建前ではあるが)しっかりと政治資金を頂戴し、しかも最終判断は、タニマチの顔を立てながらも「最大多数の幸福」が得られるような決断をする、つまり何事も足して二で割るのが、「大人の政治家」なのである。
「大人の遊び」に寛容たれ
そんな彼らの必須アイテムが、GNNだ。
田中角栄を例に出すまでもなく、名を成した昭和の政治家は、濃淡はあれどGNN(義理と人情と浪花節)を重んじた。
浪花節と書いても若い人はピンとこないだろうが、浪花節(浪曲)は、濃厚な義理と人情の世界を描いた芸能(「清水の次郎長」など仁侠ものが多い)で、人間関係が淡白となった令和の政界とは全く違う。
ことに石破は、…続きは本誌にて…
<編集部よりお知らせ>
7/1(火)、早稲田大学公認の保守系政治学術サークルである国策研究会の主催で、藤井聡先生の講演会が開催されます。
以下に開催概要を記します。ぜひご一読のうえ、ご参加ください。(※予約優先とのことです。)
━━━━━━━開催概要 ━━━━━━━
■講師:藤井聡 (京都大学大学院教授/元内閣官房参与)
■演題:「天下布道〜国土を巡る国民国家の現象学」
■日時:7月1日(火)17:00〜18:30(開場16:
■会場:早稲田大学 小野記念講堂(東京都新宿区戸塚町1丁目103-18)
地図:https://maps.app.goo.gl/
■参加費:無料・一般公開(学生に限らず、
■予約:予約優先(当日参加も可)
↓予約フォーム↓
https://forms.gle/
※座席数に限りがございますため、「予約優先」
表現者塾は『表現者クライテリオン』の編集委員や執筆者、各分野の研究者などを講師に迎え、物事を考え、行動する際の「クライテリオン=(規準)」をより一層深く探求する塾(セミナー)です。
◯毎月第2土曜日 17時から約2時間の講義
◯場所:新宿駅から徒歩圏内
◯期間:2025年4月〜2026年3月
◯毎回先生方を囲んでの懇親会あり
◯ライブ配信、アーカイブ視聴あり
執筆者 :
2024.08.11
2025.06.05
2022.10.25
2025.06.05
2025.05.30
2025.03.26
2025.06.09
2025.06.10
2025.06.03
2018.07.18