保守放談● 大阪ＩＲ構想を貫く「バブルへの憧憬」

皆様こんにちは。 『表現者クライテリオン』編集部です。

本日は、『表現者クライテリオン』2023年1月号より『保守放談● 大阪ＩＲ構想を貫く「バブルへの憧憬」』をお届けします。

保守放談● 大阪ＩＲ構想を貫く「バブルへの憧憬」

　十月に大阪府で、ＩＲ誘致推進の一環として「ギャンブル依存症対策条例」が成立した。誘致反対派がカジノ中毒への懸念を強調してきたからだが、肝心なのは、バブル的な観光需要やグローバル経済の拡大を前提にした産業政策それ自体が一種の「依存症」であると認識することだ。

来場見込みの七割が国内客という計画だが、収益の柱であるカジノが外国人（とりわけ富裕層）の需要抜きに成り立つわけはない。「バブル期の負の遺産」である埋立地を有効活用すると言いながら、「非日常的なバカンスの拠点を作る」（松井市長）という推進派のイメージを貫いているのは、八〇年代のきらびやかなバブル経済への憧憬であり、二〇一〇年代の怒濤のような観光ブームへの未練なのだ。

　コロナやインフレで世界経済の不確実性は高く、軍事的な衝突の火種もあちこちにある。この危機の時代に必要なのは生活を支える基本的な産業基盤の安定であって、グローバル化やバブルへの依存を深めるのは、時代遅れの「下手なギャンブル」と言うほかない。

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