2020.09.07
こんにちは、表現者クライテリオン編集長、京都大学の藤井聡です。
今日は、この度出版した表現者クライテリオンの最新刊
「新・空気の研究 ~TV・知事・専門家たちのコロナ脳」
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08D4SJWR3/
について、「なぜ、この特集を組むことにしたのか」を中心にお話ししたいと思います。
ご案内の通り・・・「おまえ、空気読めよ」というタイプの批判は、日本において濃密に機能する批判です。要するに、空気に従うのが善で、従わないのが悪だ、というコトを前提に、空気を読めない奴(いわゆるKY)をとがめる、というのが、日本において多いわけです。
いわば、善悪判断の基準(クライテリオン)が空気になってる、という次第。
でも、これってよくよく考えるとメチャクチャな話で、その場で空気を支配する奴が善悪を決めてるってことですが、そいつが自分勝手に自己都合で空気を作ってることだって頻繁にあるわけです。
つまり、空気が決める善悪と、ホントの善悪とが全然関係無いことなんてザラにあるわけです。
・・・という視点から、戦前戦中戦後の日本を縦横に分析・批評したのが、山本七平氏の「空気の研究」という書籍。
戦後の日本の言論界・論壇に大きな影響を与えた一冊で、様々な日本の現象を分析する際に山本七平氏が言う「空気」が活用されてきました。
表現者クライテリオンでは、これまで8月号や別冊で「コロナ禍」の問題を様々に論じてきました。その毒性や医療現場の実態を踏まえつつ、思想的、実践的に様々に論じて参ったわけですが、今回はこの問題をさらに「包括的」「本質的」に捉えることを企図して、今日本を覆っている「空気」の問題を取り扱うことにしました。
私の友人達が口をそろえて言うのが、
「はっきりいって、コロナなんか別に何にも怖くないけど、もし罹ったら、内の会社が世間からえらいバッシングされて、会社にもの凄い迷惑かけてしまうから、それ考えたら、コロナに罹ったってことになれへんよなぁ」
という話。
つまり、私の周りの組織人達が一様に怯えているのは、「新型コロナウイルス」というよりむしろ、「コロナに罹ることは悪いことだ」という「空気」なのです。
中にはもちろん、同居している高齢者に移したくないとコロナに怯えている方もおられますが、高齢者と同居していない方も多数いるわけで、そういう方々が怯えているのはやはり、「ウイルス」なのではなく「空気」なのです。
何とも理不尽な話です。
万一、そういう空気のおかげで感染拡大が抑止されているならまだ納得も出来る部分もありますが、むしろ感染を助長している傾向があります。
何といっても、空気にだけ怯えている人々は、「コロナに罹る」ことに怯えているのではなく、「コロナに罹ったコトがバレること」を怯えているのです。
だから、彼等は大なる可能性で、「自分はコロナかも・・・」と思った時、何としてでもPCR検査を受けようとはしなくなるのです。
もしPCR検査を受けて陽性にでもなってしまったら、会社に甚大な被害が及ぶわけです。だから、仮に感染しててもPCR検査さえ受けなければそれでいいだろう、と思ってしまうわけです。折りしもほとんどの若年者は罹っても、単なる風邪症状で済んでしまうことが圧倒的多数なわけですから、PCR検査さえ受けなければ、やり過ごせるわけです。
・・・そうなると、保健所はますますコロナ感染者を拿捕することが難しくなり、保健所の知らない間に、感染が拡大していくリスクを高めてしまうのです。
だから、特に合理性も無く、「とにかくコロナに感染することは悪だ!」という空気が濃密で有れば、その空気のせいでかえって感染を拡大させてしまうのです。
いわば、「自粛警察」は諸刃の剣であって、表面的には自粛を強要する傾向はあるのでしょうが、逆に水面下での感染拡大を誘発してしまうわけです。
しかも、「自粛」それ自身が実は、感染抑止の視点から必ずしも必要でなかった可能性も十分に考えられています。
(例えば最新データだと・・・
https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/2793419930758932)
あるいはむしろ、家庭内感染を拡大する可能性すらあるとも指摘されています。
https://www.acpjournals.org/doi/full/10.7326/M20-2671?fbclid=IwAR3-FVnTtCZPKRGwNNqyxASQOOugvNK4GoI2G-P4r34300de1ILMVIcQpRw&
したがって、いま日本を覆っている、
「コロナを抑え込むためには、自粛しろ」
「自粛しない奴は感染を拡げる悪い奴だ」
「コロナに罹った奴は、自粛がぬるかった悪い奴だ」
という空気が、過剰な自粛を誘発し、経済を破壊し、様々な社会活動を抑圧し、子供達の教育環境を破壊し続けている疑義が濃密にあるわけですが(そうした社会的教育的破壊は、財政政策で完全補償は極めて困難です)、それのみならず、感染抑止にさして有効でない可能性があるばかりか、かえって、感染を拡大している可能性もある―――という次第です。
何とも理不尽な話ですが―――そういう理不尽を産み出すのが、「空気の本質」です。
繰り返しますが、空気は善悪の基準を人々に強要するのですが、その善悪の基準は確かな根拠があるわけではないからです。
ですから空気の暴走は容易に社会を根底から破壊し尽くす恐ろしい力を持っているのです。
実際、山本七平がかの「空気の研究」を出版したのは、「日本が自滅するのは、空気が暴走した時だ」と彼が確信していたが故なのです。
まさにこのままでは、科学的検証の全てを軽視、ないしは無視する「コロナ自粛=善」という独善的な「空気」によって、日本は根底から破壊されてしまうことになります。
・・・というようなコトは、実は既に多くの国民も気づき始めていると思います。
ですが、その空気は「実際の感染拡大期」は、恐ろしく強力なモンスターに成長してしまいますから、なかなかその空気に「水を差す」ことが難しくなります。
一方で、今、いわゆる「第二波」は徐々に収束しつつあり、その「コロナコワイ空気モンスター」はその力を幾分弱体化させつつあります。
そしてこの秋冬には、再びコロナ感染症の「第三波」が、これまでよりもさらに強力な感染力と毒性でもって我が国に襲いかかってくるかも―ーーしれません。その時、その第三波に乗っかる形で、そのモンスターはさらに凶暴化することは必至です。
ですから、我々は、我々が持つ国家的エネルギーを、可能な限り「空気モンスター」との戦いではなく「コロナ第三波」との戦いに差し向けることが必要なのです。さもなければ、コロナ第三波による被害を、我々はもろに受けてしまい、その被害を激甚化させてしまうことになるでしょう。
そういう最悪の事態を避けるためにも、可能な限り「空気モンスター」の方を、感染症が一時休止しつつあるこのタイミングで、しっかりと撃退しておくことが必要なのです。そしてその上で我々は「空気」でなく、コロナについての科学的実証的な諸知見に基づいたコロナ対策論を、しっかりと考えねばならないのです。
そのために出版したのが、今回の表現者クライテリオンの
「新・空気の研究」
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08D4SJWR3/
です。
是非とも、「コロナとの戦い」にしっかりと打ち克つためにも、「コロナ空気モンスター」を撃退するために、本誌「新・空気の研究」をしっかりをお読みいただきたいと思います。
追申1:
この機会に是非、定期購読をご検討下さい(10%割引きで提供さし上げています)。
https://the-criterion.jp/subscription/
追申2:
「自粛が如何に不要だったか」について、下記にて包括的にとりまとめました。是非、ご一読ください!
『【再検証】第一波・第二波の双方に「8割自粛」は不要だった。以後、過剰自粛をしない/させないように賢く、注意深く振る舞うべし。』
https://foomii.com/00178/2020090515152170523
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コメント
コロナ騒動の核心が分かった気がします。政府はダイヤモンド・プリンセス号での
対応についても、真実をを国民に言わず、現場の実態を直視せず、単なる机上の空論を唱えての対応の結果、多くの感染者を出してしまっている。初動時の対処がまずかった訳であり、もっと専門家等の意見に耳を傾けるべきであったと思う。このコロナ騒動が我国の命とりにならならいよう祈るばかりです。日本のメデイアはもっと真実を報道する義務があると思う。報道の自由とは、本当の事を隠蔽する自由ではなく国民に正確な情報を提供する事であるべきだと思います。
何はともあれ日本国民の国民性は純真で清らかな心を前提として存在していますので先ずはココなんです。だから吉田松陰とか大村益次郎とか西郷隆盛とか村田新八とか殉国七士とか三島由紀夫とか先の大戦で玉砕覚悟で散華なされた方々とか藤井先生の師匠の西部先生は偉大なのです。ちなみに大村は医者の立場で宇和島に招かれて英国の蒸気機関をバラしてそれを三年で造りあげた方なんですね。それで当時、連戦連敗の長州藩を四境戦争で勝利に導くために貢献した大立役者なんです。それを考えるとその延長線上に現在がありますから、お馬鹿の代名詞と捉える西浦博とか岩田健太郎とかって国際社会の仕組みとかメディアの意味とか無知で残念な奴等なんですね。まあ要するにバカだから腹が立つわけですよ!それから名古屋でも右往左往しているマヌケ医者が存在してますから困ったものですね低次元のバカ医者は!ついでにアフガニスタンで亡くなった中村哲も残念な方なんですから、これらがいわゆる平和ボケなんでため息どころか、将来世代には地獄しか見えない最悪の状況なんです。それから藤井先生とか中野先生を猛烈に非難していたメディアで生計立ててるアゴラの連中も糞で保身だけの腐敗まみれですよね。まあこんなのを一掃してからですね。
河合隼雄とか中根とかが空気問題指摘して何年経つんだ?
自分の生まれるずっと前から空気問題やってるんだから呆れる
指摘しても無駄だってわからんのか?諦めろ
学者なら見立ては立つでしょ、もう詰んでんだよ
場の倫理でしょ
日本人に善悪判断とかないから
例えば北陸トンネル火災事故、これとか善悪の判断が空気ないしはタテ社会の序列でしかない
日本語の公私概念の歪さの問題でもある
元々の母性社会の病理にポストモダン化による多様性の逆説
ユングの時代から永遠の少年モデルは指摘されている
無限の成長、否定の死、死の否定
ハイデガーがこの時代にいたら発狂
現象学精神病理学で言えば明らかにポストモダンの時間制は鬱病親和型だ
事実今のティーンはネタバレ見てから映画をみる
自己が既知だから全知的になる
不安などない頽落しかない
消失したのは可能性
予め知られた人としか出会わない
ツイッターを見れば出会う前から相手の考えがわかる
よって予めの相違か同調の二択しかコミュニケーションの回路がない
前者はお互いの罵倒、後者は依存的全体主義関係に帰結する
人間の本来的コミュニケーションは共通可能性から始まる
今後世界は分裂する
デカルト的人間観に蒙された抑圧過剰なモンスターが跋扈する
藤井先生の主張は一つの動機によって一貫しています。
かつての日常は失われた。
取り戻すために、何が出来る?
その最適解を導き出すために力を尽くしているだけ。
私は藤井先生の言論に知性の煌めきを視ています。
サタン「あなたが神の子なら、これらの石がパンになるように命じなさい」
キリスト「人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばで生きる」
パン(衣食住)だけを求めるなら、悪魔と変わらぬ。
貴方は新自由主義者で信者である!!!
って「まっとうなナショナリスト達」にレッテルはられちゃった。
まっ、いいか。間違いでは無い。
信者はともかく新自由主義者だとある一面は自覚してるし、そして私の物差しでは私は左翼だとも自覚してるしね。だからこそ保守を真剣に知ろうとするんやけど、そして悲しいかな保守にはなれない。「まっとうなナショナリスト達」は全てを知っているんだね。すごいね。だから新自由主義者だと言えるんだね。
同じ様な のの知り合いヤクザ屋さんもやってるね。仲間の批判を文章公開するって。同じだね。内容も。
任侠も保守も同じ問題を抱えてるね。初老のケンカは醜いね。
藤井氏に言いたい事は正月の今年の目標か何かで「政権交代」とかなんか書いたやろ。あれアカンで。人間、勝敗意識したら言論がメチャクチャになるから気い付けや。悪いとこいっぱい出てるよ。
それにしても残念。
コロナ禍から日常を取り戻すって正にその通りだと思います
イベントとか行事とか電車の利用とかすべて日常に戻すべきで
アフターコロナとかコロナ後の社会とか不埒な事を考えてる輩から
日常を取り戻すことが大事だと思います。それともしアフターコロナを考えるなら
インバウンドへの異常な依存とか行き過ぎたグローバリズムによる弊害を考えて欲しいものです
出版おめでとうございます。
応援しております。