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【藤井聡】政治家「批判」は国家にとって極めて枢要である ~表現者クライテリオン『菅義偉論』の出版意義~

藤井 聡

藤井 聡 (表現者クライテリオン編集長・京都大学大学院教授)

コメント : 1件

こんばんは、表現者クライテリオン編集長、京都大学の藤井聡です。

橋下徹知事が誕生し、安倍内閣が誕生して以降、所謂「保守権力者」を批判する者をバッシングする、何とも嫌な風潮が我が国を覆い始めました。

例えば、大阪の代議士・辻元清美氏は、維新や安倍内閣を徹底批判しますが、その嫌われっぷり凄まじいものがあります。

もちろん、辻元氏を支持する方々も多数おられ、だからこそ選挙で勝ち上がってこられるわけですが、辻元氏が橋下氏や維新、そして安倍氏や自民党を批判すると、ネット上では辻元氏に対する激しい誹謗中傷が書き込まれます。

かくいう当方も、大阪都構想批判を展開すると、橋下氏や維新の支持者達から激しくバッシングされます。最近ではそうした誹謗中傷がさらにエスカレートし、『年内 殺害スル』と書き殴った不穏なファックスが大阪方面から二度も届けられてしまいました(ついては致し方ありませんので、大阪府警、京都府警とも連絡を取り合いながら、日々、警戒しています)。

こうした誹謗中傷、さらには恫喝の類いは、批判者の「批判内容」に対する反応というよりはタダ単に「嫌いという感情、さらにはそれが深化した「憎しみ」の念が裏打ちされたもの。

では彼等が一体どういう気分に基づいてそうした誹謗中傷や恫喝を繰り返しているのかと言えば、彼等の平均的な気分は次の様なものです。

「ごちゃごちゃ細かい事、うるせーよっ! どうせお前、維新や自民を批判して、『私頑張ってますアピール』したいだけなんだろ!? 維新も自民も橋下さんも安倍さんもうまくやってんだから、黙ってろ!!!」

こういう感覚なので、どれだけその批判がまっとうなものであっても、一切、彼等の耳には入りません。で、彼等のこの気分の根底にある基本認識を整理すると、以下の3つとなります

第一に、維新や自民は、トータルうまくやっている。

第二に、だから、維新や自民の嘘や各種の破壊行為(改革)は、トータルうまくやっていくための「必要悪」であり、何ら問題ではない。むしろ文字通り「必要」なものですらある。

第三に、一方で、維新や自民に対する批判は、純粋に国家公共のための公明正大なものでなく、政治的アピールをしたいが為に行っている党利党略の類いの代物である。だから、その批判の内容を真面目に吟味する必要など一切ない。

要するに彼等は、
「維新や自民が全て正しく、その批判者は全て間違っている」
と頭から信じ込んでいるわけです。

これはもう、なんだか得体の知れない新興宗教の信者のマインドと同じ。だから実際彼等はしばしば「橋下信者」「維新信者」「安倍信者」と呼ばれているわけです。

が、こういう権力者を無批判に受け入れる態度は、極めて危険

その典型は、第二次大戦期のドイツですが、そんな極端な例に頼らずとも、権力者が自らが持つ権力を振りかざしてしまうリスクは、如何なる権力者においても存在しうるもの。

だから、右であろうが左であろうが上であろうが下であろうが、権力者は常に様々な評価・チェックに晒され、必要に応じて政策のみならずその「人格的」な側面も含めて徹底的に批判されねばならないのです。

もちろん、その批判が度を超しすぎて、権力者が何も出来なくなってしまうというのは問題ですし、だからこそバランス良く権力者を「支援」していく姿勢も大事なのですが、支援にせよ批判にせよ、過ぎたるは及ばざるが如し、支援すべきか批判すべきかを是々非々でバランス良く判断し続けていくことが必要なのです。

そうしたバランス感覚が近代国家においてはとりわけ重要なのに、昨今の軽薄なホシュ連中はスグに権力者の「信者」となって、批判者をバッシングしたり恫喝したりする暴挙に及ぶ、という次第。

言論誌表現者クライテリオンでは、こうした日本の風潮に抗う形で、菅義偉という一国の総理大臣にまで上り詰めた一人の政治家を、虚心坦懐、その政策から人格に至る迄、肯定的側面のみならず否定的側面も含めて、徹底的に「批評」することこそが、今、日本にとって何よりも求められているに違いないという確信の下、この度、

「菅義偉論 ~改革者か破壊者か~」
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(定期購読:https://the-criterion.jp/subscription/

を編纂、出版いたしました。

この編纂にあたっては、単に批判に終始するだけでなく、菅義偉氏の人間像をできるだけ多面的に描写することを企図し、菅氏が若手の頃から知る古賀誠氏や亀井静香氏、(古参の政治記者・政治評論家でられる)森田実氏・木村棟一氏・泉宏氏らの生の「菅評」を掲載いたしました。

本誌の評価は、読者各位に委ねたいと思いますが、既に様々な評価をお寄せいただいています。

例えば、某番組でご一緒する若い女の子からは、

「読んでみて、菅さんの印象が全然変わってしまいました!令和おじさんかと思ってましたけど、人間性が無いというかなんというか・・・」

というストレートな評価を頂きましたし、某メディア関係者からは、

「ここまでホンマの事、書いてしもて、大丈夫ですか?」

と当方を心配する様なお声も頂いています。

がもちろん「大丈夫」。

何と言ってもその内容、「菅義偉という一人の政治家の真実」を描写した「ホンマもんの政治家批評」なのですから、問題である筈がありません。

そもそも、各論者に自由に忖度無く菅氏について論じていただいたものを、そのまま掲載しているだけの話しですし、総理大臣という日本にとって最も重要なポジションに就いた政治家については、その人物評、人格評も含めて徹底的に批評することが日本国家にとって必要不可欠であることは、先にも述べた通り。

ついては是非、一人でも多くの国民に、表現者クライテリオンをご覧頂き、我が国の今の総理大臣とは、一体どんな男なのかをじっくりとご吟味いただきたいと思います。

そして、この年末年始のお時間を幾ばくかでもお使い頂き、来たるべき2021年、国民としてこの菅という男についてどういう処遇を与える事が適当なのかについて思いを馳せていただきたいと思います。

何と言っても、2021年には総選挙があるのです。その結果によって、日本の命運は決定するのです。そのための下準備の意味でも、本誌特集『菅義偉論』、是非、ご一読いただきます事、改めてお願い申し上げたいと思います。
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では、よいお年を!

追申: 菅義偉氏の「政策」は如何に問題なのか‥‥について以下にとりまとめました。要するに彼は、総理の椅子に座り続けたい気持ちはあっても、その権力を使って日本をよくしたいという気持ちはほぼほぼ持ち合わせてはいないのです。
『菅内閣はなすべき対策を「過剰自粛」し、日本破壊を加速している。』
まぐまぐ!:https://mypage.mag2.com/ui/view/magazine/162605019?share=1
Foomii:https://foomii.com/00178/2020122615493374662

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コメント

  1. ようすけ より:

    藤井先生、はじめまして。

    薄っぺらい内容のコメントですが、よろしくお願いします。

    菅首相は安倍前首相と同じく小泉前首相の側近であったのを知って以降、危険人物として警戒しております。
    小泉前首相は攻撃性が強く冷酷な破壊者であったのにも関わらず、高い支持を得ていました。
    (私は小泉氏が首相になった時に直感で危険だと感じ、それが現実のものとなりました)
    小泉氏の間近にいた安倍前首相が小泉路線を素直なまでに継承加速させ、菅首相もそうするのは自然な流れかもしれません。
    違いは安倍前首相と小泉氏が政治屋一家の恵まれた環境の出であるのに対し、菅首相は叩き上げという所でしょうか。

    橋下氏については小泉氏の人間性と、菅首相の叩き上げ的な所を合わせた人物という印象があります。
    非常に危険な人物であるのは言うまでもありませんが、小泉氏と菅首相同様に竹中氏と繋がりがあるのも危険性を感じます。

    維新は議員や地方自治体の長に切れ者が多くいるのですが、言動が粗暴なのがいただけません。
    門下生や支持者は富裕層とそれに近い中間層が多くいる感じで、運良く今の地位にいるのに自分の実力だと勘違いして傲慢な言動が目立ちます。
    アゴラを閲覧するとそう思わざるを得ません。

    最後になりますが、藤井先生が音楽が好きなのを知りました。
    現在進行中のコロナ騒動(敢えてそう呼んでいます)で、安倍前首相と小池都知事にTwitter経由で緊急事態宣言を出してと何度もメッセージを送ったYOSHIKI氏に私は怒りを感じています。
    YOSHIKI氏自身は一生困らない財を築いていますが、彼が過剰自粛を呼びかけたせいで活動を断念したり、規模を縮小せざるを得なくなった音楽関係者がいるのを考えるとやるせなくなります。
    ちなみにYOSHIKI氏は約束破りと遅刻の常習犯のくせに、他人が約束を守らないとキレるという非常に身勝手な所があり、維新関係者や菅首相、安倍前首相、小泉氏と同じ臭いがします。
    コロナ騒動で以前から不信感を感じていたYOSHIKI氏をやっと見限る事ができました。

    中身のない長文を書いてしまい、失礼しました。

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