この度刊行した『表現者criterion』創刊号の特集は「保守とクライテリオン」。その中で当方が寄稿したのが『隷属に抗う勇気、保守を超えた再生』なのですが───今日はそのさわりをご紹介差し上げます。
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我々を含めたあらゆる生物は、クライテリオン=規準が無ければ死を迎える他無い。
何を食べるべきかどこで眠るべきか、さらには食べるべきか眠るべきか、それらの規準が無ければ生命は維持できない。このシンプルな事実こそ「保守」においてクライテリオンが不可欠である根源的理由だ。つまりクライテリオン不在ならあらゆる生が死に繋がる危機(クライシス)を迎える他無いのである。
そして我が国は確かに今、数多くの深刻なクライシスに直面している。それもこれも我が国の存続のために不可欠なクライテリオンがあらかた失われてしまったからだ。
そもそも20年に及ぶデフレによって国力は衰弱の一途を辿り、富国強兵とは逆の「貧国弱兵」が進行し、我が国は北朝鮮危機を契機に米国依存の度をますます深めている。結果、我が国は、世界中が非難する米国によるエルサレムの首都認定に対して遺憾の念すら表明できない情けなき状況に陥り、イスラム社会から日本が敵視、攻撃されるリスクを高めてしまった。
それどころか、我が国の核心的利益である尖閣問題においてどれだけ中国の圧力が高まっても、日中開戦を望まない米国の圧力によって何の反撃も出来ない状況から脱することができず、中国が実力で尖閣諸島を侵略するXデーを指をくわえて待つ他無い状況に置かれている。
さらにはこうした軍事的問題のみでなく、純粋な経済、交易問題においてすら「貧国弱兵」故に対米隷属の度合いを深めた日本は米国に何ら「刃向かう」ことができない状況に至っている。結果、あらゆる交易交渉において米国益を増進するために日本の国益を差し出す売国的行為が横行している。
一方、国内問題に目を向ければ、70年以上にも及ぶ我が国の他国への隷属化の継続によってあらゆる「伝統」が蒸発し続ける状況に陥っている。
そもそも「奴隷」でいることに甘んじた者に倫理なり道徳なりを語る資格などない。
無論、奴隷であっても「不屈」(invictus)の精神を宿している限りに於いて彼は純然たる奴隷ではない。しかし隷属状態に「甘んじる」ような者は純然たる奴隷と言う他無い。そんな純然たる「奴隷」が「斯くすべき」とどれだけ理路整然と語ったとしても、何の説得力も宿らない。そんな恥ずかしい人物に説教されれば、誰だって次のように思うだろう───「人に偉そうに説教する前に、お前が隷属をやめろ!」
(もっと言ってやるならこうだ。お前がそんな隷属状況を嬉々として受け入れているということは、お前がどれだけこうすべきと思ったところでお前の支配者がNoと言えば、お前は何一つできないんだろ? つまりお前はあらゆる『べき』を拒否される奴なわけだ。要するにお前には本物のクライテリオンなんて何一つ無い。お前が偉そうに口にするクライテリオンは全て偽物に過ぎない。言ってみりゃご主人様のご命令だけがお前の唯一のクライテリオンってわけさ。そんな自分で何ものもできない奴隷ごときが、偉そうに俺に対して説教垂れるんじゃない!)。
そしてこのセリフこそ、今、若者の精神の根底に、気付いているかいないかに関わらず潜在的に流れている大人達に対する心情なのだ。
では、どうすればこのクライテリオンを取り戻すことができるのか───以上の続きは、是非、『表現者criterion』をご覧ください。
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