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【最新記事紹介 その1】MMT政治座談会 財務省から財政主権を取り戻せ!(竹内譲・西田昌司・藤井聡)(1)

From 『表現者criterion』 編集部 

『表現者クライテリオン』最新号から、竹内譲・衆議院議員、西田昌司・参議院議員、藤井聡編集長による『MMT政治座談会 財務省から財政主権を取り戻せ!」の内容の一部を、ご紹介します。

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MMTは異端にあらず、正統な経済理論である

藤井 本日はMMTの座談会ということで、まずは冒頭で、初めてMMTについて記事を目にする読者もおられるでしょうから、簡単にMMTの概要についてお話ししたいと思います。まず、MMTというのは、Modern Monetary Theoryの略称で、日本語では、現代貨幣理論と訳されています。その基本的な主張はとてもシンプルで、「デフレの時には、少なくともデフレが脱却できるまでは、累積債務の大きさなど気にすることなく、政府支出の拡大が必要。そうでないと、国民が不幸になる」というもの。そしてもちろん、インフレの時には、逆に、政府支出の抑制が必要だとも主張します。ですからMMTは特に批判されるような極端な主張など全くしていないのですが、日本では今、異端や「トンデモ」等と揶揄するような記事が多い。
 例えば『朝日新聞』の原真人さんは、「財政赤字なんかが膨らんでもへっちゃらで、中央銀行に紙幣を刷らせれば、財源はいくらでもあるというかなりのトンデモ理論」等と中傷的に、なにやら不道徳な不埒な理論というニュアンスで紹介されています。
 しかし、MMTは決して異端やトンデモではありません。そもそも、その学問的系譜は非常に古く、百年以上の歴史を持っています。その中で最も重要な学者の一人がケインズです。ですからMMTは、その流れをくむポスト・ケインズ学派と呼ばれることもありますし、その中には二〇〇八年の金融危機を言い当てたミンスキーやその弟子のレイも含まれる。さらには、ラーナーやシュンペーター、そしてクナップといった著名な学者達も、今のMMTの議論の礎を築き上げている。つまり、MMTの主唱者の一人であるレイの言葉を借りるなら、MMTは「巨人たちの偉業の上に成り立っている」わけです。
 一方、今日の著名な経済学者であるシラー、パウエル、クルーグマン等がMMTに対して批判的なコメントを出しています。彼らもまた、上記の朝日新聞さんと同様に、「MMTは、好きなだけ紙幣を刷っても大丈夫と言っているが、それは問題だ」というニュアンスの批判をしている。しかし、MMTは決してそんなことは言っていないのです。上記のようにあくまでも「適度なインフレ」を目指しているのがMMTであって、したがって、それが実現できれば、支出拡大を止めるべきだと主張します。つまり、MMTにもインフレ率という財政規律があるわけです。
 つまり、MMTは決して財政規律を撤廃せよと言ってるのではなく、財政規律を、国民の幸福に資するより適切なものに改善すべきだと主張しているわけです。

西田 全くおっしゃる通りですね。MMTは当たり前のことを言ってるにすぎませんよね。

藤井 ただ残念ながら、それが十分世間に理解されていないわけですね。さて、MMTがそうした主張ができるのは、やはり、「自国通貨建ての国債で政府が破綻することは無い」という「事実」があるからなんですよね。だから、デフレの時はデフレ脱却するまでは、支出拡大をす「べき」だという結論が必然的に導かれるわけです。そして、両先生もご案内の通り、その「事実」は実は、財務省が自らのホームページで公言している公式見解なんですよね。ですから、借金で破綻するということがないので、破綻を恐れて支出を抑制するのは全く無意味、ナンセンスなことなんだとなるわけです。だから、「破綻のリスクを避ける」という基準でなくて、もっと国民の幸福に資する基準が必要だということになります。そしてMMTは、その基準としてインフレ率だと主張するわけです。
 まず、「過剰インフレ」は国民を不幸に導く、だから、政府支出額にはおのずと「上限」があるということになる。一方で、政府支出が少なすぎるとデフレになる。だから、政府支出額には「下限」がある、ということになるわけです。そして今の日本だと、政府目標の二%のインフレ率を下回っていますから、政府支出が「下限割れをしている」ということになる。つまり、財政支出には、「上限支出額」と「下限支出額」があって、その間で調整すべきだと、MMTは主張するわけです。
 ただし、インフレ率の調整には金融政策も重要ですから、金融政策も徹底的に進めるべきだとMMTは主張します。つまり、MMTは「金融政策だけが重要だ」とも「財政政策だけが重要だ」とも主張するのではなく、単に、どちらも大事だと言っているわけです。

MMTが財務省の「ウソ」を明らかにした

西田 MMTについては、まさに藤井先生のご説明の通りです。ただ、こうした説明をすると、自民党の中でも、「閉鎖社会ならMMTの言う通りだろうけど、今はそうじゃないんだから、財政支出をやっても海外に抜けていくだけだろう、だから、財政政策の効果なんてないだろう」という人も出てきますけど、それはどうでしょう?

藤井 確かに完全に国境をなくせばそうかもしれませんが、未だに国境は強烈にあります。例えば、もし財政政策の効果がないんだったら、消費増税しても日本経済は何のダメージもなかったはずですが、実際には国境の内側の日本経済だけ凄まじく被害を受けましたよね。これは逆説的ではありますが、財政政策がどれだけ効果的かの決定的な証拠になっています。しかも輸出依存度は一割前後ですから、そういう批判こそ凄まじいトンデモ批判ですね(苦笑)。

西田 ホントにそうです。しかも、財政支出した日本円が海外に行けば、自ずと円売りが進み、円安になります。そうすると、今度は輸出が増える。要するに、変動為替制をやってる中では、そんな簡単に、財政支出の効果がゼロになるようなことはない。でもこういう批判は要するに、とにかく財政出動がダメなんだと頭から信じ込んでいる人が多い。我が党の中にも。

藤井 竹内先生はいかがですか、このMMT全体についての印象も含めて。

竹内 MMTについては今、いろいろと検証しているところですが、少なくとも次のようなことは言えると思います。つまり、これまでは財政再建をしなければ、たちまち金利が上がって、国債は暴落して大変なことになる、とずっと言われ続けてきた。でもそんな方針では、全然デフレは解消できなかった。でも、アベノミクスがスタートして、まさにケルトン教授が指摘するように、日銀が市中の国債を大量に購入するということを実際にやって初めて、デフレ脱却に動き出し、金利も抑えられている。いわば社会実験をやって、そういうことが明らかになった。だから、MMTはとんでもない理論で、デタラメだと言うのはおかしいわけです。極めて示唆的な部分がいっぱいある。

藤井 だからこそ今、MMTは批判されながらもメディアでも国会でも様々に取り上げられているわけです。にもかかわらずアレルギーがあるわけですね。

西田 もともと財務省の一番の失敗は、「国債発行を民間貯蓄で賄っている」かのような説明をずっとしてきたことです。今でも、財務省のホームページにはそういう表現で書いてる。

藤井 それはホントに間違いですよね。MMTを持ち出さずとも、プロの金融マンなら誰でも知ってるように、国債は、銀行等の日銀当座預金で買われている。家計の貯蓄が直接使われているのではない。

西田 しかも、国家財政を家計と同じように「収入以下に、支出を抑えないとダメだ」という説明をずっとしてきてるんですが、これも完全な間違いなんですね。

竹内 そうですね。

西田 これは著しい事実誤認をしてるわけですよ。で、さすがにそういうことを彼らも間違っていると国会の答弁でも認め出してます。認め出してるけど、未だにホームページに書いてません。書いてないどころか、こんなことを言い出す、「西田先生がおっしゃるように、直ちに財政破綻することはないでしょう。しかし、いずれこれはちゃんとプライマリーバランスを改善してやっていくということを示しているから、通貨の信認があるわけで、それがなくなったら財政再建を放棄したということになる」と。「一挙に通貨の信認がなくなって、ハイパーインフレになるんですよ」と、こういう言い方をするわけですよね。それで私は、「馬鹿者!」と言って……(笑)。

藤井 ホントにおっしゃる通りで、一一〇〇兆円もの国債が積み上がってるのに金利がほぼゼロだっていうのに、ここで、一〇兆円や二〇兆円の支出を増やしたからといって、一挙に通貨の信認なるものが下落することなんてあるはずないですよね(笑)。

竹内 (笑)。

西田 仮に、銀行が国債を売ると、増えるのは、日銀当座預金の残高です。こんなのが増えても金利はほとんど付かないわけですね。むしろ、国債はきちんと国家が金利を保証してるわけですよ。だから、銀行は、金利を稼ぐためには、国債を売ってしまえば、何か別のものを買わないといけないわけです。じゃあドルを買うんですかと、株を買うんですかと。でも、そんなものにはリスクがあります。だから、国債を全部売って、それを全部ドルや株に変えるなんてことは絶対ない、多少はあっても全面的にそういうことはありえないんですよ。だから、そのことを財務省なり、日銀なりに私が一対一で話してやると、さすがに彼らは下を向きます。その通りですから(苦笑)。
 だから、円の信認がなくなるっていうのは、一体いつなのかというと、まさに国家が崩壊してる時以外考えられない。国家に日本人がいなくなって、全員アメリカに移住したり、「日本沈没」が起きた場合とか、地球が吹っ飛ぶような時。でも逆にいうと、そんな事でもない限り、たかだか我々が財政支出を数十兆円拡大したからといって国家が破綻するなんていうことはありえない。

藤井 繰り返しますが、MMTの政策論の出発点は自国通貨建ての国債は破綻しないというところからです。で、なぜ破綻しないのかと言えば、要は、「国家が、貨幣を自分で作っているから」であって、そして、そんな国が勝手に決めた貨幣を皆が受け入れているのは「国家が、その貨幣で税を払うべし」と決めてるからだ、と論じます。つまり、あの円は、納税の時に絶対に必要なものとして、国家が作っているという次第です。だから、仮想通貨なんかとは全然違って、税の保証があるから、徴税する国家体制が無くならない限り、「円の信認が無くなる」なんてことはないわけです。そして実は、財務省も、政府が円建ての国債で破綻することは絶対ないと自分で言っているにもかかわらず、もう一方では、破綻するからプライマリーバランスを黒字化せよとか、消費増税をしろとか、支出を削れとか言うわけです。

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コメント

  1. ジャパニーズドラゴン より:

    私は国家経費増大の法則を卒論のテーマにしていた老人です。現在のプライマリーバランス政策、緊縮予算による国家の悲惨な現状を憂いてる一人でもあります。MMT理論が政府及び国民に認知されることを心から願っています。そして、政府が日本国のさまざまな問題、課題を財政支出の増大で解決できるよう期待しています。竹内先生、西田先生、藤井先生頑張ってください。

  2. もみじのおやじ より:

    日本国内の閉塞した政治・経済の打破を何とかしてMMT理論が大衆に広まり財政出動して子供や孫の時代が明るい未来になればと微力ながら周りの人に伝播して行きたいと思います。

  3. 小堀貞宏 より:

    自民党若手の「日本の未来を考える勉強会」のビデオを2年前から見ていたので、
    MMTの主張は素直に理解できます。
    藤井先生や西田先生のビデオも沢山見ています。本も読んでいます。
    これだけ緊縮財政打破を主張されているにも拘わらず、一向に世の中が変わらないのは何故か? 「日本は財政破綻する事はない」と周りにPRしていますが微力です。

    安倍政権が消費税増税をパスするのでないかと期待していましたが、残念ながら
    10月1日の増税は間違いないようです。官邸の力不足でしょうか。

    財務省が「財政法第4条」を守っているから、とも言われていますが、それが本当の理由だとしたら、法律を改正するのが先決だとも考えます。如何でしょうか。
    政治家へ、よく勉強して頑張れと言いたいですね。

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