【鳥兜】バイデン大統領誕生に際して ー問われる戦後の「JAP.COM」

啓文社(編集用)

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今回は、『表現者クライテリオン』で毎号掲載しているコラム【鳥兜】を公開します。

公開するのは、タイトル:「バイデン大統領誕生に際して ー問われる戦後の「JAP.COM」」

全文公開しましたので、ぜひ最後まで読んでみてください。

表現者クライテリオン』では、毎号、様々な連載を掲載しています。

ご興味ありましたら、本誌を手に取ってみてください。

以下内容です。

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 昨年十一月の大統領選をめぐる不正疑惑がくすぶるなか、一月二十日、民主党のジョー・バイデン氏がアメリカ大統領に就任した。二十分間の就任演説のなか、バイデン新大統領は、「青(民主党)と赤(共和党)、地方と都市、保守とリベラルを戦わせる礼節を欠いた戦争(uncivilwar)を終わらせなければならない」と語り、「ユニティ(結束)」という言葉を連発した。その上で「米国第一主義」から「国際協調路線」(世界を率いるアメリカ=同盟重視路線)への転換を打ち出し、さらにトランプ前大統領が中国寄りだとして批判していたWHOへの復帰や、「パリ協定」復帰など、十七の大統領令に署名したという。

 が、おそらく、その年齢(就任時七十八歳)から一期四年が予期されるバイデン政権において、米国内を「結束」させることが一朝一夕にはいかないように、「国際協調路線」に復帰すること、言い換えれば、トランプ以前の外交方針に戻ることも容易ではあるまい。

 トランプ支持者による連邦議会議事堂襲撃事件を見ても分かるように、米国社会の分断は、文字通り「戦争」の様相を呈しているが(ワシントンポストの世論調査によれば、共和党支持者の約七割が「バイデン氏は正当に勝利しなかった」と答えてる!)、しかし、だとすれば、バイデン政権の政策は、まずは、国内の分断を癒すためのもの──国内産業の保護、製造業の国内回帰、雇用の回復──であらざるを得ないだろうし、それはそのまま、米国のグローバリズム(ネオリベ)回帰の不可能をも意味することになるだろう。

 さらに言えば、米中覇権「戦争」にしても、バイデン政権の国務長官候補であるブリンケン氏が、早々とポンぺオ国務長官(トランプ政権)の言葉──中国のウィグル弾圧を「ジェノサイド」だと指弾した言葉──に同意を示し、さらに中国に対しては「強い立場で臨んでいく」(閣僚承認のための米公聴会・一月十九日)と公言したように、米国がオバマ時代の対中融和政策に簡単に戻っていくとは思えない。というより、このコロナ禍を通じて、共産党一党独裁体制を敷く中国への不信感は、党派を超えて共有されたように見える。

 しかしそれなら、むしろ問うべきなのは、中国との間に尖閣問題を抱えながら、「弱い」米国を前に、もはや対米依存戦略さえ語ることができなくなってしまった日本の方だと言うべきではないか。

 事実、その「独裁」によってコロナ・パンデミックをいち早く抑え込み──あるいは、押し隠して──、冷え込む世界経済を尻目に「独り勝ち」の様相を呈している中国経済は、二〇二八年には、予想より五年も早く、アメリカ経済を上回って世界一位になるとの予測も出ているのである(英シンクタンクの経済・ビジネス研究センター=CEBRによる)。

 この現実を前にすれば、もはや日本には「嫌中」を語っている余裕などないことは明らかだろう。問われているのは、超大国化する中国を前に、それとは明らかに「生き方」を異にしている日本人自身の自覚であり、それに基づいた中国への明確な抵抗の姿勢(戦略)である。むろん、その第一歩が、どこかの保守政党の首相が唱えた「加憲」などという寝言ではなく、最低限、憲法九条第二項の削除から始まることは言うまでもない。

 が、この程度の感染症被害で「社会を止めよ!」と言ってしまえる日本人に──あるいは、自らの「生き方」が分からなくなってしまった戦後日本人に、「勢力均衡(平和)を目指して抑止力を強化し続けることの大人の緊張に耐えよ」と言ってみたところで、もはや、何の意味もないのかもしれない。「JAP.COM」(西部邁)ここに極まれり、と言うべきか……。

(『表現者クライテリオン』2021年3月号より)

 

他の連載などは表現者クライテリオン2021年3月号にて。

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「抗中論 超大国へのレジスタンス」
https://the-criterion.jp/backnumber/95_202103/

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