今回は、『表現者クライテリオン』のバックナンバーを一部特別公開します。
公開するのは、「「コロナ」が導く大転換 感染症の文明論」特集に掲載の、小林よしのり先生と本誌編集長の藤井聡の対談です。
そして現在販売中の『表現者クライテリオン』最新号(2021年5月号)でも、コロナをテーマにしています。
ご興味ありましたら、ぜひ最新号とあわせて、本誌を手に取ってみてください。
以下内容です。
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藤井聡(以下藤井)▼
小林先生はブログや動画でも、現状は「自粛ヒステリーだ」という論を展開されていますね。
小林よしのり(以下小林)▼
批判ばっかり来ますよ(笑)。「コロナであれ何であれ、八十、九十のお年寄りが死ぬのはほとんど寿命だ」とか書くと、みんなものすごく怒るよね。「身障者は死んでもいいと言っているのと同じだ」とか「優生思想だ」とか言い出す人もいて、もう狂気の沙汰でしょ。どうやったって人は不死身じゃないんですから。(中略)
藤井▼(中略)欧米は感染症については抑圧戦略を取っていると同時に、経済面ではかなりの給付を行っているので、筋は通っているんです。
イギリスも抑圧戦略を取りロックダウンまで行いましたが、一方で飲食店に三百万円の補償をし、従業員の賃金の八割を国が補償して、解雇が広がらないよう対策しています。国債もしっかり刷って充当している。
しかも、もともとEUは財政規律をガチガチに守る傾向にありましたが、今回は三月末の時点で「財政規律を一時停止する(EU規則で定めた政府の借り入れ上限の適用を停止することを正式に承認)」とし、緊急国債を発行して自粛している労働者や企業を守る“戦時体制”に入っています。
その点で彼らは疫学上は正しいかどうかはさておくとしても、経済政策も含めたトータルの国策としては大きな問題はないとも言える。もちろんそれを一年、二年と続けられるかどうかは分かりませんので、あくまでも現段階ではということですが。
一方で日本は国民に自粛せよと言いながらお金はほとんど配らない。これではもうほとんど親が子供を虐待しているのと同じです。
小林▼なんでそんなひどいことをするの。わけが分からんよね。「コロナを一匹残らず駆逐する」と言いながら、一方ではそんなことは不可能だと分かっていて、「そう遠くないうちに自粛は解除するんだから、補償はそこそこでいい」と思ってるんじゃないですか。
藤井▼国民の意識と乖離した「Go To Travel」券(旅行を誘発するためのクーポン券)を配ろうというのも、そういう思惑があるんでしょう。というか、それを配るっていうところから推察すると、官邸は六月、七月になったらウイルスは一匹残らず日本から消え去ると思っているんじゃないでしょうか。
小林▼それはないわ(笑)。不可能だもの、そんなの。百歩譲って仮に日本で制圧したって海外ではウイルスがうようよしているんだから、いくらでも入ってくるじゃない。
藤井▼そうです。私が話を聞いているウイルス研究者たちも、最後は小林先生と同じく“常識”で考えるんです。しかし政府は医学的には抑圧派の意見を聞きながら、経済については緊縮派の言うことを聞いているので、とにかく国民を締め上げて我慢させるという方針しか出てこない。非科学的な根拠で国民が虐待されているわけです。
小林▼雑誌が出る頃にはもう自粛が終わっているといいけれど。気温が上がって紫外線が強くなって湿度が上がったら、流行が収まる可能性もある。
そうしたらもう完全に季節性インフルエンザと同じだから、いったん収まって秋から冬にかけての第二波、第三波に備えればいい。政府もそういう公算があって、またウイルスが巻き返して来たら緊急事態宣言を出せばいいや、と思っているのかもしれないけど。だったらもう早く今の自粛要請はやめてほしい。
藤井▼今のままの方針を取り続けていたら、日本だけがコロナ後に大負けしているということになりかねません。
小林▼本当におざなりだよなあ。
(中略)
小林▼(中略)全くの寝たきりで、脳死状態であっても心臓さえ動いていればいいんだという感覚をいい加減になくさなきゃ。戦争中はどんどん若い人が死んでいったけれど、それとは違うんだから。
戦後、保守は戦後民主主義批判の文脈で「生命至上主義」を批判してきたけれど、現実を見てみたら恐るべき「生命至上主義」が蔓延していたよね。度外れてますよ、この状況って。
藤井▼本当にびっくりするくらいに蔓延していますね。
小林▼ここまで命が惜しいのか、という。保守は一九七七年に起きたダッカ日航機ハイジャック事件で、「一人の生命は地球より重い」と言ってハイジャック犯に人質の身代金を払った福田赳夫を批判していたけれど、自分のことになったら保守もリベラルもないもの。右も左も「死にたくない! もっと強烈な自粛を!」って言ってるんだから。
藤井▼私の祖母は二十五年前に亡くなりましたが、晩年はいつも「いつお迎え来るのかなぁ」と言いながら朝夕仏壇の前で読経してましたが、そういう宗教観がかつてはありましたよね。もちろん誰しも身内には長生きしてもらいたいでしょうし、本人がそう願うことは誰にも妨げられない。
しかし「もう寿命も近いから、コロナだろうが何だろうが、死ぬのは構わない。それなら残り少ない日々を、外に出て楽しく過ごしたい」という気持ちだって、何人たりとも妨げることはできないはずです。そこが通じない現状には、全体主義的な生命至上主義の怖さを感じてしまいます。
小林▼全くそうだよね。基本的には、自分なりに「この世で果たすべき使命は終わったな」と思える段階で体がもたなくなってきたら、安楽死でもなんでもできるようにしてほしいくらいだけど、これじゃそんな話もできそうにない。
「そんなに命が惜しいか」と書くと「じゃあ小林よしのりが真っ先にコロナに罹って死んでしまえばいい」という人もいて。それを言われたって「そうだよ、罹ったら死ぬよ」ということでしかないんだけれど、これ自体がもう自分の中の不安をわしにぶつけているだけだから。
不安に駆られてどうしようもなくなって、わしに脅迫じみた言葉をぶつける。その行為自体が、自身の恐怖の現れなんですよ。
藤井▼おっしゃる通りですね。当方も、社会的な地位の問題をさておいて、あくまでもプライベートな感覚では自分自身や家族が罹っても構わないと思っていると公言したところ、そんな特攻精神はいかがなものかと批判されたんです。余りのお門違いに目が点になりました。
そもそも自分にしてみれば、交通事故死のリスクがあるのは怖いけど、必要だから交通安全に注意しながらクルマを運転します、と言っているだけの話。それを特攻精神だからダメだと言われたら、クルマ乗ってる人は全員、その特攻精神はいかがなものかと批判されなきゃいけなくなる。
というか、そんな物言いは特攻隊員に失礼です。特攻隊員は出撃したら死亡率はほぼ一〇〇%、コロナは〇・一%以下です。仮に死んだとしてもコロナの場合は感染症ですから自然の摂理でもあるわけで、特攻隊とは全く次元が違う。
小林▼そういう反応は本当に不思議ですよ。テレビを見ていたら家庭内感染の話をしていて、家族から一人でも感染者が出たら一家離散しなければならないような言いぶりですよ。頭がおかしいとしか言いようがない。
家族は運命共同体であるという前提すら無視して、個々の命を最重要視する。だから一家離散もやむなしという感覚なんですよ。
藤井▼「ただ生きるだけでいいのか」という問いかけがあっていいはずなんです。
(中略)
自分の命以外にも大事なものがある。家族もそうだし、飲食店での楽しみや、友人との語らいにも、音楽をライブハウスに聴きに行くことも、命に匹敵する価値がある。そういう豊饒な世界に生きているはずなのに、「命さえあればロックダウンしてもいい、外に出られなくても命さえあれば」というのは恐るべきニヒリズム(虛無主義)です。
小林▼全部オンラインでいい、なんて言ってね。「この… (続く)
(『表現者クライテリオン』2020年7月号より)
続きは『表現者クライテリオン』2020年7月号にて。
最新号は2021年4月16日発売。現在発売中です。
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『表現者クライテリオン』2021年5月号
「コロナ疲れの正体 暴走するポリコレ」
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コメント
どうして藤井先生が責められるんですかね。
一年経過して財政出動ないので藤井先生の予想は正しかったですよね。正しかったのに財政出動せよと政府を責めない理由が全く分かりませんね。藤井先生は政治家でも官僚でもないですよね。
自粛派の彼らはただの馬鹿、ゴミとしか言いようがないです。せめて金でも持って来ればいいのにそれすら出来なくて、ただ自粛だ自粛だと叫ぶだけの人間のクズか頭の悪い野郎達なのは間違いありません。
私はつまらない自粛派なと死ねばいいと思っています。生かしていてもつまらないんでどうでもいい存在です。他人同士、誰が亡くなろうがどいでもいいですよね。
金で救える命は救えばいいと思いますがその他は自己責任です。
いちいち傲慢でアホな輩に合わす必要なんかないでしょう。だって自粛派の自分達が家にいればいいだけなんですから。
ハッキリ言ってやった方がいいんです、お前の命なんかどうでも良いんだと。何か文句あるなら喧嘩しようか?と。
マスメディアに誘導されてその都度、日本経済を叩き壊す連中には大概でウンザリですね。