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【衆院選挙候補者・緊急アンケート調査】自民候補の大多数が「緊縮・改革」を支持、立民は緊縮・改革からの「転換」を支持

From 藤井 聡(表現者クライテリオン編集長・京都大学教授) 

京都大学のレジリエンスユニットでは今、「経済・財政政策に関する国会議員対象アンケート調査」が実施しています。

 

もともと選挙を想定せずに調査を企画していたのですが、調査期間が選挙期間と一致したことから、まだアンケート調査票の回収中ですが、既に70名(回答率15%)の回答が得られているとのことで、中間レポートが報告されました。

 

国会議員(前衆議院議員)の経済・財政政策に関する考え方についてのアンケート調査(途中経過)

http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/resilience/documents/policysurvey_2021.pdf

 

この調査では、各政党からの候補者から回答が得られていますが、2~3名の回答しか未だ集まっていない政党もありますが、自由民主党(以下、自民)、立憲民主党(以下、立民)の与野党それぞれの第一党の2党からは、一定数以上の回答が得られていますので、この2つの党の特徴についてご報告さし上げます。

 

詳細は上記をご覧頂ければと思いますが、

 

規制改革すべき          自民71% 立民31%

コロナが空ければPB堅持すべき  自民71 立民59%  

 

岸田総理は「新自由主義からの転換」を標榜していましたが、自民議員の大多数の7割以上が、未だに、新自由主義のシンボル政策と言うべき「規制改革」や「緊縮=国債発行禁止」の二大政策を主張しているこという結果となりました。

 

特に、改革の具体的な中身として、「中小企業の再編」や「フリーランス・副業の促進」「銀行の出資規制の緩和」といった新自由主義的な政策について、自民は立民よりも圧倒的に賛成していることが示されました。

 

中小企業の再編(M&Aの促進等)に賛成 自民47% 立民13

フリーランスなど新しい働き方促進に賛成 自民65% 立民9

銀行の出資規制の緩和に賛成       自民65% 立民25

 

これらの政策はいずれも「弱肉強食」を加速する規制改革で、働く人や中小企業、資本を持たない人々、いわゆる「弱者」が、「強者」に駆逐されていく傾向を加速するものです。

 

いわば、岸田総理が主張する「新自由主義からの転換」という言葉とは、完全に正反対の思想を、自民党議員達が持っていることが分かります。

 

次に、「緊縮」の具体的な中身についての項目に着目すると、次の様な結果となりました。

 

消費税の減税/廃止に賛成しない 自民100 立民25

コロナ禍中でもPB黒字化必要 自民18 立民0

コロナ増税すべき       自民12% 立民3%

 

今、コロナ不況から脱却するにあたって最も効果的であるとも頻繁に指摘される消費減税については、なんと自民党候補者の100%が反対していることが分かりました。

 

しかも、コロナ渦中でもPB黒字化が必要だと考えている候補者、つまり、コロナ渦中でも、国債発行に基づく積極財政はまかり成らぬと主張している候補者は、自民党の候補者の実に18に上ることも示されました。

 

さらには、コロナ対策費を捻出するためのコロナ増税が必要だと主張する自民党候補者は、12%もいるという結果となりました。

 

ちなみに、立民の候補者は、自民党候補者が支持するような激しい緊縮路線を支持するような方も一部にはおられるようですが、自民党のそれに比べれば圧倒的に低い水準です。

 

・・・

 

以上より、自民党の候補者は大半が改革・緊縮すべしと考える典型的な新自由主義者達であることが示されました。これでは、彼等のリーダーの岸田総裁がどれだけ新自由主義からの転換だ、なんて言っても、その意味が分からず、ちんぷんかんぷんで、結局誰も言うこときかないリスクが高そうです。

 

その結果、なんだかんだ言いながら、「新しい資本主義」というキーワードで、単なる「ちょっとだけ新しい、新自由主義的政策」が展開されるリスクが極めて高いと言わざるを得ないでしょう。

 

そうなれば言うまでも無く、デフレ脱却など不可能となり、岸田さんが言う所得倍増も絶対に実現できない、という事になるでしょう。

 

その点、立憲民主党は、そういう新自由主義的傾向が随分と低く、弱肉強食を進める改革からの「転換」を支持しているのであり、PB規律を撤廃して国債を発行し、消費税を減税していくべきだと考える傾向が随分と強いようです。

 

それ以外の政党については、サンプル数が少なく、統計的に解釈することは難しいですが、特徴的だったのが日本維新の会。日本維新の会は「改革」への賛成率が全政党の中で唯一の100%であり、コロナ禍後のPB堅持への賛成率も同じく全政党の中で唯一の100でした。

 

つまり、維新は、自民党よりもより過激な新自由主義政党だと言うことができそうです。

 

一方で、その正反対であったのが、日本共産党で、彼等は、改革への賛成率が0%、中小企業の再編・フリーランス促進・銀行の出資規制緩和への賛成率の0%、コロナ禍中でも後でもPB堅持やコロナ増税への賛成率も0%、そして、消費税の減税・廃止への賛成率は100%でした。

 

こう考えますと、「新自由主義」的傾向=「政府の仕事を民間に自由にやらせていく」傾向は、

 

  維新 > 自民 >> 立憲 >>>>> 共産

 

という状況になっているようです。

 

繰り返しますが、今日本がデフレ不況なのは、政府がやるべき事をやらないからで、その根源は、新自由主義にあるのです。

 

この選挙では、自民が単独過半数を取る可能性があるとも言われており、かつ、維新が大きく躍進すると言われています。そうなれば日本の新自由主義は、岸田総理の意図とは裏腹に、激しく加速する事になるでしょう。

 

岸田さんが新自由主義からの転換を実現させ、デフレ不況からの脱却を実現するには、自民の中の「改革・緊縮」主義者達ができるだけ多く落選し、そこからの転換の主張者達が当選することが必要でしょう。

 

そして国民は、極端な共産党を支持する必要はないとしても、自民に入れたくないと考えている方々は、せめて維新じゃ無くて、立憲民主党を支持するくらいのバランス感覚がなければ、岸田さんが新自由主義から決別することも、ましてや、日本がデフレ不況から脱却することも不可能となるでしょう。

 

もちろん、最終的には一人一人の判断が必要です。

 

ですが、この調査で露わになった「自民党の候補者達の大半が緊縮・改革支持者だ」という事実だけは、しっかりとご認識頂きたいと思います。

 

追伸1:このアンケートで示された、自民党の深刻な緊縮・改革病の問題を、選挙後に、水道橋博士の司会の下、田原さんと徹底的に議論いたします。是非皆様、ご参加下さい!

激論!田原総一朗×藤井聡×水道橋博士 

岸田版“新しい資本主義”で日本再生できるのか?

https://in.38news.jp/24p2111_no_menber

 

追伸2:自民党議員達が大好きな「緊縮主義」の総本山、財務省のトップの「経典」とも言い得る矢野論文が、如何に間違いだらけなのかを徹底的に解説しています。上記経典が掲載された雑誌始め、各方面に本記事掲載頂く様、交渉しているのですが、財務省に気を遣ってか……なかなか色よい返事がありません……ついてはご関心の方は是非、下記よりご一読下さい。

『矢野・財務省事務次官の『国家財政は破綻する』論文が間違いだらけであることを丁寧に解説いたします。』

https://foomii.com/00178/2021101101220285930

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コメント

  1. 柳瀬浩三 より:

    自民党議員の堕落振りに唖然呆然です。
    保守思想を同じくする後輩の選挙初挑戦の試みをバックアップした経験から考えると、小選挙区制が癌の根源であると、断言出来ます。県連で予め候補者選びを済ませて居て、新人が全く食い入る機会を与えられていないのが現実です。
    後輩は諦めて他党に鞍替えしてしまった。その時点で彼とは袂を分かった。その後彼は党を転々として、一期で浪人となってしまい。取るに足らない政界底辺定住したままです。
    自民党は県連ボスの総入れ替えをすることから始めないと、日本の保守層の大半の選択肢が無くなってしまいますね。
    日本の政治の沈滞が永続化します。
    もっとも保守層の大半が新自由主義思想に染まってしまって居て、「維新」色に染まってしまう恐れの方が確実なのかもしれません。 嗚呼!

  2. 米澤雅之 より:

    なんとも言葉がありません。自民党の代議士は岸田党首のいうことをきかないのでしょうか。

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