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【浜崎洋介】第2回・長野学習会のお知らせ—「意匠」を乗り越えるために

浜崎洋介(文芸批評家)

「意匠」を乗り越えるために

 

 みなさん、こんにちは浜崎洋介です。

 この度は、二月十九日に予定されている「第2回・長野学習会」(表現者クライテリオン・信州支部)についてお知らせしたく、メールマガジンを書きました。

 前回の第一回学習会(於・信州上田クラインガルテン眺望の郷 岩清水)では、「近代日本において、『保守』は可能か?—— 『ウヨク』でも『サヨク』でもなく、そして、『空気』でもなく」と題して、「保守思想の基本」についてお話し差し上げましたが、今回の第二回学習会(於・長野県長野市大字鶴賀問御所町1271-3 TOiGO WEST 3F)では、より深く、よりゆっくりと——といっても前回が浅かったわけではないのですが(笑)——、保守思想の手触りをお伝えするため、小林秀雄を題材にお話しようかと考えています。

 以前のメルマガ(【浜崎洋介よりお知らせ】—「危機の時代に小林秀雄を読む―日本近代150年目の批評)でも申し上げましたが、小林秀雄自身、決して最初から「保守思想」を掴んでいた批評家ではありません。

 では、そんな小林秀雄が、一体なぜ、どのような道を辿って「伝統」への確信に辿り着いたのか。そして、その「伝統」への確信は、小林秀雄をどこに導いていったのか。そんな話を軸に講義を構成していきたいと考えていますが、今回のメインテーマは、何と言っても、実際に小林秀雄のテクストを皆さんと一緒に読んでいくことだと考えています。

 学生時代を振り返って、今でも心から感謝しているのは、ある教師との出会いを通して、「読書会」の意味を教えてもらったことです。講義は、対象との出会いを用意してくれる「窓」の役割を果たしますが、やはり、その対象の手応えを実際に自分の身体に落としていくには、どうしても「読書会」での、〝あーでもない、こーでもない〟という議論が必要なのです。それによって、知識を宙に浮いた教養としてではなく、私たちの「生き方」に直結した言葉に練磨していくこと。それが講義とは一味違う「読書会」の醍醐味です——その意味で言えば、テクスト読解(読書会)抜きの学習会というのは、何と言うか、私にとっては「メインディッシュ抜きの前菜」みたいなもので全く味気がありません——

 その点、今回の学習会は、そんな私自身の経験を踏まえて、具体的に小林秀雄の「私の人生観」というテクスト(昭和二十四年)を取り上げ、その「人生観」を掴み取るに至るまでの小林の歩みと、その「人生観」それ自体の中身を、皆さんと共に味わっていきたいと考えています。それによって、小林秀雄の言葉が、より身近に感じられるようになればと願っています。

 しかし、狙いはもう一つあります。

 それは、日本人の「直観」のあり方を改めて自覚し直すことです。というのも、ほかならぬ、この「直観」を見失ったところから、近代日本人の迷走が始まっていくからです。

近代以降、「日本的なるもの」をクソもミソも一緒に捨て去ろうとした日本人は、それゆえに、自分自身の「直観力」を上手く働かせられなくなってしまったのでした。そして、その「直観」の穴を埋め合わせるようにして登場してきたのが、「文明開化」や「立身出世」や「富国強兵」などの西欧近代を寿ぐ言葉——「様々なる意匠」——だったのです。

しかし、「意匠」は「直観」されるものではなく、飽くまで「直観」の不在を埋め合わせている概念でしかありませんから、それによって、ますます日本人の「直観力」は脆弱になっていくことになります。

そして、そんな自己喪失気味な現実に蓋をするために日本人は、さらなる「意匠」を求めて、「マルクス主義」だの「東亜新秩序」だの「近代の超克」などという「意匠」に次々に飛びついていくことになります。

まさしく、薬物依存にも似た悪循環ですが、その結果は、もう皆さんご承知の通りです。先の大戦の大敗北と、それによる「一億玉砕」から「平和主義」への〝一八〇度の方向転換〟だったのです。

けれども、それは単なる過去の話ではありません。未だに日本人は、私たち自身の性格——その無意識や長所・短所——を把握する努力を怠って、暇さえあれば、「民主主義」だの、「グローバリズム」だの、「SDGs」だの、「人新世」だの、自分自身の「直観」を棚に上げた「意匠」ばかりを語っているではありませんか。

そして、その帰結が、「ウィルス」という「意匠」に囚われたオミクロン騒ぎであり(オミクロンの致死率は、隠れ陽性者を除いた数字でさえ、インフルエンザを遥かに下回っています)、その「意匠」に適応するためなら、いつでも簡単に己の生活(の一貫性)を放り投げてしまえるというニヒリズムであり、さらに、そんな己の空虚を紛らわすための画一的「空気」への頽落だったのです。

 では、果たして、小林秀雄の語る「人生観」において、このニヒリズムを乗り切る手掛かりを見出すことはできるのか。決して大袈裟なことは語ろうとは思いませんが、「意匠」が跋扈する東京を離れて——いや、最近は地方も同じかもしれませんが(笑)——、小林秀雄の言葉をヒントに、皆さんと一緒に、少しでも「落ち着いて考える」時間を持てればと願っています。ご興味のある方は、是非、ご参加ください。よろしくお願いいたします!

 

※小林秀雄の「私の人生観」は、以下の本の中に収録されています。ご参考までに。

『栗の樹』(講談社文芸文庫)

『人生について』(中公文庫)

『考えるヒント3』(文春文庫)

『小林秀雄全作品17』(新潮社)

 

↓↓第2回・長野学習会の詳細・お申込みはこちら↓↓

 

 

 

 


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