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【遠藤 誉】習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン

啓文社(編集用)

啓文社(編集用)

本日は『表現者クライテリオン』2023年1月号より、遠藤 誉先生の特集記事「習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン」をチラ見せ!
気になった方は是非、本誌を手にお取りください。

習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン

習近平は全能ではない。
日本人が喜ぶ日本人のための中国論は、国の針路を狂わせる。

遠藤 誉

 

新チャイナ・セブンの分業を予測する

 二〇二二年十月十六日、中国共産党第二〇回党大会が幕を開け、二十二日に中央委員会委員などを選んで閉幕した。その翌日の二十三日に一中全会(第一回中央委員会全体会議)が開催され、いよいよ待ちに待った新チャイナ・セブン(中共中央政治局常務委員。筆者命名)が選出されて、世界に向けてお披露目した。

 

 案の定、習近平が三期目に入ったのを確認できただけでなく、王滬寧(おうこねい)以外は全員が習近平と関係があるか、習近平の父・習仲勲とゆかりのある顔によって占められていることを目の当たりにした。

 世間には「習近平一強」という表現が満ち溢れているが、「一強」というよりも、「習仲勲色によって固められている」と見た方が正しい中国理解ができる。その証拠に早くも十月二十七日に習近平は新チャイナ・セブンを率いて、一九三〇年代に習仲勲が築いた「革命の聖地」延安を視察している。

 新チャイナ・セブンの名前と年齢、今後の職位(中国では分工=分業)の可能性および「習近平との関係」を党内序列順に列挙すると表のようになる。

 

 まず分業に関して、なぜこのように予測できるかをご説明しよう。

 

 李克強総理がそうであったように、一般に党内序列二位は国務院総理になるので李強(りきょう)が国務院総理になる可能性が高い。次にランクが上なのは全人代(全国人民代表大会)常務委員会の委員長で、これは党内序列三位か四位の者が担う。したがって三位の趙楽際(ちょうらくさい)が全人代の委員長で、政治協商会議の位置づけは全人代より下なので、党内序列四位の王滬寧が政治協商会議の主席になるだろうことが予測できる。

 問題は、党内序列五位と六位の蔡奇(さいき)と丁薛祥(ていせつしょう)の分業だ。ここは判断が難しいが、蔡奇という人は、習近平に近いというだけで、少なからぬ党員、特に北京の党員は、「蔡奇は無能だ」という印象を持っている。

党内序列七位の李希(りき)は中央紀律検査委員会書記と決まっているので、残るは「党務と(常務/第一)副総理」のポジションである。「副総理」となると、李強を補強できる人物でなければならないので、蔡奇は外した方が良い。消去法で行くと、蔡奇が党務で、丁薛祥が副総理となると考えていいかもしれない。いずれも、来年三月の全人代が閉幕する時の投票まで待たないと「確定」にはならないので、すべて「?」マークを付けておいた。

 

 「イエスマンばかりだ」という世論にも違和感がある。たとえば王滬寧などは習近平が国家副主席の時に習近平に対して「あなたは何も分かってない! でたらめを言うな!」と罵倒したことで有名で、王滬寧は一四億の中国人民の中でただひとり、臆せずに習近平を叱咤できる人物だ。

 

イエスマンは誰か

 次に習近平との近さで見るならば、李強は生まれも育ちも仕事もずっと浙江省という「浙江省男」で、習近平が習仲勲の教えに従ってひたすら身を隠すように福建省に十七年間もいたため、二〇〇二年に浙江省に人事異動した時には相当に戸惑った。このとき浙江省の隅々まで熟知している李強は、実に頼もしくありがたい存在だった。だから李強には信を置いている。

 

 趙楽際は、ずばり習仲勲と同じ陝西省の生まれ。陝西省訛りがきつくて、北京の人には聞き取りにくい。だからなかなか中央で活躍する機会がなかったのだが、習近平はその訛りが気に入って第一九回党大会の時から引き立てチャイナ・セブンにしている。

 

 習近平に対して唯一、上から目線で「そんなことをしてはダメだ!」と言える王滬寧は、江沢民政権時代から重視され、胡錦濤も彼の力を必要とした。その王滬寧を今回もまた引き続きチャイナ・セブンに残したというのは、希望が持てる。周りをイエスマンで揃えず、「歯止め」をかけてくれる人物を一人残したというのは重要な注目点だ。

 

 蔡奇は福建省時代も浙江省時代も習近平に仕え、北京冬季五輪に貢献した、まさに「ただのイエスマン」。

 

 六番目を飛んで党内序列の七番に目をやると、なんと李希は習仲勲が一九三二年に初めて起こしたクーデターの場所「両当県」に生まれたというだけで、チャイナ・セブン入りしている。

もちろん習近平が二〇〇七年三月に上海市書記になった時に、あわてて上海詣でをして習近平が文化革命の時に過ごした延安市の梁家河の住民のファンレターを持参して上海詣でをしたというゴマすり男で、これもイエスマン以外の何ものでもない。こんなのをチャイナ・セブンに入れる点は評価できない。というか、蔡奇を入れたこととともに、「呆れる」。

 

なぜ丁薛祥は選ばれたのか

 さて、問題は飛ばした六番の丁薛祥だ。

 

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