【藤井聡】「感染列島強靱化論」〜おわりに〜より【新刊発売】

啓文社(編集用)

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コメント : 1件

こんにちは、表現者クライテリオン編集長、京都大学の藤井聡です。

突然ですが、本日、「感染列島強靱化論」を出版いたしました。
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本書がどういう背景で書かれたものなのか-──本書をご紹介する主旨で、共著者の医学博士かつ都市環境工学者の高野裕久教授と連名でまとめた「おわりに」を以下に抜粋し、ご紹介さし上げます。

是非、下記ご覧の上、本書「感染列島強靱化論」をご一読願えますと幸いです。

どうぞ、よろしく御願いします。

「感染列島強靱化論」~おわりに~より
 ダイアモンド・プリンセス号で新形コロナウイルスの感染拡大が世界的ニュースになっていたのが、今から九ヶ月前の令和二年の二月。

あの頃、欧米をはじめとした世界各国は言うに及ばず、我が国日本の大半の国民もそれを「対岸の火事」として捉えていた。

ところが、その直後に感染は世界中に拡大。グローバル化が進んだ今の世界はさながら一つの船「宇宙船・地球号」として、ダイアモンド・プリンセス号と同じく感染が蔓延する事態に陥った。

 世界各国はその感染拡大に狼狽え、激しいロックダウンをはじめとする様々な対策を打ち出していった。ただし北半球が春、夏を迎え、気温が徐々に上昇していくに従って、多くの国々では、一旦、感染が終息していくことになった。

 ───筆者らが本書「感染列島強靱化論」の執筆を始めたのがまさにその頃だった。

 感染が一旦収束したこの間に、なすべき対策を、総合的、かつ、大局的な視点から腰を据えてまとめるべきではないか、というのが、筆者らの思いであった。おそらくは北半球の秋から冬にかけて、再度感染が拡大する事が予期される。その前に、再度の感染拡大に狼狽え、不条理な対策を繰り返すことの無いように、より包括的で適切で合理的な感染症対策を世に問う必要があると考えたのであった。

 言うまでも無く、感染症対策にはもちろん、医学や感染症学の専門的知識が必要不可欠である。

 しかし、それだけでは残念ながら不十分であることが今、日本を含めた世界中の人々が気付き始めている。

 感染症学や医学の知識だけでは、激しい自粛やロックダウンが主張され、それによる「副作用」が無視されがちになるからだ。その結果、私達の社会は、感染症の拡大そのものよりもより激しい被害を受ける事になる。

 あらゆる医学的治療は、当該の治療による効果に加えて、その治療による副作用も見据え、トータルとして患者の健康改善を目指さなければならない。同じ事が、感染症対策においても当然求められる。にも関わらず医学「だけ」に依拠していては、副作用が十分に顧みられず返って社会はより深刻な被害を受けかねないのである。

 しかも、今日本においてとりわけ真剣に憂慮されている自然災害と感染症拡大の複合災害リスクについては、医学や感染症学に依拠し続けているだけでは考慮される筈も無く、無為無策のままに放置されることもなる。

こうした認識の下、本書では、医学の専門知をベースとしながら、社会のあり方全体を総合的に見据えながら感染症による社会的な被害を最小化することを目指し(個体免疫、集団免疫を越えた包括的なものとして)、「社会免疫」「公衆免疫」という新たな概念を踏まえつつ、それを強靱化するための各種の具体策を、包括的に論ずる事を目指した。

そして、新たな学術的概念として、既存の感染症学の議論と社会工学的な議論を接続することで「社会的な基本再生産数」という概念を新たに提唱し、議論を展開するという形を採用した。

こうした議論を展開するにあたり、医師・医学者でありながら都市、地域の衛生を都市環境工学教授の立場から研究してきた高野裕久が主として、各個人の免疫(第三章)と医療システム(第四章)の強靱化の議論をそれぞれ展開した。

そしてそれらに接続する議論として、都市社会工学教授として防災政策、国土強靱化政策、マクロ経済政策、都市・地域・国土政策に携わってきた藤井聡が主として、社会政策としての感染症対策の強靱化(第五章、第六章)、国土システム(第七章)、そして、財政政策(第八章)の強靱化の議論を展開した。

筆者らは、京都大学の工学部の中で、国土や地域や都市のあり方を考える「地球工学系」と呼ばれる同じ研究グループの同僚だが、そのグループの中に、医師・医学者の高野が属していたのは決して偶然ではない。

京都大学の地球工学系では、国土づくり都市づくりにおいて、藤井が属する「土木」ないしは「土木計画」の視点だけでなく、「衛生」の視点が必要不可欠であり、かつ、その衛生工学の議論においては医学的視点が必要不可欠であるという当然の理由から、伝統的に医師・医学者を環境衛生学教授として赴任いただく体制を採用してきたのである。

今回、本書「感染列島強靱化論」をこうして出版することができたのも、本学で、国土や都市を巡る学問を多様な分野を融合する形で形成してきた事の一つの帰結であると言うこともできよう。ついては、こうした総合的融合的な学問体系を築き上げてきた京都大学の土木工学ならびに衛生工学の先達達に心からの敬意を表したい。

また、本書執筆にあたっては、藤井がユニット長を務める京都大学レジリエンス実践ユニットの准教授でウイルス学が専門の宮沢孝幸氏、ならびに、同じく京都大学の名誉教授かつ特別教授である医師・医学者の本庶佑氏との議論、現場で臨床に携わる高野の先輩、後輩医師からの意見も大いに参考にさせていただいた。また、出版にあたっては、晶文社の安藤聡氏に大変にご尽力いただいた。

ここに記して、深謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。
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藤井聡・高野裕久

追申:「藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~」を、本メルマガと同じメルマガサイト『まぐまぐ!』にて今週より配信することとなりました(foomiiでの配信内容と同内容を配信予定です)。この機会に是非、下記よりご登録下さい。
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コメント

  1. 大和魂 より:

    これで直面したコロナ禍が、オバマ・ケアとかTPPの本丸に相当する金融とか医療保険等を収奪する目的と連動していることがハッキリと露呈されましたね!!

    さらに連動して国際社会のワクチン開発も、当たり前に認識できますね!!

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