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【藤井聡】増税すれば日本経済は「パキスタン級」になる ~今こそ「消費増税凍結」論を~

藤井 聡

藤井 聡 (表現者クライテリオン編集長・京都大学大学院教授)

先日、とある雑誌のインタビュー取材で
100年後の日本の未来を考えてもらいたい、
との依頼がありました。

100年後を考えてもいいんですが、
それ以前に、50年くらい先くらいには、
「日本はもう、パキスタン級の
貧国になってるだろうなぁ―――」
と考えていましたので、
50年後でもいいですかと申し上げたうえで、
インタビューにお答えしました。

もちろん、自分の将来を語るとき、
「自分の努力」を無視して無責任に
未来を語るのは不道徳の極み。

ですから、自国の未来を語るときにも、
「自分の努力」を無視して無責任に
ああだこうだ好き勝手に
自国の未来を語るのは不道徳。

ですがインタビューということもあり、
今回はその点、ご容赦いただければということで、
自身の努力の程がどうなのかを一旦さて置き、
「日本を赤の他人の国と見做すなら」との前置きの上、
お話ししました。

まず、「増税すべき」「改革すべき」等の
愚かな風潮がこれだけ強固に
政界・官界・学界・世論に普及した日本では、
今のデフレが終わることはありません。

結果、日本「だけ」成長率が上昇しなくなります。

ですが、世界各国は順調に成長を続けます。

ここで、日本はこれまでと同様、徐々に衰退し、
世界各国が、これまでと同様に成長していくと
考えたとしましょう。

そして、過去20年間の各国の「成長率」が
今後も当面維持されると考えれば、
日本経済の世界経済に占めるシェアは
50年後には、約0.4%にまで激減します。

これは、今のフィリピン、マレーシア以下、
かろうじてパキスタン以上の経済力だ、
と言うことになります。

「そんな馬鹿な!」と思われるかも知れませんが、
これは厳然たる事実

そもそも、過去20年間で日本経済は80%程度にまで縮小。
一方で世界は238%まで拡大。

そのせいで過去20年の間に、
日本の経済力のシェアは約18%から
6%以下にまで、実に「三分の一」になったわけです。

もしこれからもこの「勢い」が続けば
50年後に日本のシェアが
 「約6.5%」(=約「三分の一」の2.5乗)
にまで激減する、と言う計算になります。

日本の現状のシェアが5.9%ですから、
世界シェアは、なんと0.4%にまで激減するのです!

ちなみに、その頃の日本のGDPは、
名目値で319兆円
今のおおよそ6割くらいの水準です。

つまり、皆さんの給料が、50年後には
今からおおよそ4割くらい安くなります。

それは例えば、500万稼いでいる人は、
300万円くらいの稼ぎになっている、
という見込みです。

この水準だけ見てると、
十分にあり得る「現実的」な話ですよね。

ただ問題は、世界はその頃になると
もっともっと成長しているので、
シェアは激減している、と言う次第。

で、そのシェアは
フィリピン、マレーシアやパキスタン程度だ
と言うわけです。

いやぁ、理数系の計算、っていうのは、
先入観や願望なく結論を出せるので、
実にすがすがしく、気持ちいいものですね(笑)。

いずれにせよ、増税推進派の経済学者の皆さんは、
少しはまじめに、こういう算数を考えてみたことは
おありなのでしょうか―――?

以上の計算は、何も難しい計算ではありません。

ただ単に、
「これまでの趨勢が50年続けばどうなるか?」
を考えただけの話なのです。

ただし・・・経済の「趨勢」は、
政策によっていくらでも変えられます。

例えば、消費税を凍結したり減税すれば、
日本はいくらでも成長できるのです!

そして、将来、フィリピンやパキスタンのような
貧国にならず、
今のままの「先進国」であり続けることが
可能なのです!

ここに、筆者が今、
「消費増税凍結の言論戦」を闘わんと決意した
根本的な理由があります。

ついては、筆者の主張に少しでもご関心の方は是非、拙著

『消費増税10%が日本経済を破壊する』
http://ur0.biz/MCc2

をお読み頂きたいと思います。
同時に、別冊クライテリオンである

『消費増税を凍結せよ』
https://the-criterion.jp/backnumber/s01_201812/

にも是非、お目通し頂きたいと思います。

そして、これらの書籍、雑誌を、
周りの方にご紹介いただけると、
なお、ありがたく思います。

未来は未だ、変えられます。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

追伸:
大阪万博が決定しました。
この決定は良い方向にも悪い方向にも繋がり得るもの。
この問題を考えるためにも是非
『大阪で考える保守思想――日本の再生は大阪から始まる』
https://the-criterion.jp/osaka_symposium_2018/
ご参加ください。

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