『表現者criterion』メールマガジン

【藤井聡】『平成デフレーション』 ~新しい御代をお迎えするには、日本人の「決意」が必要です~

From 藤井 聡(表現者クライテリオン編集長・京都大学教授) 

こんにちは、
表現者クライテリオン編集長、
京都大学の藤井聡です。

来週になりますが、
いよいよクライテリオンの最新号が発刊されます。

最新号の特集タイトルは、

『平成デフレーション』~今終わる、昨日までの閉塞時代~
http://urx.red/PZUQ

よくよく考えますと、
今年の5月にいよいよ終わりを迎えます
平成時代の30年間は、
ほとんど何一つ良い事が無かった――

と思えるくらいに、誠に「暗い時代」でした。

そしてそんな暗い時代を象徴するのが、
「デフレーション」という現象。

大正時代を象徴する言葉は「大正デモクラシー」ですが、
平成時代を象徴する言葉は「平成デフレーション」
と言えそうです。

「デフレーション」という言葉は(一般には)、
「物価の下落」を中心として経済状況が悪化していく現象
を差しますが、広く捉えれば、
あらゆる「閉塞」「停滞」を意味するものです。

そもそも、デフレという現象は、
「物価=モノの価値」が下落していく代わりに
「カネの価値」が上昇していく現象なのです。

(※ デフレになればなるほど、皆、
おカネが大好きになっていくのです!)

だから広く捉えれば、デフレになれば
「実態・実物」の価値が下落していく一方、
「カネ」という、本来ならどうでも良い「虚構」の価値が、
どんどん上がっていく
のです。

言い換えるならデフレとは、
真実が軽んじられ、
フェイクが重んじられていく、
という最悪の現象
なのです。

(※ 今の「フェイク全盛のポスト・トゥルース時代」
は、デフレの必然的な帰結だったわけですね)

―――じゃぁ、そんなデフレは
どうやって始まったのかというと―――
その萌芽は、あのバブル全盛だった
平成元年に見られるのです。

経済学の視点から言って、
日本をデフレに叩き落したのは、
「消費税」
であることは明白ですが、
その消費税が導入されたのが、
平成元年だったのです。

ただ、その頃はバブル景気があったので、
消費税によってスグに
デフレになることはなかったのですが、
平成2年にはそのバブルも崩壊

そしてそこから、失われた20年、30年
と言われた時代が始まるわけです。

それでもまだ平成一桁時代は、
かろうじて昭和時代の「明るさ」が
幾分残存していたのですが、
平成9年の消費増税(3→5%)が、
日本経済に「とどめ」を差します。

この増税の結果、平成10年に、
日本はいよいよ「本格的なデフレーション」に突入し、
以後20年以上にわたって、未だ、継続しています。

そして、その後の日本はまさに、
「貧すれば鈍する」
(貧しくなると頭の働きが鈍くなる、の意)
の状態に・・・。

つまり、デフレで日本が「貧しく」なったせいで、
その後の政治判断が何もかも、
おかしなもの、お馬鹿なものになっていったのです。

その典型が、平成13年~18年の「小泉改革」

平成10年まで、
日本を成長させてきた、
日本の様々な経済や産業、社会の「仕組み」を、
小泉・竹中両氏は、
まるで気でも触れたかのように
「聖域」なく、一つ一つ叩き潰していったのです。

その結果、あらゆる業界・領域で、
「過当競争」が生じ、
価格が下がり、賃金が下がり、
中小企業の倒産が相次ぐ一方、
大企業が、そのシェアを伸ばしていきました。

こうして、貧困と格差が広がっていったのですが、
そうなればなるほど、

「いつまでも、疲弊が終わらないのは、
改革が足らないからだ!」

とばかりに、さらに激しい改革を断行し、
それがさらなるデフレ不況を導く―――
という悪循環が加速していったのです。

そんな悪循環の一つが、
「輸出」依存度の上昇。

日本経済がダメだからということで、
日本は急速に、平成10年代、
輸出依存を強めていきました。

しかしそんな矢先に、
リーマンショック平成20年に勃発。

その結果、輸出依存で成長を続けた日本は、
世界各国の中でもとりわけ酷い被害を受け、
さらに酷いデフレ不況に陥ります。

しかも、平成23年には、
東日本大震災が起こり、
これがさらにデフレは深刻化させます。

こうして経済が低迷すると、
政府への税収は、さらに減っていきます。

そんな「税収の縮小」に焦った政府は、
平成27年に「消費増税」を断行してしまいます。

そしてコレが今まさに私達の経済をさらに疲弊させ、
賃金や消費のさらなる下落を導き、
税収基盤を毀損し始めています。

要するに「不況だ!」「税収が減って財政悪化だ!」、
狼狽えた政府は、平成の三十年間、
やっては行けない「改革」と「増税」(緊縮)を
やり続け、さらに状況を悪化させていったのです。

つまり愚かにも政府は、

不況対策だといって「改革」を断行し、
かえって不況が悪化させ、

税収の減少対策だといって「増税」を断行し、
かえって不況が悪化し税収を減らす、

というまさに「貧すれば鈍する」を地で行く
情けなき振る舞いを続けたのです。

これだけの愚挙を三十年も続ければ、
巨大な繁栄を誇った
「世界の経済大国ニッポン」
を維持していくことなど、無理。

結果、我が国は、この平成30年の間に、
先進国から「衰退途上国」へと
完全に没落してしまったのです。

そして早晩、極東の中等国
さらには、アジアの一貧国にまで落ちぶれかねない、
という状況に、今、到っているのです―――。

・・・・

ついては、
こんなオウンゴールの自滅を続けた愚かな状況を、
平成の30年間に閉じ込め、
心機一転、新しい御代をお迎えできないだろうか―――
という願いを込めて編纂したのが、今回の最新号、です。

日本人は毎年毎年、
年の初めには身を正してお正月をお迎えし、
良き一年を祈念します。

だから「新しい御代」をお迎えする時には、
毎年のお正月以上の「身を正す」決意が必要でしょう。

私たち日本人は、
そんな心持で、この平成の御代を振り返り、
次の新しい御代をお迎えせねばなりません。

こんな悪夢の平成デフレーションから
次の御代にて本当に脱却できますこと、
心から祈念したいと思います。

そのためにも是非、クライテリオンの最新号、
『平成デフレーション』~今終わる、昨日までの閉塞時代~
を、じっくりとご一読ください。

追伸1
最新号の巻頭は、小林よしのり先生との対談。小林先生と、様々な角度からじっくり平成30年を振り返りました。是非、ご一読ください。
http://urx.red/PZUQ
(定期購読は、こちらからhttps://the-criterion.jp/subscription/ )

追伸2
オフィシャルラジオ「週刊クライテリオン 藤井聡のあるがままラジオ」は是非、下記よりチャンネル登録&ご聴取ください!
https://www.youtube.com/channel/UC9GNcWzLq0k7io20AHjN4qQ
(※最新の動画『日本でも黄色いベスト運動が必要だ』は、コチラです。
https://www.youtube.com/watch?v=aQRBifNpKJo )

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コメント

  1. はっちゃん より:

    今回のメールマガジンを見て私、だいぶ昔、たぶん子供の頃に習った逸話をうっすら思い出しました。「民のかまどに煙が立っていない」と昔の天皇が嘆いたというものです。国語で習ったか「大阪市の歌」を習った時に聞いたか(歌詞に近い文句があります)。ネットで検索してみると思った通り、新古今和歌集にある仁徳天皇の和歌にまつわる逸話が紹介されています。
    仁徳天皇は難波高津宮から遠くをご覧になられて「民のかまどに煙が立っていないのは貧しくて炊くものがないためではないか」と仰せられ「向こう3年、税を免ず」という詔を出されました。3年がたち、かまどの煙がたくさん立っているのをご覧になったとき、自分の宮垣が崩れ屋根が破れたりしているにもかかわらず「朕はすでに富んだ」と喜ばれたとのことです。周囲の人の「なぜ?」という質問にこう仰ったというのです。「良く聞けよ。政は民を本としなければならない。その民が富んでいるのだから朕も富んでいることになるのだ。」と。
    こういった考えは、頭が良いからわかるというものではないのかもしれません。力があるからわかるというものでもないのかもしれません。精神の問題だと思います。
    複雑な問題に対する最適解を出す頭の良さや、困難な事を成す根性、たくさんの人を動かしたりするような力は大切なことだとは思います。例えば私などそんなもの持ち合わせてはいません。しかし言いたい、何が一番大切かと言えば、この仁徳天皇のような精神ではないのかと私は思います。国家を背負って立つ人は、上司や先輩に従ったり、出世することも大切なのかもしれませんが、それより先にこの仁徳天皇の仰るような精神が大切なのではないのかと、私は思います。
    現在政は政府が行っています。
    聞けば財務省というところは政府の中でも一際力を持っているそうですね。
    政で一番力を持つのなら、民を本とする考えを一番持ってもらってなければ、国民が困るのは当然ではないかと思います。
    ところで、私は純真な(無邪気な)心を持つ人が好きです。本来誰でも心の中ではそうではないのでしょうか?大切だと思います。こんな事を言うと不敬になるのかどうかは知りませんが、素朴に「仁徳天皇の心も純真なものだったのだな」と思います。

  2. SunBurst より:

    >大正時代を象徴する言葉は「大正デモクラシー」ですが、
    >平成時代を象徴する言葉は「平成デフレーション」

    全部、de…
    democracyは良いとしても、
    次の御代は、接頭辞が「de」じゃないものになるようにしたいですね。
    deから始まる英単語は大半暗いものばかりで嫌になる。
    descend(下降)とかdefeat(敗北)とかdefault(不履行)とか…

    藤井先生、並びにクライテリオンの編集者の皆様、コメント欄を併設していただきありがとうございます。
    いつも、書きたいと思っていてもTwitterで呟く程度だったので嬉しいです。
    クライテリオンは改題してから全部買っています。応援しています。

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