こんにちは、
表現者クライテリオン編集長で、
京都大学教授の藤井聡です。
今日本では、今週の大阪でのG20開催ともあいまって
「外交」が大きな話題を集めていますが、
そんな中、表現者クライテリオンでは、
「日本外交の大転換」
特集テーマとした最新刊を発行しました!
https://the-criterion.jp/backnumber/85_201907/
https://www.amazon.co.jp/dp/B07RVHG9B1/
これまでクライテリオンでは、
ナショナリズム、ポピュリズム、ネオリベ、経済、防災・・・
等様々なテーマを取り扱ってきましたが、
「外交」で特集を組むのが、今回が初めて、となります。
折しも、前回号で出版した「令和への建白書」で示した、
令和八策の一つの柱が、
「勢力均衡」外交の探求。
この勢力均衡とは、それぞれの国との外交において、
ただ単に「仲良くしましょう」というだけではなく、
必要に応じて「ぶつかり合い」を演じながら、
それぞれの国と緊張感のある外交を、
展開すべきだ、というもの。
日本はとかくタテマエとしての「平和」ばかりを
前面に押し出し、「ぶつかり合い」をとかく
忌避しようとする傾向が強い国。
その中心にはもちろん、
憲法9条(そして、日米安保問題)がありますが、
それだけが問題のすべてではありません。
この憲法状況下でも、
なすべき「ぶつかり合い」はある筈で、
どうやら日本はそこから、
逃げてばかりいるやに思われます。
そしてその傾向はここ数年、
特に顕著になったのではないか―――
「合って首脳会談してもらうため」
「日本に来てもらうため」
・・・たかだかその程度の目的のために、
言うべきことも言わず、
ただただ相手のご機嫌を伺う外交が
展開されている―――
そんな危機感が、
今回のクライテリオンの特集の背景にあります。
ついてはこの特集冒頭の座談会ではまず、
今、国家間の対立の最前線は、
軍事的戦争というよりもむしろ、
「情報戦争」にあるという点に着目しました。
キーワードは、パブリック・ディプロマシー。
直訳すれば、「公衆外交」となりますが、
これは要するに、
「外国の世論を味方につけようとする情報戦争」
です。
この情報戦争を今、最も激しく戦っているのは、米中、
その主戦場はアメリカです。
中国は今、アメリカの世論を味方につけようと、
激しい情報戦争をアメリカに仕掛けています。
アメリカの映画・テレビに中国を利する情報を挿入する、
アメリカの新聞に中国を利するニュースを載せる、
アメリカの研究機関に中国を利する研究をさせる、
等は当たり前。
今やもう中国は、膨大な資金力を使って
アメリカ国内に、CNNの様なテレビ局を作り、
アメリカ人の人気キャスターを引き抜いて、
全てアメリカ人が出演するニュース番組を作り、
ひたすら中国を利するニュースを流し続ける、
という工作まで仕掛けているとのこと。
こうした工作を主導しているのは、
中国共産党の一組織、
統一戦線工作部。
こうした状況に気付いたアメリカは今、
中国からの激しい「情報攻撃」に対抗するため、
様々な取り組みが始められているとのこと。
こうした話を、
外交・軍事がご専門の小原先生と、
パブリック・ディプロマシ-がご専門で、
外務省での勤務経験もお持ちの
(現・京大レジリエンス実践ユニットの特任助教でもある)
桒原先生のご両名に登壇いただき、
徹底的に論じていただきました。
その中で明らかになったのが、
我が国日本では、パブリック・ディプロマシーと言えば、
「クールジャパン」の様な、
生ぬるいイメージ戦略ばかりで、
政府の中にも、そうした情報「戦争」という認識が
全く欠落している、という実態―――。
「情けない」としか言いようがありませんが、
日本外交のふがいなさは、遠藤誉先生の
「敗北を招いた日本の対中平成外交
――中国の地政学的な長期戦略を見抜け」
を読めばさらにはっきりと
お分かり頂けると――思います。
ここまで中国を強大な国に仕立て上げた「戦犯」
は日本の情けない、媚びへつらい外交だった、
という実態が、良く見えてきます。
ロバート・D・エルドリッヂさんの
日米関係における今日の「沖縄問題」――
普天間基地の辺野古移設をめぐって
からは、日本政府の沖縄対応が、
どれだけ戦略性の無い、
いい加減なものであったかが、
嫌になるくらい、見えてきます。
そんなことを考えながら、
佐藤健志さんの
哀しいよな、日の丸ってやつは
を読んでいますと、
日本外交の「しょぼさ」が、
もう凄い勢いで、分かってしまいます(苦笑)。
誠に情けなき事しきり、でありますが、
ここから抜け出す「大転換」を図るには、
「鏡」をしっかり見据えて、
その情けなさを過不足なく認識するところから
始めねばなりません。
これからG20で繰り広げられる
様々な「政治ショー」を、
冷静な視線で、しっかりと読み解くためにも、
是非、表現者クライテリオン最銀号
『日本外交の大転換』
https://the-criterion.jp/backnumber/85_201907/
をご一読ください!
追伸1:
最新号の文学座談会は、「村上春樹」がテーマ。好き嫌いはさておき、筆者が一番深く読者として付き合ってきた小説家についての文学座談は、当方にとっても特別なもの、でもありました。そちらも是非、ご一読ください!
https://www.amazon.co.jp/dp/B07RVHG9B1/
追伸2:
当方の新著「令和日本・再生計画」では、アベノミクスだけでなく、「安倍外交」もまた徹底「検証」しています。是非、ご一読ください!
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コメント
いつもながら藤井先生の至誠なる、お振る舞いには感銘を受け、感謝いたしております。ありがとうございます。ところで此までの外交の殆どの責任は、当然その政権与党の大半を占めてきた自民党に、あるわけで先日の三原じゅん子の蛮勇演説には、怒りながらも呆れて言葉すらありませんでした。最後に週末のシンポジウムのテーマもよくよく考えてみましたが、実は深刻で重く捉えております。
これも「令和のピボット」かな♪
トランプ米大統領が、「日米安保破棄」を語っていたそうですね。願ってもない話じゃないですか。
地位協定も横田空域も当然廃止。
竹島と北方領土に出兵、奪還。
さすれば樺太・千島も、熟柿が落ちるように日本領に帰することでしょう。ロシア自身がお手本を見せてくれたじゃないですか。適切な時期を見て、(北樺太も含め)クリミアのようにすればいいんです。(露サハリン州が丸ごと消えるなぁ~)
…その時は、宗谷海峡トンネル(稚泊隧道)を掘って、豊原と敷香まで、樺太新幹線を通すんだな。北海道側は、稚内と旭川を経由して札幌に繋げると。
台湾に救援軍を派遣、中共に怯える元同胞を助けます。
香港沖合にイージス艦部隊を派遣、英国東洋艦隊に代り、市民を激励。
南シナ海の我が国領である新南群島(現在、西沙・南沙諸島と呼ばれている)に上陸、中共軍を駆逐し、周辺海域を安堵。
パラオ、カロリン、マーシャル諸島に軍事顧問団を派遣、旧同胞に安心感を提供。
東南アジア、インド、印度洋島嶼部や沿岸国(スリランカ、モルディブ、セーシェル、ジブチ、ソマリア、マダガスカルなど)にも軍事顧問団および艦隊を派遣、シーレーンを完全確保の上、米第七艦隊と共にインド太平洋を安堵。
そして最も喫緊なのは、北朝鮮に特殊部隊を派遣して拉致被害者を全員奪還。
素晴しい!夢が広がるなぁー。うーん、トランプ、いい奴ですね。