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【鳥兜】スガノミクスが地方を滅ぼす

啓文社(編集用)

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コメント : 3件

スガノミクス,コロナ,経済

今回は、『表現者クライテリオン』で毎号掲載しているコラム【鳥兜】を公開します。

2021年5月号の1つ目のタイトルは「スガノミクスが地方を滅ぼす」

全文公開しましたので、ぜひ最後まで読んでみてください。

『表現者クライテリオン』では、毎号の特集のほかに、様々な連載も掲載しています。

表現者クライテリオン,コロナ

興味がありましたら、ぜひ本誌を手に取ってみてください。

以下内容です。

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菅首相の持論は、中小企業の再編であるらしい。昨年九月に、梶山経産大臣は次のように述べている。
「中小企業の再編など、中小企業の生産性を向上させ、足腰を強くする仕組みを検討することなどについて(総理から)ご指示がありました。」(閣議後の記者会見、九月十八日)
 

淘汰される企業がでてくるかもしれない

「再編」というと聞こえはいいが、実際には数を減らすということである。つまり、不採算企業を「淘汰」しようということだ

 日本の経済低迷は、中小企業に原因があるというのがエコノミストの共通見解となって久しい。日本は他の先進国に比べて中小企業の雇用比率が高く、(大企業と比較した場合の)生産性が低い。だから中小企業の合併を進め、規模を大きくして経営を効率化しなければならない。
政策に影響力を持つ経済学者から、菅首相のブレーンとも言われるデービッド・アトキンソン氏まで、似たような主張が何度も繰り返されている。

 大企業と中小企業の生産性に大きな差があるという指摘は今に始まったものではない。日本経済の「二重構造」は言葉として一九五〇年代から、現象としては戦前から続いてきた問題である。
どの国も、近代化に伴って農業や非農業の自営業者の数は減少していくが、日本はその減少スピードが遅い。近代産業と、前近代的な在地産業が併存したまま発展していく。一昔前のマルクス経済学者はこれを「封建遺制」と呼び、市民社会の実現を阻む元凶だと見なしていた。今のエコノミストは、その主張を芸もなく繰り返しているに過ぎない。

冷たく押し付ける菅政権

 中小企業の淘汰を目論む人々にとって、コロナ禍は絶好の機会となった。
倒産・廃業の危機に直面する企業は、国の補助金や金融機関の臨時融資によってなんとか資金繰りを工面しているが、いずれ限界が来る。経営に行き詰まった企業は清算されるか、資金力のある企業(もちろん外資を含む)に買収されることになる。実際、専門家の間では、M&Aの件数が今年から大幅に増加すると見込まれている。

 追い打ちをかけるように、菅首相は「脱炭素」と「最低賃金引き上げ」を宣言した。どちらもお題目としては立派だが、資金面で余裕のない町工場に、温暖化ガスの削減目標を強要すれば何が起きるのか。売り上げが伸びない中で、人件費を引き上げたら何が起きるのか。少し考えてみれば分かることである

 もちろん、賃上げは必要であり、最低賃金の引き上げも選択肢の一つとして検討されるべきであろう。だが、そのためには総需要を拡大して企業部門の売り上げを伸ばさなければならない。
カーボンニュートラルを実現したいのなら、地方経済を今なお支えている旧産業の技術転換、特に重厚長大産業部門で温暖化ガス排出量の少ない新技術が採用されるよう、政府が積極的な支援を行わなければならない。ところが菅政権に、そのような姿勢はまったく見られない。新時代のルールとして上から冷たく押しつけるのみだ

 中小企業は日本の雇用の七割を支えている。この部分を整理・統合すれば、大企業の非正規雇用が増えるだけだ。また、中小企業が特に地方に多いことを考えるなら、中小企業の「再編」は地方経済のさらなる地盤沈下と、大都市への人口移動を促すことになるだろう。
人口の大部分が大都市に集中し、雇用の多くが不安定な非正規になる。それが日本の達成すべき「近代化」なのだとしたら、まったくの願い下げというものである。

(『表現者クライテリオン』2021年5月号より)

 


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コメント

  1. 通りすがり より:

    画像は、焼却炉
    下からガスバーナー
    横は煙突じゃなくて、空気取り入れ。

    もしかして~、もしかして~。

  2. 通りすがり より:

    あの画像は、なんぞや?
    町工場だから、圧延、両側は、ロール
    床の下は、溶鉱炉みたいな。
    上下を逆さにして、照明と柱か?

    下に下っているから、
    1円硬貨のアカオアルミ
    ざっと見たがない。
    アルミとジャズダンス、うふふ。

    googleレンズで検索なら、
    イスタンブル地下宮殿
    似ているが、床が違う。

    フェイク画像?

  3. 大和魂 より:

    つくづく考えさせられるのが米国社会を牛耳る闇の支配層の行動様式であり、彼らの目的が他者から収奪した既得権益を死守するためのツールに過ぎない国務省や国防総省やCIAやFBIや、さまざまなシンクタンクや研究所さらにメディアなどと結託したのが、記憶に新しい昨年の不正極まりない米国大統領選挙だったわけです。

    しかもドナルド・トランプは最後の最後で、米国内に戒厳令を発動できる状態にあったわけですから、伊藤貫先生の思想と真逆に位置する虎八の藤井厳喜なんかの正体もハッキリと証明されたわけです。

    つまりこれがいわゆる日本国内で蔓延る欺瞞のバチルスであり、政府を含めたメディア関係者や維新の会関係者などの政官財の腐敗構造の正体ですから、我々大人が将来世代の子供たちの未来を閉ざぬように、是が非でも抗うべきなのです。

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