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【鳥兜】「コロナからの国家再生」の道を構想せよ

啓文社(編集用)

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コロナ,デフレ,国家再生

今回は、『表現者クライテリオン』のバックナンバーから、毎号掲載しているコラム【鳥兜】を公開します。

公開するのは、タイトル:「「コロナからの国家再生」の道を構想せよ」

全文公開しましたので、ぜひ最後まで読んでみてください。

表現者クライテリオン』では、毎号、様々な連載を掲載しています。

現在発売中の最新号(2021年5月号)でも、コロナをテーマにしています。

ご興味ありましたら、ぜひ最新号とあわせて、本誌を手に取ってみてください。

以下内容です。

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「コロナ」に国民の意識が奪われている間に、日本国家は再生の糸口を完全に見失い始めたやに見える。

日本再生の糸口が見えていたはずだった

 コロナ騒動前、例えば、昨年末時点では日本再生に向けての道筋は明確であり、一部ではあるが一定のコンセンサスすら得られていた。

それは、第一に消費税を五%に減税すると同時に大規模財政政策を行いデフレを脱却させる、第二にデフレ脱却によって余裕が出た国民の意識を国家公共と未来に向けさせる、第三にその国民意識に適切に働きかけて日本再生のビジョンを具体的に構想し、それを一つ一つ実現させていく──というものだった。

いわば、デフレであれば、国民の意識は「いま、ここ」での生き残りに過度に集中し、公共的問題や未来の問題を考える国民的機運が消滅していかざるを得ないものの、デフレ脱却さえ叶えば、国民が国家的未来を構想する糸口がもたらされ、それを突破口として日本再生を図るという道筋がハッキリと存在していたわけだ。

 ところが、新型コロナのパンデミックが始まって以来、人々の意識はますます「いま、ここ」の問題に集中するようになってしまった。
そして実に多くの国民が今、「兎に角コロナが全く消えて無くなるまで、徹底的な行動抑制も辞さないという事でいいじゃないか」という態度に陥り、国家再生のプロジェクトを一旦全て留保してしまったのである。

 もちろん、こうした態度に反発を差し向ける国民も出てきてはいる。彼らの多くは「コロナでいつまでも自粛ばかりはしていられない、自粛を解除して経済を回さねばならない!」と主張している。

 こうして前者の「コロナ自粛派」と後者の「コロナ緩和派」とが対立する、という構図ができあがりつつあるのが現下の我が国の状況のようだ。

例えば、専門家会議の専門家や多くのメディア関係者や言論人達が「コロナ自粛派」として活動し、GoToトラベルに象徴される「経済を回すのだ」論者の代表格が安倍内閣や「維新」の吉村大阪府知事だということになっているようである。

虚しい両者の論争

 しかし、この両陣営の論争は実に空しいものだ。

 前者は「努力すればコロナは全て消えて無くなる」ということを暗黙の前提にしているようだが、それは俄には無理だ。その意味で彼らの主張に従う限り、最悪、国家再生プロジェクトをいつまでたっても始められなくなってしまう。

一方で後者は、自粛を解除さえすれば全ての問題が解決するかのような錯覚に陥っているようだが、彼らはコロナ以前から日本がもはや先進国とは言い得ぬ衰退途上国に陥っていた事を看過している。

つまり彼らの弁に従っていてもコロナ前のボロボロの国家状況に戻るのが関の山なのだ。

 したがってこの両陣営の論争にかまけているようでは、我が国の再生はいつまでたっても不可能なままなのだ。だから我々は今、コロナ自粛派と緩和派の闘争ではなく、両者の利点をいずれも含んだ「第三の道」を選ばねばならないのである。

 すなわち、「必要性の高い自粛のみを選択的に行いつつ、必要性の低い自粛を緩和し、それでも絶対的に不足する需要を政府支出で拡充してデフレ脱却を図る」という「半自粛&徹底的な財政政策」による「デフレ脱却路線」が今、求められているのである。

 しかし残念ながら未だ、この第三の道を主張する「政治勢力」はほとんどいないのが現状だ。

 とはいえそれが、与野党それぞれにおいて「皆無」という訳でもない。だから我々は今、コロナによってますます絶望の度合いを深めている状況ではあるものの、決して希望の灯を絶やしてはならない──という構えが求められているのである。

(『表現者クライテリオン』2020年9月号より)

 

他の連載などは、『表現者クライテリオン』2020年9月号にて。
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