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【現場医師/藤井聡】コロナを指定感染症として扱うこと自体に問題がある

啓文社(編集用)

啓文社(編集用)

今回は、『表現者クライテリオン』のバックナンバーを特別に公開いたします。

公開するのは『別冊クライテリオン』掲載の医療現場特別インタビュー記事
新型コロナ「指定感染症」解除を検討せよ」。

インタビューをしたのは現場医師の北野大平氏(仮名)、インタビュアーは本誌編集長の藤井聡です。

クライテリオン,コロナ

連日、新型コロナ感染者増加のニュースが飛び交っていますね。
また、指定感染症について、引き下げを2類相当から準5類相当へ検討との報道も出ました。

2020年8月発売の当誌では、すでに「コロナウィルス」とは何なのかを多角的に論じています。
ぜひご一読ください。

以下内容です。

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多くの国民と医療現場との間には、新型コロナウイルス、COVID-19(以下COVIDと略称)に関する認識に大きな隔たりがある。

これは偏に、メディア上での専門家たちの発言が事後的な批判を恐れる余り、激しく歪められてしまっているからだ。

例えばTVで「コロナはただの風邪です」という多くの医師が素朴に思っている「真実」を口にしてしまえば、一般視聴者から激しい批難、抗議が寄せられるという事態が繰り返されてきたからだ。

結果、メディア上の専門家たちの多くは、COVIDを過度に危険なものとして扱う発言を繰り返すに至った。

ついてはこうした実情を様々な現場で見聞きしてきた本編集部は敢えて、医療現場でCOVIDを見つめ続けてきた一人の医師北野大平氏(仮名)に、できるだけ正確に医療現場の平均的な意見を代弁いただくことを依頼し、快諾いただいた。

ぜひ、普段見聞きすることのできない、医療現場の率直な意見に耳を傾けていただきたい。

 

COVIDはもはや「指定感染症」である必然性はない

藤井聡(以下藤井)▼

まず、今回のCOVIDのパンデミックについて、どのように関わってこられたか、お聞かせいただけますか。

北野大平(以下北野)▼

私の病院はCOVIDに対応する指定病院ではありませんが、当院の関係者で指定病院でCOVID対応をしている者もおりますし、リアルに日々、COVIDの感染状況がどう推移しているか、現場対応はどのような問題に直面しているかなどを伺っていました。

また、僕個人は大学で研究医として勤務していた経験もあり、一医師や一病院経験者という立場を超えて、学者の立場からも、最新の論文情報なども読みながら今回の問題の推移を見守ってまいりましたので、COVIDについて色々とお答えできるところは多いと思います。

藤井▼ありがとうございます。それではまず、今回のCOVIDの特徴について、医学的側面からお話しいただけないでしょうか。

北野▼まず最初に申し上げたいのは、この病気は高齢者にとっては通常のインフルエンザとは異なる症状をもたらしますが、非高齢者にとっては、たいして恐れるような病気だとは言えないということです。

もちろん若年者でも重篤な症状に至る人も中にはいますが、基本的にそういう方は喫煙習慣があったり、肥満であったりというケースで、そうでない若年層では、ほとんど、深刻な病状には至らない。

ただ、若年者でも、一度中傷化・重症化してしまうと、インフルエンザよりも長くかかる、という特徴はありますし、肺炎になった時に、肺全体に炎症が広がるという特徴はありますから、インフルエンザと全く同じとまでは言えませんが。

藤井▼なるほど。そういう意味では、重症化してしまった時には、やはりSARSと同様の症状が出るということですね。

北野▼そうです。でも、そうなるケースは健康な若年者の場合はほとんどない。

そういう深刻な病状になるのは、その大半が高齢者なので、非高齢者がCOVIDをそこまで過剰に恐れる必要はないと思います。

だから、高齢者だけ保護できれば、この病気は基本的にほとんど何も恐れる必要はないと言えると思います。

藤井▼高齢者にとっては、やはり重症化してしまうと非常に恐ろしい病、ということですね。

北野▼そうですそうです。その点は、やはり、危険なウイルスだと思います。

重症化した時の肺炎は、一般の細菌性肺炎とは全然違う。細菌性肺炎は基本的には「片肺」だけど、COVIDの場合は「両肺」に至るという大きな特徴がある。

その点では、このウイルスはやっぱりヤバイな、という感覚はあります。若年者で画像上肺炎像を呈していても自覚症状がないケースが多々あり、自然に軽快する。基本、重篤化するのは高齢者が中心であるということです。

しかも、ダイヤモンド・プリンセス号の例をみてもそうですが、高齢者でも皆が皆、重症化するわけではない。

重篤な症状になるのは一部。そういう意味では、死亡リスクや重症化リスクは、高齢者において少々高いという程度です。

藤井▼なるほど。そう考えると、重篤化すると厄介な病状には至るものの、そうなる確率が特に高いというわけでもないし、特に若年者においてはそういう確率もほぼゼロ、という程度なわけですね。

そうなると、指定感染症として扱っているということ自体に問題があるという感覚はありますか?

北野▼そうですね、僕はそう思いますね

藤井▼他のお医者さんもそう思ってらっしゃる方は多いですか?

北野▼それはYESであり、NOですね。

藤井▼それはどういうことですか?

北野▼まず、YESの方から申し上げると、きちんとCOVIDの情報を集めて、それなりに時間を使ってCOVIDの問題を考えている一部の優秀な医師たちは基本的に、もはやこれは

指定感染症扱いするほどのこともないだろう

という感覚を持っていると思います。

コロナ不況下で、世間の非難を恐れ、ホントの事を誰も言えなくなっている

藤井▼NOというのは?

北野▼残念ながらほとんどの医師は目の前の患者のことや病院経営に手一杯で、COVIDについてきちんと情報に触れているわけでも大局的にものを考えているわけでもないんです。

だからほとんどの医師は、COVIDが指定感染症であることが問題かどうかなんて、考えたこともない。

一般の方は医者というと皆立派で優秀だと思ってらっしゃると思うのですが、残念ながら全くそうではない。

優秀なのは一部だけなんです。まぁ、それは藤井さんの業界も同じだと思いますが、医者の世界もそういう意味で例外じゃないんです。

皆が皆、COVIDの統計を正確に理解し実臨床に生かせる先生はそんなに多いとは言えないのが現状です。

藤井▼なるほど。でも、一部の優秀なお医者さんたちは、COVIDの致死率や重症化確率を統計的に理解しており、

したがって、重症化したケースの深刻度も十分に知りながらも、それらを総合的に判断すれば、指定感染症扱いには疑問を感じているわけですよね? 

でもそういう声が全然メディアとかで聞こえてこないのはなぜなのでしょうか?

北野▼皆、風評被害を恐れてるんですよ。

そんなホントの事を言って世間でバッシングされて患者が来なくなったら、病院の経営は大変なことになりますから

しかも、そういう提案をメディア上で大きな声で言ったとして、その後に万一例外が「一人」でも出たら、メチャクチャ叩かれることになる。

それを考えると誰も怖くてホントの事なんて言えなくなるわけです。おりしも今、コロナのステイホームの影響で、全然患者さんが病院に来なくなってる。

大雑把に言って、今、収入が四割程度は減っている。そんな中、ほとんどの医者が病院経営に戦々恐々としている。

そんな中で、誰もリスクをとってホントの事をメディアで話そうなんて思わない。

藤井▼なるほど、なかなか深刻な状況ですね……。

結局ホントの事を分かってる人なんてほとんどいないし、仮に分かっている人がいても、この「コロナコワイ」な全体主義的な空気の中では、ホントの事なんて誰も言えなくなってるんですね……。(続く)

(『別冊クライテリオン』2020年8月刊 より)

 

 

続きは『別冊クライテリオン』(2020年8月発売)にて。

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