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【鈴木宣弘×藤井聡】「農」を語る(第2回)

啓文社(編集用)

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皆様こんにちは。

前回に引き続き、『表現者クライテリオン』2022年5月号(通巻102号)から2022年9月号(通巻104号)にかけて連載されていた鈴木宣弘先生×藤井聡先生による対談〈「農」を語る〉を全6回に分けてお届けします!

 

「農」を語る――農こそが日本を守る

鈴木宣弘×藤井聡

農は国の本なり。
その姿を立体的に示すことを通じて保守思想を語る。

 

▼第一回を読む

 

農を守り、ふるさとを守り、日本を守るための農水省

 

鈴木▼あそこの自然や環境を破壊しちゃいけないっていうのは、小学校四年生ぐらいの時から、何か感覚的に思っていたのですよ。こういった国のやり方は改めなきゃいけないと。だから、将来どうしようかと思った時に、農業経済に行くのなら「あぁ、そうか、霞ヶ関に行って、日本を変える最初の一歩はそこから始めよう」って思ったんですよ。

 「農業経済」という国家公務員のⅠ種の試験の分野があるのですが、大学には全然行っていませんでしたけど、その公務員試験の勉強だけはして、三年生になった時に国家試験を受けて、合格したわけです。

藤井▼目的意識さえあれば試験で点数とることくらいスグにできたわけですね(笑)。

鈴木▼でもね、農水省の中には、「法律経済」で合格した人たちがいまして、彼らは「農業経済」の人たちに実務的な事はやらせながら自分が局長とかに出世していくわけです。我々「農業経済」の人間はそのために彼らを下から支える役割を果たしているんだ、っていうのは後でわかってきたんですけど……。

藤井▼なるほど、役所にはそういうの、ありますよね……。

鈴木▼でもまぁ何にしても、日本を私なりに何とかまっとうな方向へ持っていくためにも微力ながら力になりたい、なんて恐れ多いことを考えて、役所に行ったんです。

藤井▼農業経済の同期は何人ぐらいおられるんですか。

鈴木▼一〇人ぐらいですかね。

藤井▼皆さん、農水省に入られるわけですね。

鈴木▼そうです。ただ最近は、経産省が採ってくれるようになったんですよ。

藤井▼あぁ、農業も産業の一環だ、ってことですね。

鈴木▼というかですね……、農水省というのは、農や食を守ったり、国土を守ったり、何か自分に特別な力や機能があるなんて「馬鹿なこと」を考えるのはもうやめて、巨大企業の利益になるかどうかで考えなきゃいけないという力が強くなってきて、その延長で、経産省で農業を扱おう、ってことになってきてるんです。 藤井▼うわっ、それは最悪な話ですね……。

鈴木▼農水省は官邸から弾き飛ばされて、今や経産省政権みたいになってきたわけじゃないですか。ですので、経産省の一部に農水省を取り込むという動きが、実際もうあるんですよ。

 

今後、農水省は経産省に取り込まれる!

 

藤井▼だから農水局にしてやろうと?

鈴木▼局になればまだいいですけどね。部ぐらいですかね。

藤井▼えーっ、そんなことになったら、もうこの国も終わりですよねぇ……。

鈴木▼そのためには早めに、使える人材を集めておけ、という感じでね。それで次のことが起こっているわけですよ。

藤井▼何人ずつ採っているんですか? 二、三人ずつぐらいですか?

鈴木▼そうですね。だから、着々と準備を進めているということです。

藤井▼ホンットに最っ悪ですね。

鈴木▼わかりやすいですよ、彼らは。私は農水省に十五年おりましたのでわかるんですけど、経産省と農水省は犬猿の仲でして。「あいつら人間じゃねえ」ってお互い言い合ってます。

藤井▼確かに。内閣官房で働いてた頃、そういうの聞いたことあります。

鈴木▼でもね、農水省の方が、どっちかというと人がいいですよ。私もいたぐらいですからね(笑)。

藤井▼ホント、鈴木さんみたいないい感じの方、多いですね(笑)。

鈴木▼だからそうするとね、経産省にやられちゃうわけですよ。彼らはズル賢くて、口が上手くて手が早いというか……。

藤井▼わかりますわかります、それ、すっごくわかります。姑息というかね、一体どういう育ち方したんだ、というのは多いですね。そういうの、顔つきにメッチャ出てるのいますよね。

鈴木▼とにかく自分たちが天下りするための、アメリカと結びついているような巨大企業の利益になることをやるには生贄が必要だから、農業を悪者にしとけ、みたいな感じです。

藤井▼ホンットによくわかります。そういう空気が充満しています。

鈴木▼それで散々、洗脳政策で擦り込まれているわけですよ。戦後のアメリカの占領政策にもやられたけど、もう日本の皆さんにとっては“農業は悪者”と映っているじゃないですか。だから「農は国の本なり」であると藤井先生が言ってくれて、本当に涙が出るほど嬉しかったんです。

藤井▼でもどこからどう考えても「農は国の本」じゃないですか。

鈴木▼でも一般経済の目線でいうと、もう農業はただの道具になっちゃってるわけです。金儲けの道具になるか、ならなければとにかく外国の貿易で巨大企業が儲けるための生贄が農業だ、みたいな感じでしかない。

藤井▼ほんとに下劣で下品な話ですね……。

鈴木▼だから国土を強靭にするために都市政策もやられているような、我々と違うもっと広い範囲で国土を見る研究者や学者の中で、「農業が本当は一番大事なんだ」という当たり前のことを、なぜ誰も言ってくれないのか。

藤井▼どう考えたって一番大事ですよ。

鈴木▼と思うでしょう? でも残念ながらほとんどいないのですよ。

 

▼第一回を読む

 

 

『表現者クライテリオン』2022年9月号 『岸田文雄は、安倍晋三の思いを引き継げるのか?』
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