皆さん、こんにちは。
『表現者クライテリオン』編集部です。
本日最終回!『表現者クライテリオン』最新号より、「積極財政の政治を実現せよ 自民党衆議院議員 城内 実・中村裕之両氏に聞く」を4回に分けて特別公開しています!
この機会にぜひ、お読みください。
自民党衆議院議員 城内 実・中村裕之両氏に聞く
一政府機関の財務省が予算の上限を決めるという異常な政治を止め、いかに”財政民主主義”を取り戻すか――。
真に国を思う積極財政派議員が熱く語る!
城内 実×中村裕之/聞き手・藤井 聡
緊縮派議員と積極財政派議員とのパワーバランス
藤井▼財務省が緊縮財政の中心的な役割を担っているのは論を俟たないとして、これに協力している与野党の国会議員の方もおられると思うのですが、このあたりはいかがでしょうか。
中村▼全くその通りです。財務省の皆さんは非常に熱心にレクチャーされますし、「貸し」も作りますね。「先生の地元に橋を造りますから、次の会議ではこういう発言をお願いします」ということもされています。
安倍元総理も「彼らはそういうことをするんだよ」とおっしゃっていました。
藤井▼党内の緊縮財政派と言われる方々と、先生方のような積極財政派と呼ばれる方々との関係について、これからの見通しはどのような感じでしょうか。
城内▼「どちらが正しいのかな」といういわゆる中間派の方たちがかなりこちらに来ていますし、藤井先生はじめ学識経験者の方々がYouTube 等で発信されているじゃないですか。
さすがにここまで来ると積極財政の方が正しいのではないかと思いますし、六十年償還ルールにしても、「何で日本だけこんなことやっているの?」と徐々に気付き始めています。だから、この流れは不可逆的ですね。
中村▼私たちの方が明らかに、社会の現状認識は正しいと思います。
「今を生きる世代が未来に責任を持つ」と言う前に、今を生きるためのお金が心配だという人がたくさんいるわけです。それを無視した増税議論は世の中に浸透していきません。
どちらかというと、そういうところに目が届かない方々が増税議論をやっていると思います。
城内▼私は中村さんや色々な方と一緒に動画に出ていて、よく「中村や城内は自民党のガス抜き要員だ」というコメントをいただきますが、我々はそんな器用なことはできません(笑)。
私は昨年末の防衛増税の議論で「国債を排除するな」と相当厳しい発言をしました。すると名前は言いませんが、ある幹部から注意されました。
「あなたは閣僚待機組なんだから、そういう発言を控えないとダメですよ」と。でも、そもそも自分の出世が大事であれば、あの郵政民営化にも反対していません。そんな脅しは効かないですよ。
中村▼「信念の男、城内実」ですよ(笑)。城内先生とのご縁については藤井先生に感謝しています。
ステファニー・ケルトンの勉強会の時に、城内先生が「自分たちが学んできたことを整理しただけに感じましたがどうですか?」と質問されていて「ああ、この人はちゃんとしている」と思い、城内先生に目を付けたんです。
藤井▼そうですか! あれは四年前ですよね。
城内▼私はMMTをよく分かっていなかったし、何かいかがわしい新興宗教のようなものかと思って行って話を聞いてみたら、ケインズをベースにしていて正しいことを言っているなと思いました。
藤井▼国会は言論の府ですからね。二〇一四年の消費税増税の頃までは積極財政派は弱かったですよね。
二〇一五、一六年くらいに消費増税によって経済がボロボロになった時から積極財政派が徐々に拡大してきたとすると、空気の転換が始まったのは七、八年くらい前からでしょうか。
中村▼本格的には最近だと思います。
藤井▼安倍内閣が終わって、安倍さんが自民党の一議員として積極財政論を党内で議論し始めてから大きく加速しましたし、それに合わせて先生方が議連を立ち上げられたわけですね。
積極財政の実現に向けて
藤井▼最後に、今年の抱負についてはいかがでしょうか。
中村▼まずは増税ではない財源を議論し、歳出改革のようなことをしないで、積極財政で成長を目指すという党内議論を形成していけるように頑張っていきたいと思います。
藤井▼少なくとも建設国債は入るようにしていただければと思います。
城内▼やはり国債をしっかりと発行するということと、六十年償還ルールの撤廃をしなければなりません。
また、消費税減税も含めて議論すべきだと思います。バブルになってインフレが過熱したら増税すればいいと思いますが、減税は一つの重要な選択肢であって、これによって低所得の方たちが救われて消費が増えたり所得が上がったりするわけで、景気の起爆剤としてすごく分かりやすいですよね。
党内ではなかなか厳しいにしても、言い続けることは必要だと思います。
藤井▼積極財政議連の先生方が消費減税を言わなければ、自民党では誰一人言わなくなってしまいますから、ぜひ積極的にご発言いただきたいと思います。
城内▼立憲民主党の幹部の方は緊縮の方が多いと聞きます。国民民主党の玉木さんは積極財政派で波長が合うのですが。
「もう自民党はダメだ」と言われる方もいらっしゃいますが、野党は最終的には政治上の意思決定プロセスに直接関与できないので、自民党の中の積極財政派が頑張らないと全部財務省や緊縮派の思惑で政治的に決まってしまうわけです。
我々は決してガス抜き要員ではないですし、自分の出世とか地位・名誉とかをかなぐり捨てて、とにかく正しい方向に行くようにしなくてはと思います。
藤井▼ぜひお願いいたしたいと思います。最後にもう一つ、「骨太の方針」が六月にあり、昨年はずいぶん議論が活性化しましたが、今年はどのような見通しでしょうか。
中村▼昨年は但し書きの一行を入れるために、城内顧問が安倍元総理とも相談しながら高市政調会長(当時)にお話しし、高市政調会長も岸田総理と詰めてくれました。
そして「ただし、(PB規律により)重要な政策の選択肢をせばめることがあってはならない」という一文が入り、事実上キャップが外れました。
ただ、各省は何十年もキャップがはまった状態で予算編成をやってきていますので、なかなかそれを飛び越えていけない状況がありました。
ですから、今年はさらに具体的な数字を骨太方針に入れていければと思います。
藤井▼「支出○兆円拡大」、「○%増」といった数字ですね。
中村▼それと同時に、子ども予算倍増の財源も議論になってくると思います。
消費税を八%に上げた時に、増収分のうち五兆円が借金返済に回っていますので、それを使えるカネに変えていくために一生懸命主張してまいります。
藤井▼ありがとうございます。城内先生はいかがでしょうか。
城内▼財源確保法が歳出削減のための新たな法的根拠にならないよう、気を付けないといけないと思います。
また、日本は新自由主義から脱却して、自分の国は自分で守らなければなりません。食料自給率、エネルギー自給率を五十年以内に限りなく一〇〇%に近づけることを目指し、国が護送船団方式で研究開発をやっていく必要もあります。
まさに、国土強靭化+富国強兵で国家を再建するんだという意気込みを示していきたいと思います。
藤井▼自民党に対して絶望的な気持ちを持っている読者の方は多いと思いますが、実は自民党の中にはこういうことを議論している先生方もおられるわけです。
多くの国民にはまだまだ日本の政治も捨てたもんじゃない、政治に絶望するにはまだ早いということをぜひご理解いただきたいと思います。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
城内・中村▼ありがとうございました。
(二〇二三年一月十二日)
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