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【城内 実×中村裕之/聞き手・藤井 聡】積極財政の政治を実現せよ③

啓文社(編集用)

啓文社(編集用)

皆さん、こんにちは。
『表現者クライテリオン』編集部です。

 

『表現者クライテリオン』最新号より、「積極財政の政治を実現せよ 自民党衆議院議員 城内 実・中村裕之両氏に聞く」を4回に分けて特別公開しています!

この機会にぜひ、お読みください。

前回配信はこちらから↓
【城内 実×中村裕之/聞き手・藤井 聡】積極財政の政治を実現せよ②

 

積極財政の政治を実現せよ

自民党衆議院議員 城内 実・中村裕之両氏に聞く

 

一政府機関の財務省が予算の上限を決めるという異常な政治を止め、いかに”財政民主主義”を取り戻すか――。
真に国を思う積極財政派議員が熱く語る!

 

城内 実×中村裕之/聞き手・藤井 聡

 

防衛増税の議論は消費税増税への布石?

藤井▼もう一つお伺いしたいのが、財源確保法の議論の中で財源は歳出改革と剰余金、税外収入、増税を含めた四つだと言われていましたが、国債は入っていないのでしょうか。

 

中村▼入っていません。国債は発行すべきでないということです。

 

城内▼最初から有識者会議の文章に結論ありきでそう書いています。

 

藤井▼でも、一六〇〇億円の建設国債の枠は作ったわけですよね。明確に建設国債も財源になっているから、その部分を拡大すればよいのでは?

 

中村▼そうです。財政法第四条の建設国債の対象経費を拡大すれば、兆円単位でいけますよ。施設費だけで五年間で四兆円くらい見込んでいるはずですから。

 

藤井▼それを全額建設国債で賄っても、財政法四条上、何の問題もありませんよね。

 

中村▼これはまさに戦後レジームで、「建設国債はいいが赤字国債はダメ」、「建設国債を軍事・防衛に使うのもダメ」というのはGHQから言われていることです。これを変えていくのが非常に重要です。

 

城内▼これを変えることこそが「戦後レジームからの脱却」ですよ。財政法四条を変えないとダメです。これを変えないで防衛増税なんてやっていたら、中国人民解放軍チームからしたら日本政府のオウンゴールですよ。

 

藤井▼昨年の防衛増税の議論では、税目としては法人税と所得税、たばこ税を上げることになりましたが、残る基幹税は消費税だけとなります。だから僕はこの議論を聞いた時、「財務省は外堀を埋めに来たな」と感じたんです。

 

城内▼全くその通りです。台湾海峡の問題があり、北朝鮮がミサイルを撃ってくる現在、防衛費増額に対して国民の抵抗感がなくなっていますが、それを財務省が利用しているんです。

「防衛はお金がかかるから安定財源が必要だよね。じゃあ消費税一五%だ、その先は二〇%だ」と。これが彼らの最終目標としか思えない。

 

藤井▼城内先生は官僚ご出身ですからね。東京大学から外務官僚になったスーパーエリートとして自民党の政治家になられたわけですから、霞が関の手口は全部見え透いているわけですね。

 

 正月明けには、甘利さんから消費税一五%発言が出てきました。これをどう解釈したらよろしいでしょうか。

 

中村▼観測気球を上げたのだと思いますが、甘利先生自身の考えなのか、官僚の皆さんのレクチャーがあったのかは分かりません。

ただ、財源確保法は相当危険だと思いますし、経済成長による税収増を見込んでいません。そういったところもしっかりと議論して、本当に増税が必要なのか突き詰めていきたいと思います。

 

藤井▼城内先生はいかがでしょうか。

 

城内▼背景はよく分かりませんが、財務省の働きかけが功を奏して、甘利先生がポロっとおっしゃったのではないかと思います。

これがまさに財務省が目指しているところです。多くの国会議員に対し、子どものための予算、安定財源は消費税だという刷り込みをされているのではないでしょうか。

 

藤井▼社会保障にも少子化対策にも安定財源が必要となると、すぐに増税となりますよね。

そうではなく、“安定財源”がほしいなら“安定成長”すればいいだけの話です。それで自動的に税収が上がってくるわけで、名目三%、実質二%という政府目標を実現すれば、税収が増えないなんてことは万に一つもない。

 

中村▼十二月の税調での税源についての議論では、経済成長や税収増をどのくらい見込むのかという議論が全く出てきませんでした。

これ自体がおかしいと我々は指摘したのですが、一月の通常国会前から、こういった議論が萩生田政調会長を座長とする特命委員会で始まると思いますので、そこに積極的に参加したいと思います。

 

財務省に奪われた財政民主主義

城内▼憲法において、予算は国会で決めるものと定められております。つまり、国民の皆様から選んでいただいた国会議員が予算を決めなければならない。

でも実態はどうかというと、財務省という一政府機関が全部決めていて、「今年はこれだけ」というキャップをはめている。

 

 でもこれはよく考えてみたらおかしな話です。財務省は本来経理係です。経理係が社長の経営権に口出しするようなもので、与党の国会議員を中心に予算を何に使うか議論したいのに、このキャップがあるからできません。

 

中村▼これはつまり“財政民主主義”が奪われているということです。優秀な財務省の皆さんは、マスコミにも自民党のベテラン議員にも官邸にも影響力を発揮し、各省庁にも予算査定権で影響力を発揮しています。

この影響力がはびこっていて、財政民主主義が奪われているわけです。有識者会議もその一環です。

 

 そういった様々な手で均衡財政主義を貫こうとしていった結果、二十五年間成長しない経済、給料が上がらない社会を築いてしまった。こんなことをしていたら、財務省をはじめ公務員の給料も上がらないのに、本当に愚かな話です。

 

藤井▼国会は国権の最高機関で、法律を作ることと予算を作ることが二大責務です。予算を作ることは政治・行政のあり方そのものを決めるということです。

本来、民主主義ならこれを国民に選ばれた国会議員の議論で決めるべきなのに、財務省が仕組んだ様々な制約により国会議員の先生方が雁字搦めになって、予算を決定する崇高なる権限を財務省という一つの政府組織に奪われてしまっている。

これを先生方は「財政民主主義が奪われている」とおっしゃっているということですよね。

 

中村▼そうです。財政民主主義を取り戻さなければなりません。

 

城内▼財務省の官僚だって、後々「出納係のくせに経営権に口出ししてとんでもない。アメリカみたいに歳入庁・歳出庁に分けてやる」とやられてしまったら一番困ると思いますよ。

 

藤井▼正月に某番組に出演した時、僕が積極財政をやれと主張しましたが、やはり「財務省の解体だ」という議論が出てくる。

僕は必ずしもその意見に賛同しなかったのですが、それは何だかんだ言っても出納係は必要だからです。だから財務省の解体論の前にまずは、彼らに真っ当になってもらうことが大切だと思います。

彼らが一官吏として、政治家の方のサーバント(Servant)として働くようになればそれでいい。でもそういう当たり前のことをせず、こんな暴走ばかり続けていたら、そのうちホントにおっしゃる通り解体されてしまうことになるでしょうね。

 

城内▼昔の大蔵省に戻してもいいから、もう少しマクロ経済学的な視野で積極財政に舵を切ってほしいわけです。本当に所得が低い人たちの現状とか、ウクライナでの紛争や台湾海峡で緊張が起きている状況など、日本国民が置かれている現状の認識、マクロ的な視点が甘過ぎます。

 

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次回配信は3/1(水)の予定です!

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【城内 実×中村裕之/聞き手・藤井 聡】積極財政の政治を実現せよ②

 

 

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