【5/31発売!!】浜崎洋介編著、新刊『絶望の果ての戦後論』文学から読み解く日本精神のゆくえ

啓文社(編集用)

啓文社(編集用)

文芸誌には絶対に載らない、ド直球の文学論!

『表現者クライテリオン』誌上で2018~2020年にかけて行われた座談会、「対米従属文学論」がクライテリオン叢書第4弾として待望の書籍化!第二部には補論として浜崎洋介氏の戦後文学批評の決定版ともいえる「観念的な、あまりに観念的なーー戦後批評の「弱さ」について」を収録!!

5月31日、全国の書店、またはオンラインストアで発売!!

 

さらに、この度、クライテリオン・サポーターズの初年度特典として、「選べる書籍」のラインナップに追加!!

『表現者クライテリオン』本誌の年間購読と合わせていただくことで、お得に本書を手に入れることができます。

ぜひ、これを機会にクライテリオン・サポーターズにご入会いただき、小誌言論活動のご支援をお願いいたします!

 

 

本書の内容

 

 太宰治、三島由紀夫、大江健三郎、村上春樹、村上龍、高橋源一郎、島田雅彦……。
あらゆる価値感情を蒸発させてきた戦後日本人の精神史を代表的文学作品、文学批評から読み解く。

 アメリカ一極から多極化へ世界秩序が変わろうとする現在、アメリカに従属し、あらゆる価値感情を蒸発させてきた日本人は自立することが出来るのか。文学を通して戦後私たちが失ってきたものと残されたものを確認し、精神的な自立への足がかりを探る

 第一部では太宰治から島田雅彦まで、戦後の代表的な文学を時系列で振り返り、日本人の精神が堕落していった経過を忖度なく語った「クライテリオンメンバー」による座談会を収録。第二部では戦後の文学批評を振り返って日本人に残された自然的な精神の在処を探った文芸批評家・浜崎洋介の論考を収録。

日本人の真価を問う一冊!!
詳細・購入はこちらから

 

目次

 

まえがき    浜崎洋介

第一部 座談会 対米従属文学論

 第一章 「平和」への戸惑い  太宰治「トカトントン」/大岡昇平「生きている俘虜」

 第二章 「戦後的日常」への頽落──「第三の新人」をめぐって  小島信夫『アメリカン・スクール』/安岡章太郎「ガラスの靴」

 第三章 「戦後的日常」の拒絶  三島由紀夫『真夏の死』/『憂国』

 第四章 戦後的ニヒリズムへの「監禁」  大江健三郎「後退的青年研究所」/「セヴンティーン」

 第五章 戦後的ニヒリズムの臨界値  開高健『輝ける闇』/村上龍『限りなく透明に近いブルー』

 第六章 高度成長後の風景  村上春樹『風の歌を聴け』/田中康夫『なんとなく、クリスタル』

 第七章 「国土の荒廃」を読む  石牟礼道子『苦海浄土─わが水俣病』/富岡多恵子『波うつ土地』

 第八章 「ポスト・モダン」の頽落を超えて  高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』/島田雅彦『優しいサヨクのための嬉遊曲』

第二部 観念的な、あまりに観念的なーー戦後批評の「弱さ」について    浜崎洋介

 Ⅰ 内なる他者の発見

 Ⅱ 隠された弱さ

 Ⅲ 自己を超えるものへの問い

 Ⅳ 観念のカタストロフィ

 Ⅴ 滅びぬ自然

あとがき     藤井聡

 

 

 

「まえがき」より一部をお届け!!

 

 敗戦と占領という事実から歩きはじめなければならなかった戦後日本人は、その劣等感もあって、戦後民主主義や平和主義など、アメリカ仕込みの「外発的」な価値観に必死で適応しようとしてきました。もちろん、その「外発的」なものを「内発的」なものにしようとする努力の全てが欺瞞であったとは言いません──それが戦後文学の摩擦と葛藤に満ちた歴史をかたち作ってきたのです──。しかし、その努力が「外発的」である限り、やはり、そこでの経験が、私たち日本人の「自然」な自信に結び付くことはなかったと言えます。
 (..)そして、その後に続くのが、今に至る「失われた三十年」、つまり、冷戦の崩壊とバブルの崩壊にはじまる日本の衰退と凋落の歴史だったのです。
 それは、他者であるところのアメリカを他者として意識できないほどに、日本人の内面がからっぽになり、かつ、その内面と社会とを繋ぐ必然の糸=歴史が見えなくなってしまったことと無縁ではありません。日本人がアメリカ製の「戦後レジーム」(九条─安保体制)を問わなくなった時期に、ということは、日本人が日本人自身の自己像を失い、グローバリズムなどという虚構の夢にうつつを抜かしはじめた時期に、日本の凋落が決定的になったということは、それこそ歴史的な事実として記憶されるべきでしょう。
 しかし、それなら、今一度、戦後日本人の「葛藤」を思い出しておく必要があるのではないでしょうか。あるいは、こう言ってもいい、「内発的」なものを犠牲にして「外発的」なものに適応し続けた結果として、現在の日本人の頽落があるのなら、今こそ、その「失敗の本質」を、戦後日本の精神史うちに、しかと見届けておく必要があるのではないかと。そして、おそらく、それを徹底的に見届けることができたとき、この痛々しい回顧は、ようやく私たち日本人の未来に向けた一歩を用意することになるのではないか。

(「まえがき」より)

 

 『絶望の果ての戦後論』と題された本書では、しかし、「底抜けに明るい『絶望』」(「まえがき」より)が語られています。ユーモア(気質に対する距離感)のある「戦後」への抵抗を、ぜひ手にとってお読みください!!

 

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