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【藤井聡】『ポピュリズム肯定論』を是非ご一読下さい ~表現者クライテリオン『最新号』が発売されます ~

藤井 聡

藤井 聡 (表現者クライテリオン編集長・京都大学大学院教授)

今週木曜日に、本誌の最新号がいよいよ発売となります。

この最新号の特集は、

『ポピュリズム肯定論
~「トランプ・英EU離脱」現象とは何だったのか~』
https://the-criterion.jp/backnumber/80_201809/

「ポピュリズム」と言えば、日本では、
「大衆迎合主義」「人気取り政治」のニュアンスで
何やら「悪いもの」として扱われることが一般的。

例えば、英EU離脱が決まった選挙結果が出たときも、
トランプが勝利した選挙結果が出たときも、

「これはどうしようもない、ポピュリズムだ。
アメリカ人やイギリス人がこんなに馬鹿だったとは思わなかった」

なぞと、英米のポピュリズムを全否定するようなコメントに
TVや新聞は埋め尽くされていました。

しかし、そんなコメントを吐くコメンテーター達に限って、
「民主主義は素晴らしい!」という想定の下、
「小池百合子」の大衆迎合主義に拍手喝采を送り、
「橋下徹」の大衆扇動政治を全肯定し、
「小泉純一郎」の劇場型炎上政治に全面的支持を与えていたというのは、
何とも皮肉な話です。

つまり我が国では、
自分が好きな時は民主主義と呼んで肯定する一方、
自分が好きで無い時は「ポピュリズムだ!」との烙印で批判する、
という振る舞いが、世論やメディアにおける
一般的な流儀になっているわけです。

しかしそんな不条理に偏向したメディアの論調のせいで、
世論における「まっとうな判断」が
大きく歪められています。

そもそもEU離脱を支持した英国の庶民が反発した
「EU」は、本質的な問題を孕むものであることは、
政治哲学的に考えても、
というかそれ以前に「常識」で考えても
明々白々な真実。

そもそもEUは、それぞれの国家の「事情」を度外視して、
「過剰」に「移民」を受け入れる体制を取っています。

それは、EUが、現実の諸状況を無視した、
いわゆるエリート達の「机上の理想論」に基づいて
設計された「欠陥品」だから――なのですが、
そんなに無理をして移民を受け入れれば、
各国家が「大混乱」に陥るのは当然。

賃金が下がり、失業が増え、
テロも増えて治安も悪化し、
国民の分断が深刻化していく――ことは避けられません。

英国民はそんな「現実の問題」に基づいて、
EUに対してNOを突きつける格好で、
英EU離脱を住民投票を通して決定したわけです。

同様に、多くのアメリカ人も
アメリカのエリート達が進める
「自由貿易主義」に反発したが故に、
トランプ氏を大統領として選択したのです。

つまり、英米の「エリート達」の主張は、単なる
「破壊的なダメージを国民に与える机上の理想論」
であったに過ぎなかったのであり、
それに対して反発して見せた英米のポピュリズムには、
「まっとうな理性的根拠」
があるわけです。

したがって、トランプや
英EU離脱を進めたボリス・ジョンソンが、
政治家としての「品位」が欠けていたのだとしても、
彼らの主張には、首肯せざるを得ない側面が
濃密に存在していたわけです。

というよりも、
まともなエリートがまともな主張をしていれば、
それで何の問題も無かったのに、
おおよそのエリートが皆、
「愚か極まりない阿呆な主張」をし出したものだから、
「少々難アリの政治家」くらいしか、
まともな主張ができなくなっている―――
という構図が、英米にはあったのです。

この何ともメチャクチャな状況の中で、
英米はぎりぎりの「理性」を保っているのではないか―――
それが本誌最新号の特集で徹底的に論じようとしたポイントでした。

ところが我が国では、
この英米の「微妙なポピュリズムに基づく理性の確保」が
全く理解されていません。

それどころか、英米とは逆に、
グローバリズムや構造改革等の単なる「机上の理想論」を振りかざす
小池氏や橋下氏や小泉氏が
「炎上的人気」を誇っているのが実情です。

こんな倒錯した状況が今後も続けば、
我が国の不況はさらに深刻化し、
国内外の「金持ち達」に庶民が食い物にされていく―――
という悪夢がさらに深刻化することは避けられません。

本誌表現者クライテリオンでは、こうした問題意識の下、
  「ポピュリズム肯定論」
を徹底的に主張した上で、
  「庶民からの反逆」
という座談会で徹底討論を行ったという次第です。

もしも我が国で「ポピュリズム肯定論」が
一定の世論的支持、論壇的支持を得ることができるのなら、
我が国の悪夢のような現状が、
わずかなりとも改善していくこととなるに違いありません。

そんな情けなき状況にある我が国の現状の「改善」のためにも、
是非共一人でも多くの国民に、
本誌表現者クライテリオンの最新号にて
「ポピュリズム肯定論」を是非、ご一読頂ください。
https://the-criterion.jp/subscription/
https://www.amazon.co.jp/dp/B07FVFQ7L2/

何卒よろしく、お願い申し上げます。

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