みなさんこんばんは。
8月20日のメルマガでは、『表現者クライテリオン』最新号から、竹内譲・衆議院議員、西田昌司・参議院議員、藤井聡編集長による『MMT政治座談会 財務省から財政主権を取り戻せ!」の冒頭部分をご紹介しました。
https://the-criterion.jp/mail-magazine/20190820/
今回は、その続きの部分をご紹介します。
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藤井 (前回からの続き)実は、財務省も、政府が円建ての国債で破綻することは絶対ないと自分で言っているにもかかわらず、もう一方では、破綻するからプライマリーバランスを黒字化せよとか、消費増税をしろとか、支出を削れとか言うわけです。まさに噴飯物の二枚舌なわけですが、竹内先生、この辺りの、破綻する、しないの議論っていうのはどう考えるとよろしいでしょうか。
政府負債は「返済」すれば、国民の資産が「消えて無くなる」
竹内 おっしゃるように、理論的には徴税権ということですよね。こういう権力がまずベースにあると思うんですよ。それと、今、日本人は、個人の貯蓄があるだけではなくて、企業も海外で稼いでいるわけです。国債の持ち主も九六%ぐらいはまだ国内の個人や企業です。だから要するに、外国の借金に頼る必要がないわけで、日本人が稼いだお金を回しているわけです。でも、国債が一〇〇〇兆円になっているじゃないかと言われるけど、もしそれだけ国債を出さないで、様々な社会保障とか公共事業に使わなかったら、どうなっていたかと考えてみたら、これは明らかなんですよ。国内は格差がひどくなって、社会保障はガタガタ、教育はガタガタ。欧米の格差どころではなかったはずです。やはり、それだけの国債を発行して、社会保障や教育、様々な公共事業に回してきたから、何とかまだ格差の小さい、安定した社会になっているわけです。
藤井 デフレであるとはいえ、ある程度国家も負債を背負って、ある程度政府支出も拡大してきた。つまり、一〇〇〇兆円の累積債務があるからこそ、日本のデフレによる経済被害も、この程度で済んでると。
竹内 ええ。だから、要するに、国が債務を引き受け、そのお金を格差是正のために使ってきたということです。社会、国家のために。だから、その本質をよく見ないといけません。何か一〇〇〇兆円あることが罪悪で、とんでもないことをやってきたのかというと、それは極めて一面的な物の見方ですよね。
藤井 借金という言葉に関して言うなら、キリスト教ではそもそも負債というのは罪と同じ意味なんですね。ですから、負債や借金というと、それだけで悪いものだと思うところがあるんですけど。でも、言葉を換えれば違う側面が見えてくる。これは冗談ですが、例えば「赤字国債」ってよく言いますけど、これは政府にとっては「赤字」の国債ですが、国民の側から見れば黒字ですから、「国民黒字国債」だとか言えば良いんじゃないかと(笑)。
もう一個付け加えると、今先生のおっしゃったことを別の言葉で同じことを申し上げると、我々は普通家を買いました、借金二千万しました、で、五十歳とか、六十歳でローンを払い終わりました、で、借金を〇にします、というのは家計の考え方ですけど、もしも国家がこの一〇〇〇兆円を耳を揃えて二十年間で返済したとしたら、これはとんでもないことが起こってしまって、もう二十年間、毎年五〇兆円ずつ国民からお金を吸い上げて、ゴミ箱に捨てるっていうことになる。そもそもお金を吸い上げて返すという事はお金を消去するという事ですから、これは日銀の方も認めるように、誰かが借りてるからそのお金があるわけで、返済すると、日本の国の中からオカネが圧倒的になくなって、途轍もない不況になりまっせという(笑)。
西田 民間に行ってる貯蓄を全部国が吸い上げてなくなりましたと。何の意味があるんだと。
藤井 そうですそうです、民間の資産がなくなるんですよ(笑)。
西田 それをやったのがバブルの時の不良債権処理です。要するに、あの時に例えば一億で買った土地が、三千万になったと。それも、返せるなら返せと。売っても三千万にしかならないし、七千万は他の財産を売ったり、貯蓄を出したりして、負債がどんどん回収されましたよね。あの時に民間の借入金はガーっと減ったわけですよ。民間借入金が減った結果、必然的に、民間貯蓄もガバッと減ったわけです。それと同じことを国債を返済する時にも起こるわけです! だから、何を考えてるのかと、財務省は。国債を減らしたら、民間貯蓄がその分、減って、国民は困窮化するわけです! 全く意味不明なことをやっている。
藤井 というか、無意味どころか、「害悪」なことをやってるわけですね。
西田 だから、デフレの時に国債は返済する必要はないんです。もちろんインフレが進行してる時は、国債発行は控えるべきです。例えば、かつての高度成長期なら、国債発行なんてたいして必要じゃない。財務省が「均衡財政」と呼んでいた昭和三十年代は、確かに国債発行残高はゼロだった。しかし、その時代は、高度経済成長で成長率は一〇%を超えていた。つまり、高度インフレの状況なら、国債発行は抑えられる。逆にいうと、デフレの時に国債発行を控えたらえらいことになる。
藤井 しかも、当時国債を発行する力がなくて、世界銀行からお金を借りて、東名高速とか作ったんだから、実際は赤字だったんですよね。あれは最悪の借金だったんですよね(笑)。
西田 海外からの借り入れだから、一つ間違えば、デフォルトになってしまうかもしれなかった。
竹内 だから、資本の蓄積ができたということですよね。
西田・藤井 そういうことです。
藤井 道路や鉄道などの社会資本は、インフレであろうがデフレであろうが、国民のために必要なんです。
「簿記」を知る人にとって、MMTは「常識」である
藤井 ところで西田先生は税理士さんでありますし、竹内先生は銀行にお勤めでした。ですから、銀行職員や税理士さんにとって、「簿記」は常識ですから、MMTをスグにご理解いただけるんだと思うんです。要するにMMTは、借方・貸方の「資産」と「負債」の記録をしっかり見ていきましょうという話。そんな簿記の概念を経済学、経済政策論に持ち込んだという点でMMTは新しいわけですが、簿記の概念そのものは新しくとも何ともない。それは金融業界では単なる「常識」ですよね。
西田 財務省の一番の問題は、「経済学の理論」とかいうものを教え込まれたりしてるところです。ただ、彼らも一応、複式簿記を知ってはいます。でも、自分らが行っている予算とか、この経済の行っていることとかを実際、複式簿記に当てはめたら、どういうことになるかということは分かってないです。
藤井 考えたことないんですよ。
西田 で、それが分かっていれば、自分たちが言ってることが全くデタラメだということに気が付くんですよ。
藤井 でも、まぁあんだけデタラメ言ってる奴がたくさんいたら、デタラメが正論に見えるんでしょうね。要は、赤信号、みんなで渡れば怖くない、ですね(笑)。
西田 ただ、複式簿記について言えば、国会議員の中では、皆、なかなか分かってくれないですね。
藤井 しかも、経済学者達が、簿記よりも経済学の方がエライなんて思ってますから、それも厄介です。
西田 要するに、現象面を会計学というこの簿記の技術によって表して、そうすると、現実が見えてくるわけですよ。一方的な見方じゃなくて、必ず負債と資産はセットで増えてくると。で、誰かに「債務」があるということは、誰かに「債権」があるということで、このセットが同時に生ずるわけです。で、重要なのが、一旦できた債権は、借入金を返済しない限り減らず、所有者がどれだけ変わっても、ずっと誰かのものとして存在し続けるのです。預金が減るのは借入金を返済した時だけですから。先ほど言ったように、バブルの時に無理矢理借入金を返済すると、世の中もっと景気が落ちることになるのです。
藤井 で、安倍内閣は消費増税の八〇%分を債権の縮小に活用してたと。
西田 で、総理はそれに気が付いて激怒したわけですよ。
藤井 社会保障に使うって言うてたやないか! と。
西田 せっかく税収が増えたのに、お前達は何をしてるんだと(笑)。
藤井 その時確かに怒ってはりましたよ。だって、気付いてなかったんですから、そのからくりに。八〇%も借金返済に使うなんて、おかしいんだよ、藤井君、て。
「破壊的な消費増税」は、単なる「国会戦術」の産物
竹内 だからあの時、なぜ、あの三党合意を結んでしまったのかと。それは、要するに「政治的な思惑」があったからではないでしょうか。政権交代を図るために、民主党が財務省の言いなりになっている状況を利用しようという判断が働いたわけです。そういう「国会戦術」的な部分があったと思います。
藤井 でも、今はもう実質、「民主党」は存在してません。
竹内・西田 (笑)。
藤井 似た名前の政党はありますけど、民主党さんはもういはらへんので、もうあの合意は事実上、消滅してるんじゃないですか……?
竹内 僕は当時、野党の財政・金融部会長だったけれども、要するに、うっと思ったわけですよ。八割っていうのは何なんだろうこれは、これをほんとにやったら、絶対まずいぞと(笑)。
藤井・西田 (笑)。
竹内 これは本当にひどいと思っていたけど、要するに、どうしようもないわけですよ、政治的攻略、制約があるから。その後、何とか割合を変えないといけないというので、今回やっと五割まで押し戻してきたわけですよね。消費増税すれば、下押し圧力がかかることは間違いないわけです。実際に三%引き上げた結果、実質賃金が全然上がらなくなっているのではないでしょうか。だから、増税後が心配だというのが事実なんですよ。さぁどうするか、止めるのか、あるいは一〇%に上げた上で追加経済対策を取るのか、いろいろなオプションはあるにせよ、しかし、ここは経済学的にはよくよく気を付けないといけないと思います。
西田 そう。おっしゃる通りです。
藤井 まぁ、先生がおっしゃったように、政策の話と政治の話と一旦分けて議論して、まず政策は政策で議論して、それをしっかりご理解いただいて、で、政治の世界でどういうそれを実現していくかという流れですよね。
西田 しかし、今、竹内先生が公明党の財金部会長で……。
藤井 現時点でもですか。
竹内 はい、私何回もやってるんですよ(笑)。
藤井 なるほど。一旦辞めてらっしゃいますよね。
竹内 辞めては、やれっていう(笑)。
藤井 (笑)。プロ中のプロですね。
西田 だから、竹内先生がおっしゃっていただいてるのは非常に重くて、私らも自民党の中で言ってるんですけど、なかなか……。要するに、自民党のヒエラルキーの中では、「財務真理教」が一番トップを占めてますから、なかなかですね。「何言ってるんだ」と。「そんなことをやったら、財政破綻するよ」と、本当に思い込んでしまってるんですよね、財務省と一緒になって。ところが、今、友党の公明党の先生で、ここで議論しているようなことを論じていただけるのは、非常に大きな援軍になります。もう一度頭を冷やして、目を覚ませ、よくよく考えなさい、と他の先生に働きかける、良いきっかけになると思うんです。ぜひ、公明党の中でも、先生にお願いしたいですよね、これは。
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コメント
ここまで来れば、もはや酷いどころの話ではなく、人治国家さながらの様相です。なぜかと言えば、自分たちのお粗末な統治能力の不備は棚に上げて、特に近頃はサイコパスで他者を非難する暴挙を鮮明させ選挙での野次に警察まで動員する始末に法律ありきの姿勢には呆れかえります。そして先生方のご指摘にある公明党ですが、残念ながら彼らは国際政治の下請けですから理ではなく利で動く、碌でなしの政党でしかありません。であるならどこの政党も差ほど変わらない事になり、結果的にはプロレスしている状態です。ならば、必然的に学歴社会とは理想とは無縁の単なる都合のいい要因でしかない事が確証されたことになります。